リスティング広告とは、Googleなどの検索エンジンで、ユーザーの検索キーワードに応じて表示される広告のことです。
関連するキーワードを自ら検索したユーザーに対してアプローチできるため、購買意欲の高いユーザーにピンポイントで届けやすく、少額から始められる点が特徴です。
そのため、現在では多くの企業がデジタル集客の軸のひとつとして活用しています。
一方で、「どのように始めるのかわからない」「配信しても成果が上がらない」といった悩みを抱える方も少なくありません。
この記事では、リスティング広告運用の基本フローをわかりやすく解説します。
リスティング広告の基礎を体系的に理解して、確実に成果へつなげるためのガイドとしてご活用ください!
目次
リスティング広告運用の全体像
リスティング広告の運用とは、単に広告を出稿することではなく、データに基づいて継続的に最適化しながら、問い合わせや購買など設定した目的を達成するためのプロセスを指します。
全体を「準備 → 設定 → 配信 → 改善」の4つのフェーズに整理すると、流れがより明確になります。

リスティング広告は検索キーワードに基づいて表示されるため、今まさにニーズを持つ層へ直接アプローチできる点が最大の特徴です。
ただし、コンバージョン(CV)に直結しやすい一方で、関連するキーワードについて調べているだけのユーザーにも届くため、適切な管理を怠ると成果につながらないクリックが発生し、予算が無駄になるケースも散見されます。
また、広告の運用には日々のデータをもとにした継続的なモニタリングと改善が不可欠です。
クリック率(CTR)・コンバージョン率(CVR)・顧客獲得単価(CPA)といった指標をもとに、継続的に調整を重ねることが大切です。
リスティング広告の始め方・運用のポイントについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。

ここからは、各フェーズごとのフローやポイントについて見ていきましょう。
準備フェーズ:成果を左右する設計段階
広告配信を始める前に、目標・指標・ターゲット・キーワードを明確にすることが必要です。
この準備段階を丁寧に行うほど、配信後の最適化がスムーズになり、広告効果が高まりやすくなります。
1. 目標設定とKPI・KGIの策定
まずは、リスティング広告が貢献すべき最終的な事業目標(KGI)と、それを達成するために追うべき中間指標(KPI)を明確にします。
KGIは、事業全体やマーケティング全体の最終ゴールであり(例:年間売上〇〇円、契約件数〇〇件など)、このKGIを達成するために、リスティング広告の目標を逆算して設定します。
例えば、「CPA20,000円以下」「CV月間50件」など、具体的な数値を設定することがポイントです。
KPIとしてはCTR・CVR・CPAなどを用いるのが一般的ですが、広告費用対効果(ROAS)も併せて確認することで、よりバランスの取れた運用につながります。
この段階での数値目標が曖昧だと、運用後の改善判断が感覚的になってしまうため、数値基準の明文化が欠かせません。
KPIにおける代表的な指標は以下のとおりです。
主なKPI指標
- CTR(クリック率):広告が表示された回数に対するクリックの割合
- CVR(コンバージョン率):クリックのうち成果につながった割合
- CPA(コンバージョン単価):1件の成果にかかるコスト
- ROAS(広告費用対効果):広告費に対する売上比率
これらの指標を明確にしておけば配信後の評価基準がぶれず、最適化の方向性を誤りません。
2. ターゲットの明確化とペルソナ設計
「誰に届けたいか」を具体的に定めることが、広告文やキーワード設定の軸になります。
BtoBでは業種・企業規模・役職など、BtoCでは年齢・性別・興味関心などを細分化して想定しましょう。
例えば、BtoB企業なら導入検討者や意思決定層、BtoCなら購入直前層、比較検討層など、行動段階ごとにペルソナを設定するのが効果的です。
検索意図に合わせた広告設計をすることで、成果につながらないクリックを防ぎつつ、CVRを高められます。
また、ユーザーがどの段階にいるか(情報収集・比較検討・購買直前)を理解することで、訴求の角度を最適化できます。
ユーザーに合わせたキーワード選定のポイントは以下の記事にまとめているので、あわせてご覧ください。

