リスティング広告とSEOの違いとは?目的・スピード・費用で比較

2025年08月18日

リスティング広告とSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、いずれも検索エンジンを活用した代表的なWeb集客施策です。

ただし、それぞれの施策には得意分野があり、目的や予算、運用体制によって最適な活用場面が異なります。

この記事では、目的・スピード・費用の3つの視点から両者の違いや特徴を整理したうえで、施策の使い分け方、効果、注意点まで解説します。

ASUEくん

自社に合った集客戦略を求めている方はぜひ参考にしてください。

なお、SEOにはサイトページを検索エンジンに正しく評価してもらうための「内部対策(テクニカルSEO)」と、記事などの質を高めることで評価を上げる「コンテンツSEO」があります。
この記事内で取り上げるSEOは、コンテンツSEOを指すものとします。

リスティング広告とSEOの基本的な違い

リスティング広告は検索結果ページ上部の広告枠に、有料で自社サイトを掲載する施策を指します。

一方SEOは、WebサイトをGoogleなどの検索エンジンに評価されやすいよう構造やコンテンツを最適化し、自然検索で上位に表示させる手法です。

リスティング広告表示画面キャプチャ

リスティング広告は、ユーザーに届けたい情報を即座に表示できる即効性が特徴です。
検索結果の上部に表示され、クリックされるごとに課金が発生する仕組み(クリック課金制:CPC)であり、露出と成果をコントロールしやすいのが魅力です。

対するSEOはコンテンツ制作や内部対策が中心となる自然流入型の集客手法です。
ユーザーにとっては「広告ではない純粋な検索結果」として認識されるため信頼されやすく、ニーズに合ったコンテンツを発信できれば、クリック率(CTR)が上がる傾向があります。

リスティング広告の基本的な情報は以下の記事にもまとめているので、出稿を検討している方はあわせてご確認ください。

リスティング広告とは|仕組みや運用方法、成果を出すポイントを解説
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 2025年4月22日 リスティング広告とは|仕組みや運用方法、成果を出すポイントを解説

リスティング広告・SEOのそれぞれの強み

リスティング広告とSEOには、それぞれ向き不向きがあります。

リスティング広告が向いているケース

  • キャンペーン施策で短期的に成果を上げたい
  • 新商品・サービスのリリース時にすぐに露出したい
  • 限られた期間でコンバージョン(CV)を最大化したい
  • 顕在層(今すぐ解決策を探しているユーザー)に訴求したい
  • 検索意図が明確なユーザーにピンポイントで広告を出したい

SEOが向いているケース

  • 長期的に安定した流入チャネルを確保したい
  • 潜在層(情報収集中のユーザー)にもリーチしたい
  • 資産として機能するコンテンツを蓄積したい
  • 企業の信頼性やブランディングを高めたい
  • 広告依存を脱却した中長期的な戦略を描きたい

リスティング広告は「攻める施策」、SEOは「育てる施策」といえます。
これらの両者の強みは、それぞれの特徴の違いから生まれます。

次項以降では4つの観点からその違いを深掘りしましょう。

施策とユーザータイプの対応表

目的・状況リスティング広告SEO
潜在層への情報提供△ 一部のキーワードに限定◎ 広くリーチできる
顕在層へのアプローチ◎ 即効性がある○ 有効だが効果が出るまでに時間がかかる
中長期的な効果△ 広告を止めた時点で無効に◎ コンテンツが資産になる
期間限定キャンペーン◎ 即日開始できる△ 時間がかかる

比較①:即効性と持続性

両者の大きな違いのひとつが、集客効果が出るまでのスピードです。

リスティング広告は広告アカウントを設定し、キーワードと広告文、リンク先を登録すれば、審査完了後すぐに配信が始まります。

最短で当日中に広告が表示されることもあり、その点においては緊急性のある施策や短期的な販売促進に適した即効性のある施策であるといえます

一方のSEOは、効果が出るまでに最低でも3ヶ月〜6ヶ月、競合が激しい場合は1年以上かかることも珍しくありません。
検索順位はGoogleのアルゴリズムによって評価され、定期的に順位変動が起こるため、安定した成果を出すには継続的な対策を要します。

