リスティング広告の運用を成功させるためには、どれだけの予算をかけるかよりも「どのように予算を設定し、配分するか」が重要です。
この記事では、リスティング広告の予算の決め方から配分時のポイント、さらに効率的に成果を上げる実践テクニックまで、リスティング広告運用における戦略的な考え方を解説します。
目次
リスティング広告の予算設定における基本原則
リスティング広告の予算を組む際に最初に押さえておきたいのは、単なる金額の多寡ではなく「成果との整合性」です。
以下では予算決定の基本的な考え方について見てみましょう。
広告予算を設計する基本的な方法
まずは、リスティング広告の成果を左右する予算設定の基本的な考え方として、目標から逆算する設計手法について解説します。
例えば、月間のコンバージョン(CV)目標が100件で、想定されるCPA(顧客獲得単価)が5,000円なら、必要な広告予算は
100件×5,000円=50万円
が目安となります。
これが「目標から逆算する」考え方です。

まだ実績が少ない段階では、業界平均CPAや競合情報を参考に仮の目安を設定し、運用を通じて調整していくのが現実的です。

リスティング広告の費用相場や予算の決め方については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

予算増加=成果増ではない
広告予算を増やせば、そのまま成果も上がると考えるのは危険です。無計画な増額は、費用対効果(ROAS)の悪化につながることがあります。
例えばクリック単価(CPC)が高騰している、またはコンバージョン率(CVR)が下がってCPAが悪化している状況で、ただ予算を増やすだけでは、かえって1件あたりの成果コストが悪化するリスクがあります。
CPCが高いキーワードに過剰に予算を配分すれば、投資収益率(ROI)が偏ってリスティング広告全体の効率が下がる場合もあるでしょう。
重要なのは「いつ、どのように増額すべきか」の見極めです。
過去の実績や指標をもとに、予算を増やすべき局面と維持・削減すべき局面を判断し、成果と連動した柔軟な調整を行いましょう。
CPCの詳細については下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。

リスティング広告の予算設計に必要な3つの視点
効果的な予算設計には、事業のフェーズ、キーワードの特性、そして費用対効果の視点からの戦略立案が必須です。
この章では、それぞれの視点について、実践に落とし込める形で整理します。
1. 事業フェーズに応じた予算設計
企業の成長段階によって、広告に求められる役割は異なります。
一般的に、新規立ち上げ期であれば「認知獲得」が優先されるため、多くのインプレッションを得るための予算が必要です。
一方、成長期には「成果の最大化」、安定運用期には「費用対効果の最適化」が重視されます。
自社の現状と今後の展望を見据えて、予算配分を定期的に見直しましょう。
2. キーワードの競合度とCPC
リスティング広告出稿においては、キーワードの選定が費用を大きく左右します。
例えば「保険」「不動産」のようなキーワードは、1件あたりの成約単価が高いことや競合が多いことなどから、CPCが高騰しやすい傾向にあります。場合によっては数千円に達するケースもあるため、少額予算では十分な露出が期待できません。
逆に、ロングテールキーワードと呼ばれる「生命保険 女性 30代 積立」や「不動産 名古屋 一人暮らし 1K」のような、需要を細かく特定したキーワードなら、CPCを抑えつつCVを狙いやすくなります。
競合状況をリサーチし、予算と成果のバランスを意識した設計が求められます。
3. ROI視点での配分
広告予算に目を向ける際、単にCPAにだけ目を向けると、本来の費用対効果を見誤ることがあります。
広告投資によってどれだけの利益が得られたかを示す、ROASも重要な指標として予算を配分すべきです。
例えば、CPAが高くても高単価商品の成約が得られる場合、結果として高ROASが実現できることもあります。
効果を高める予算配分のポイント
広告費を最大限に活かすには「どこに、どれだけ使うか」が重要です。
ユーザーが検索する目的や使用するデバイス、配信時間帯によってリスティング広告への反応は大きく異なるため、分析と調整を繰り返すようにしましょう。