3. 競合分析とキーワードリサーチ
競合の広告を分析すると、業界の訴求軸や料金相場、広告文の傾向が把握できます。
Google広告の「広告プレビューと診断ツール」や「キーワードプランナー」を活用して、検索ボリューム・クリック単価(CPC)・競合度を把握しましょう。
特に、検索数が多いビッグキーワードよりも、2〜3語で構成され、アクションに近いユーザーが検索しそうなロングテールキーワードに注力した方が、CVRが高く費用対効果の良い運用が期待できる傾向にあります。
例えば、「新築戸建て」だけのキーワードよりも「新築戸建て 業者 選び方」や「新築戸建て 住宅ローン控除」といった検索語の方が、意図が明確かつ競合が減り、成果につながりやすくなります。
設定フェーズ:構造設計と広告作成
設定段階では、アカウント構造の整理、広告文作成、入札設定を行います。
設計が複雑すぎると管理が難しくなるため、シンプルで後から直しやすい構造にしておくことが大切です。
1. アカウント構造の設計と整理
リスティング広告のアカウントは、上から順に「キャンペーン → 広告グループ → 広告文・キーワード」という階層構造になっています。

それぞれのキャンペーンの中で、広告グループごとに検索意図(どんな人が・何を探しているか)を揃えると、広告の評価が上がりやすくなり、無駄なクリックを減らすことができます。結果として、クリック単価(CPC)の抑制にもつながります。
例:飲食店を宣伝する場合
| キャンペーン名 | 目的 | 広告の例・訴求内容 |
|---|---|---|
| キャンペーンA | 新規のお客様を増やしたい | 「初回クーポン」「ネット予約」など |
| キャンペーンB | リピーターを呼び戻したい | 「再来店10%OFF」「会員限定特典」など |
| キャンペーンC | 店名で検索した人向け | 「店舗公式サイトはこちら」「アクセス情報」など |
アカウント構造の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

2. 広告要素の準備とテストパターンの設計
準備フェーズで行ったペルソナ設定やキーワードリサーチの結果をもとに、広告で使う要素を丁寧に設計します。
主に設計すべき項目は以下の3つです。
① 広告文の方向性を決める
ユーザーの検索意図に沿った広告文を準備します。
- 「何を求めて検索しているか」をリサーチする
- その意図に合わせて訴求軸(価格、実績、スピードなど)を決める
- クリックした後のLP内容と矛盾しないメッセージにする
広告文は運用中に最適化されていきますが、初期の設計段階では訴求する方向性を言語化しておくことが重要です。
広告文の書き方については、以下の記事も参考にしてください!

② LPの訴求パターンを考える
- ファーストビューのメッセージ
- CTAボタンの文言・配置
- 実績や比較情報の見せ方
カスタマージャーニーに沿ってLPの構成を決めると、ユーザーが求める情報を適切な順番で提示でき、成果につながりやすい流れを作れます。
③ 入札戦略を設定する
入札戦略は、リスティング広告の配信結果に大きく関わる基本設定のひとつです。
まずは、自社の目標に合った戦略を選び、初期設定として採用します。
代表的な入札戦略は以下の通りです。
- 手動入札:クリック単価(CPC)を広告主が自分で設定し、細かく調整できる入札方法
- クリック数の最大化:できるだけ多くのクリックを獲得することを目的に、自動で入札額を調整する方法
- コンバージョン数の最大化:より多くのCVを獲得するために、AIが入札単価を最適化する自動入札方式
- 目標CPA:設定したCPAを達成できるよう、1件あたりの獲得単価を基準に入札を最適化する方法
- 目標ROAS:設定したROASを基準に、売上効率が最大化するよう入札額を自動調整する方式
最初は学習が安定するまで 1つの戦略でスタートするのが基本です。
そのうえで、目標に合わせて「手動入札から目標CPAへ」「クリック最大化からコンバージョン最大化へ」など、どの戦略が自社のKPIに合っているかを考慮して選択します。
これらを踏まえたうえで、各種入稿や設定を進めましょう。
3. 入札単価とCV計測設定
入札単価は目標CPAやROASを基準に逆算して設定します。
日予算の配分は月間予算を稼働日数で割った値をベースとしつつ、検索ボリュームや想定クリック数から使いきれる金額かも確認して微調整します。
また、正確なデータ計測ができなければ改善も最適化も行えないため、計測環境の整備(コンバージョンタグの設置やGA4との連携など)は必須です。
配信・改善フェーズ:データ分析と最適化サイクル
広告を出稿してからが、運用の本番です。日次・週次・月次での定期チェックと分析を行い、改善ポイントを発見していきます。
1. 定期モニタリング
- 日次:広告費・コンバージョン数・CPA
- 週次:クリック率・コンバージョン率などの傾向分析・検索クエリの確認
- 月次:広告グループ別の成果比較・キャンペーンごとの予算再配分
配信を開始してからすぐのうちは、短期的な数値変動に左右されず、一定期間(少なくとも1〜2週間)の推移を観察してから判断することが重要です。
より具体的なリスティング広告の改善方法については、以下の記事もご覧ください!