また、検索順位を上げるにはメディアの記事数を増やすことも重要なので、SEO施策に取り組むには、記事を作り、改善し続けるだけのリソースコストが必要になります。

ただし、上位表示に成功すると、リスティング広告とは異なり「クリックされても費用が発生しない」「継続的に見込み客が訪れやすい」といった、持続的に効果が発生する点が強みです。

比較②:費用と費用対効果

SEOは自社で行う場合は費用コストゼロで取り組むことも可能です。
ただし、その場合は相応の人的コストやノウハウが必要であり、長期的な人的リソースの投入を見通した計画が求められます。

外注する場合は、初期制作費やコンテンツ制作費、内部施策の設計・実行費、外部リンク施策などが発生します。
その場合、月額5〜50万円程度、初期費用(サイト改善や設計が必要な場合)は数十万円〜100万円以上のコストが発生するケースがあることを念頭に置きましょう。

費用感にバラつきがあるのは、制作を依頼する記事の本数やテーマの専門性、発注先のスキルや経験など、さまざまな要素で大きく変動するためです。
コンテンツの制作には上記の通りコストがかかりますが、ユーザーの流入やCVに対して費用が発生することはありません。

一方、リスティング広告はクリックごとに費用が発生します。

例えば1クリック300円で月1,000クリックを目指す場合、広告費だけで30万円がかかる計算になります。
運用を代理店に任せる場合、広告費とは別に運用手数料(通常は広告費の20%前後)も必要です。

SEOは「集客が見込める仕組みづくりへの長期的な投資」であり、リスティング広告は「瞬発的な成果を出すために短期スパンで評価する投資」といえます。

費用比較表

項目リスティング広告SEO
課金方式クリック課金型(1クリックごとに発生)クリックされても無料
初期費用設定費+広告費+運用手数料制作・設計・外注費が発生
費用発生のタイミング広告を出稿している間のみ継続的な運用リソース
成果の持続性広告停止後は即時流入停止長期的・資産型
向いているキーワード顕在ニーズ・ビッグキーワード(検索する人が多いキーワード)情報収集・ロングテールキーワード(複数の単語で構成される、検索ボリュームが少ないキーワード)

広告予算の考え方や費用の決まり方については下記の記事でも詳しく紹介しています。
リスティング広告を検討する際はぜひ参考にしてください。

【2025年最新】リスティング広告の費用|費用相場や予算の決め方を分かりやすく解説!
リスティング広告の費用|費用相場や予算の決め方を分かりやすく解説!
 2024年8月26日 【2025年最新】リスティング広告の費用|費用相場や予算の決め方を分かりやすく解説!

比較③:掲載順位のコントロールと柔軟性

リスティング広告の掲載順位は「入札価格」と「広告の品質(広告文の関連性・CTRなど)」によって決まります。
高い入札金額であれば上位表示される可能性が高く、急な露出が必要な場合にも柔軟に対応できます。

さらに、キーワードごとに地域・デバイス・曜日・時間帯を絞って配信でき、ターゲットに合わせた柔軟な出稿設計が可能です。

SEOはGoogleのアルゴリズムに従って自動的に順位が決まるため、外部からの完全なコントロールは困難です。
継続的な改善・検証、コンテンツ品質の向上が求められ、検索エンジンのルール変更(コアアップデート)に影響されることもあります。

比較④:ユーザー層とアプローチ対象の違い

リスティング広告は、検索キーワードに連動して広告を表示させるため、購入・申込意欲の高い顕在層に対する効果的なアプローチが強みです。
例えば「〇〇 比較」「〇〇 発注」といった具体的なキーワードで広告を出稿すれば、今すぐ情報が欲しい見込み客を効率良く獲得できます。