配分方法には、具体的にどんな切り口があるんでしょうか?
検索の目的を意識して配分
リスティング広告のキーワードは、例えば「〇〇(製品名) 評判」「自動車保険 見積もり」など具体的に購入や契約を見据えた顕在層向けのものと、「経費精算 効率化する方法」といった課題の解決策を模索している潜在層向けのものに分けられます。
顕在層のユーザーは購入意欲が高いため、こうしたキーワードをターゲットとしたキャンペーンに重点配分することで、少ない費用で成果が得られる可能性が高いといえます。
デバイス別配分
2025年時点では、多くのWeb広告やサイトにおいてPCよりもスマートフォンからのアクセスが主流です。
ただし、ジャンルや製品によっては、PCの方が成約率が高いケースも見られます。
Google広告ではデバイスごとに入札調整が可能なため、自社データを元に最適な予算配分を行うことが重要です。
時間帯・曜日別配分
ユーザーの行動パターンに応じた時間別の戦略も、成果向上に直結します。
例えば、多くの業界においてBtoB企業では平日9~18時がCVのゴールデンタイムですが、BtoCでは夜間や週末の方が成果が上がることがあります。
時間帯別の分析と入札調整は、予算の無駄を省くうえでも効果的です。
リスティング広告の費用を最大限に活かすには、配分の仕方がカギになります。
キャンペーンの目的やデバイス別、時間帯ごとの特性を活用し、効率的な予算設計を実現しましょう。
予算効率を高めるための実践ポイント
成果を伸ばすためには設定や配分だけでなく、日々の運用改善が不可欠です。
ここでは、広告予算を無駄なく使い、費用対効果を最大限に引き出すための、4つの実践的なアプローチを紹介します。
1. ネガティブキーワードの活用
リスティング広告では「どの検索キーワードで広告を表示させるか」だけでなく「どのキーワードでは表示させないか」も重要です。
意図しない検索語句に自社のリスティング広告が表示されてしまうと、CVにつながらない無関係なクリックが発生し、予算が無駄に消化されてしまいます。
例えば、有料商材の直接的な購入を目的に運用する場合であれば「無料」「タダ」「フリー」などをネガティブキーワードとして除外することで、成果に結びつきにくい検索から自社の広告を遠ざけられます。
2. ランディングページの最適化
クリックされた後にユーザーが訪れる「ランディングページ(LP)」が魅力的でなければ、どれだけリスティング広告にお金をかけたり、キーワードを練ったりしても意味がありません。
広告の訴求内容とLPの内容を一致させることで離脱を防ぎ、CVにつなげることが重要です。
- 広告文とページの訴求軸が一致しているか?
- 問い合わせ・購入ボタンなどのCTA(Call To Action)は適切か?
- モバイル表示に最適化されているか?
- LPの表示速度に問題はないか?
- 送信フォームでユーザーに余計な負担をかけていないか?
こうした観点からLPを見直すことで、CVR(コンバージョン率)が劇的に改善されることがあります。
3. 定期的なABテスト
複数の広告を公開し、どれが効果的かを検証するABテストは、改善の基本中の基本です。
タイトルや説明文、CTAのデザインや色味の違いだけでも成果が変わるため、常に複数パターンを運用し、より反応が良いものに切り替えていくことが大切です。
- テスト項目(変更点)は1回につき1要素に絞る
- 一定のインプレッションやクリック数をもとに判断する
- テスト後は必ず結果を記録し、その後も活用する
このように、ABテストは運用改善のために継続的に取り組むべき施策です。
4. データに基づいたPDCAの継続
リスティング広告は「出稿して終わり」ではありません。
予算効率を高めるためには、週次・月次でデータを確認し、改善アクションを繰り返すことが不可欠です。
具体的には、以下のようなサイクルを意識しましょう。
- Plan(計画):KPI(目標の進捗状況を定量的に把握するための指標)や予算配分の目標を設定する
- Do(実行):広告運用を開始・調整する
- Check(検証):CPAやROASをモニタリングし、改善点を洗い出す
- Act(改善):配分変更やキーワード見直しなどを実施する

まとめ:進化する予算設計と配分戦略
リスティング広告の成果を上げるには、予算の「額」だけでなく「使い方」が重要です。
この記事では、目標から逆算して予算を決める方法、事業の段階やキーワードの特性に合わせた配分の考え方などをお伝えしました。
着実に成果を上げるためには、予算をただ使うのではなく、戦略的に使うことが大切です。
ユーザーの行動に合わせた配信時間やデバイス別の工夫など、さまざまな角度で運用を考える必要があります。今の運用を定期的に見直しながら、数字だけでなく目的にも目を向けた運用を心がけましょう。

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この記事を書いた人

田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用歴3年以上
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。