2. 検索クエリの精査と広告文の改善
検索クエリレポートでは、実際にユーザーが入力した語句を確認できます。
レポートを活用することで、意図しない検索語句を除外して成果につながる語句を追加できるため、流入の質を高められます。
また、現在のリスティング広告では、広告文そのものを直接比較するのではなく、レスポンシブ検索広告(RSA)が自動で見出し・説明文の組み合わせを最適化することで改善する方法が主流です。
そのため、複数の見出しや説明文を用意しておけば、配信しながら自然と成果につながる要素を把握しやすくなります。
こうしたデータをCTRだけでなく、CVR・CPAなどと合わせて確認することが重要です。
3. LPの最適化
ユーザーの検索意図に沿っていないLPは、たとえ広告がクリックされても離脱されやすくなります。
特に意識したいのは以下の3点です。
- ファーストビュー~LP序盤ユーザーの悩みと解決策を提示
- CTAボタンをユーザー導線に合わせて配置
- 信頼を得るための情報(事例・口コミ・実績)を明確に掲載
こういったポイントを踏まえて改善を継続的に行うことが、CVRの向上につながります。
4. 自動入札の活用
リスティング広告の改善では、自動入札機能を活用することで運用精度を高められます。
Google広告の自動入札は、AIがリアルタイムで入札調整を行うため、成果が出やすい検索語句を自動で最適化できます。
運用が安定したら、まずは自分で金額を調整する手動入札から始め、成果に応じて AIが自動で調整してくれる目標CPAへ、さらに売上重視の目標ROASへと段階的に切り替えると、改善効果を確認しやすくなります。
2025年のリスティング広告トレンド
2025年現在、リスティング広告はAIと自動化の発展により、運用のあり方が大きく変化しています。
人が行うべきは設定よりも、分析とその結果に基づいた戦略立案。つまり、考える運用が求められています。
これからは「検索広告 × SNS × 動画広告」など複数の媒体・広告手法を組み合わせた運用が増えると考えられており、各チャネルの特性を理解したうえで一貫性のあるメッセージ設計を行うことが成功の鍵になるでしょう。
特に注目すべきトレンドは以下の3点です。
- AIによる自動最適化の精度向上
- 入札調整・広告文生成・配信時間の最適化などが自動で行われ、運用者は戦略設計に注力できるようになっています。
- ファーストパーティデータ(顧客データ)活用の重要性
- 規制の影響で、自社で集めた顧客データ活用の重要性が高まっています。
顧客管理システム(CRM)を活用し、顧客ごとに最適な広告を配信することで効果を高められます。
- 規制の影響で、自社で集めた顧客データ活用の重要性が高まっています。
- 音声検索・自然言語検索への対応
- 「〜するには?」型の検索が増加しており、自然な質問に答える形の広告文が効果的です。
まとめ:継続的な改善こそが成果を生む
リスティング広告運用は、一度設定しただけでは完結せず、継続的な改善を重ねることが重要です。
CTRやCVRの変化を日々捉え、数値の裏にあるユーザー行動の理由を分析することを意識しましょう。
また、SNS広告などの他施策との連携を強化することで、ブランド全体の認知拡大にもつながります。
さらに近年では、AIをはじめとする最新技術の活用によって広告運用の精度が飛躍的に高まっています。
顧客ごとの属性や行動履歴をもとに広告を最適化することで、新規顧客の獲得だけでなく、リピート促進や顧客生涯価値(LTV)の向上につなげることも可能です。
リスティング広告は、データを「集める」施策ではなく、データを「活かす」施策です。
運用にお悩みがある場合は、リスティング広告に強いASUE株式会社までお気軽にご相談ください。
Web広告の運用改善には、以下の事例集もぜひ参考にしてください。
売り上げを増やすためのWeb広告成功事例集
- CVは付くものの成約に繋がらない
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- 専任担当者がおらず知見・時間が無い
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上記のようなお悩みを持った方へ
すぐに役立つASUEの広告改善事例を紹介します!
この記事を書いた人
田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用5年目
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。