一方、SEOではより幅広いキーワードに対応できるため「まだ検討を始めたばかり」「問題意識はあるが解決策は探していない」といった潜在層にもアプローチが可能です。

BtoB領域や検討期間が長い商材においては、こうした初期接点の創出が後のCVに大きな影響を与えることがあります。

検討段階別ユーザーに対する有効施策(ファネル)

検討段階別ユーザーに対する有効施策(ファネル)

リスティング広告とSEOのメリット・デメリット

ここまで見てきた特徴をもとに、リスティング広告とSEOそれぞれの具体的なメリット・デメリットを整理しましょう。

リスティング広告のメリット・デメリット

リスティング広告の大きな強みは即効性です。
広告審査が通れば最短即日配信が可能で、検索結果の上部に表示されるため高い視認性を確保できます。
新サービスの立ち上げや短期キャンペーン、決算期の集客施策など、すぐに成果を出したい場合に適しています。

また、広告文・キーワード・時間帯・地域などを自由に設定でき、ターゲット層に合わせた柔軟な配信が可能です。

顕在層に直接訴求できる点でも、CV重視の施策に適しています。
ただし、クリックごとに費用が発生するため、長期的なコストは高くなりがちです。

さらに、広告を止めると即座に流入が止まるため、ユーザー獲得を維持するには、一定の広告費を投下し続ける必要があります。

SEOのメリット・デメリット

SEOの最大の魅力は、良質なコンテンツを制作すればそれが企業にとっての資産となり、広告費をかけなくても中長期的に集客し続けられることです。
ユーザーを集められる基盤を一度固めれば、作成した記事が24時間、潜在的なユーザーをサイトに導き続けてくれるので、長期的な費用対効果に優れた施策であるといえます。

また、自然検索で表示される内容は広告よりもユーザーからの信頼を得やすく、CTRが高い傾向にあります。
検索ニーズに応じた独自性や権威性のあるコンテンツを継続的に発信することで、そのサイトの専門性や信頼性の評価が高まり、ブランディングにも寄与する点も特長です。

一方で、成果が出るまでに時間がかかる点は大きなデメリットです。
上位表示を狙うキーワードや競合状況にもよりますが、3〜6ヶ月以上かかるケースも少なくありません。
長期的な目線でコンテンツを作り続ける必要があるので、やりきるだけの体力を求められる点が、SEOの難しさであるといえるでしょう。

また、Googleのアルゴリズム変更によって順位が大きく変動する場合があり、対策のため定期的に順位変動状況を追いかけたり、コンテンツをアップデートすることが必要です。

近年ではAI Overview(検索結果上部に表示されるAIによる回答)などにより、サイトを直接クリックせずにユーザーが情報を得るケースも増え、クリック流入のチャンスが減少する懸念もあります。

AI Overview表示例

AI Overview表示画面のキャプチャ

SEO・リスティング広告のメリット・デメリット比較表

リスティング広告(検索連動型広告)SEO(検索エンジン最適化)
メリット即日配信が可能で即効性がある検索結果の上部に表示されやすく、視認性が高い配信条件(KW・時間帯・地域など)の柔軟な設定ができる顕在層に直接アプローチしやすい短期施策との相性が良い費用をかけずに実施できる長期的な費用対効果に優れる信頼性につながりやすく、CTRも良い傾向にあるコンテンツが資産として蓄積されるブランディングにも好影響を与えやすい
デメリット継続的に広告費がかかる広告を止めると即座に流入が止まるため、資産にならない成果が出るまでに時間がかかる(3〜6ヶ月以上)Googleのアルゴリズム変動で順位変動のリスクがあるAI Overviewの登場でクリック機会が減少する懸念がある

どちらが有効?目的別おすすめパターン

リスティング広告とSEOの選び方は、企業の事業フェーズやマーケティングの目的によって大きく異なります。

ケース1:新規事業やキャンペーンの立ち上げ期

検索からの自然流入を得るための土台が整っておらず、かつ短期的なスタートダッシュを狙いたい段階では、即効性のあるリスティング広告が有効です。
どのキーワードがCVにつながりやすいかを広告運用で検証し、その結果をもとにSEO施策へと反映するのも有効でしょう。

ケース2:中期的な集客強化フェーズ

中期的な目線で集客強化を図る場合は、「SEO=土台」「広告=ブースト」として使い分ける戦略が考えられます。
SEOコンテンツを充実させて自然検索での流入増加を狙いつつ、特定の商品・キャンペーンなど成果を強化したい部分だけに絞ってリスティング広告を運用しましょう。

ケース3:長期的にブランドを育てる段階

長期的にブランドを育てていきたい場合は、SEOを基軸に、自社メディアを通じて潜在層との信頼関係を構築します。
競合性の高いキーワードだけに限定して、リスティング広告を一定のユーザー獲得を維持するための「リスク回避」に使う手法も有効です。

特にBtoB企業ではこの使い方が多く見られます。

このように「事業のライフステージ × マーケティングの目的」で最適なバランスは変化します。
大切なのは、ひとつの手法に固執するのではなく、柔軟に組み合わせていく視点です。

リスティング広告・SEOのよくある誤解と注意点

リスティング広告とSEOの特徴の違いから、誤解されやすい点を3つ挙げて解説します。

誤解① SEOはノーコストでできる

クリックによる課金はありませんが、コンテンツ制作や内部施策、分析、運用には多くのリソースが必要です。
外注しない場合でも、記事の構成・執筆、更新管理、競合分析など継続的な作業が発生し、人的工数・外注費用・CMSの保守管理費用などのコストがかかります。

コストがかからないのではなく、クリックやCVに対する費用がかからないことと、コンテンツ制作にも費用ではなく時間をかけるという選択肢があるのがポイントです。

誤解② 広告は出稿すれば成果が出る

広告は短期で集客しやすい手法ではありますが、出稿すれば必ず成果が出るわけではありません。

検索結果画面の広告枠は限りがあるため、競合の状況によって掲載順もクリック単価も変動するうえに、流入があったとしてもそこからCV、あるいは成約につながるとは限りません。

成果につなげるためには、広告文のABテストやキーワードの最適化、ランディングページ(LP)の改善など、綿密なPDCAが必要です。
広告も育てる施策であることを留意しましょう。

誤解③ リスティング広告とSEOは競合関係にある

リスティング広告とSEOは、対立構造ではなく補完関係にあります。

例えば、SEOで上位表示が難しいキーワードは広告でカバーし、逆に広告費のかかるワードはSEOで対応するといった戦略的に棲み分けするものと認識すると良いでしょう。

まとめ:目的・予算・時期に応じた最適な選択を

リスティング広告とSEOには、スピード・費用構造・ターゲット層・効果の持続性など、多くの違いがあります。

即効性を求めるならリスティング広告、長期的な資産構築を目指すならSEOが向いています。
しかし、現在のWebマーケティングにおいてはどちらか一方が正解ではなく、特性や状況に応じて両方を併用することが成功の鍵です。

ざっくり、状況に応じて下記のような使い分けを想定して戦略を設計しましょう。

  • 広告でキーワードの反応を見極めながら、SEOコンテンツの優先順位を決める
  • ビッグキーワードや商標ワードなどSEO上位が困難な語句は広告で露出を補完する
  • リスティング広告で短期的に集客しつつ、SEOで中長期的な基盤を構築する

このように、リスティング広告とSEOを相互に補完させる戦略を取ることで、予算の最適化と成果の最大化を同時に達成できます。

とはいえ、適切な配分で戦略を立てていくには、それなりのノウハウや経験が必要です。

「どちらの施策を、どんなバランスでやっていくべき?」「自社の今の状況に合っているのはどの施策?」
そんな悩みを抱えている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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