【徹底解説】リスティング広告のアカウント構成とターゲティング設計|失敗しない初期設計のコツ

2025年10月02日

リスティング広告は、GoogleやYahoo!の検索エンジンでユーザーがキーワードを入力したときに表示される検索連動型広告です。
自ら情報を求めているユーザーに向けて広告を配信できるため、Web広告の中でもコンバージョン率(CVR)が高くなりやすい傾向にあります。

ただし、初期設定を誤ると思うような成果は出ず、広告予算を無駄に消費することになってしまいます。
特に「アカウント構成」と「ターゲティング設計」は広告効果を大きく左右するため、適切に設計することが重要です。

この記事では、リスティング広告運用で失敗しないための初期設計についてまとめました。

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アカウント構成の考え方からターゲティングの最適化、具体的な設定ステップなどを解説します。

リスティング広告のアカウント構成とは?

リスティング広告を運用する最初のステップが「アカウント構成」です。
この仕組みを理解していないと広告の成果が安定しにくく、改善効率も下がってしまいます。

アカウント構成とは、リスティング広告を整理・管理するための階層構造のことです。
大きく分けると以下の5階層で構成されます。

  • アカウント:企業情報や支払い設定を管理する最上位階層
  • キャンペーン:予算・地域・配信スケジュールを設定する単位
  • 広告グループ:広告文とキーワードをまとめる単位
  • キーワード:検索クエリと広告を結びつける語句
  • 広告:ユーザーに表示される広告文とリンク先

リスティング広告のアカウント構造階層図

失敗しないアカウント構成の基本原則

アカウント構成の設計で判断が難しいのは「どこまで分けるか、どこでまとめるか」です。
失敗を避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

キャンペーンは目的や条件ごとに分ける

キャンペーンで設定できるのは予算や配信地域・配信スケジュール・入札戦略などがあり、それらに応じて分けるのが一般的です。

また、目的が違う場合や予算が異なる場合にも、キャンペーンを分けるのが好ましいといえます。
例えば、目的の違いであれば新規顧客獲得とリマーケティング、予算が異なるケースであれば最初はサービス訴求中心で配信していたものの、そこから3割ほどの予算でブランド訴求をテストするような場合などです。

キャンペーンは一つにまとめた方がデータが集中し、AIの学習効率が高まるため、目的やターゲットが同じであればむやみに分けないようにしましょう

Google広告では、一般的に1キャンペーンあたり月間30件以上のコンバージョン(CV)があると学習が安定しやすいとされています。

細分化しすぎるとデータ不足で最適化が進まないリスクがあるため、注意しましょう。

広告グループは検索意図ごとにまとめる


広告グループは機能的には広告文を変えるために存在しますが、実際には広告文の有効性はユーザーの検索意図(=キーワード)によって変わります。

つまり「広告文を変えたいとき」と「検索意図が異なるとき」はほぼ同義であり、広告グループは検索意図ごとにまとめる(分ける)ことが最も有効です。
これにより、広告文と検索キーワードの関連性が高まり、クリック率(CTR)やCVRの改善につながります。

ターゲティング設計の基本と最適化

アカウント構成と並び、リスティング広告の効果を左右するのが「ターゲティング設計」です。
興味の薄いユーザーに広告を届けてしまうと、成果につながらないクリックが発生して広告費用が無駄になりかねないため、以下のポイントを意識して適切にターゲティングしましょう。

キーワード選定

キーワードはユーザーの検索意図を反映するものです。
検索意図を考慮しながら関連するキーワードを網羅しましょう。

検索意図別キーワード分類

カテゴリ具体例特徴活用ポイント
ブランドキーワード自社名・商品名・サービス名(例:「〇〇株式会社」「△△クリニック」「商品A」)・指名検索のためCVRが高い
・既存顧客や検討層が多い
・必ず押さえておくべき最重要キーワード
・競合に取られないようにする
サービスキーワード提供内容を表す一般語
(例:「リスティング広告 運用」「美容サロン 名古屋」)
・検索ボリュームが大きい
・競合が多くCPCが高騰しやすい
・広告文とLPを連動させ、差別化ポイントを訴求
・中長期的な集客基盤に
課題解決キーワードユーザーの悩みや目的に直結する語句
(例:「広告 費用を抑える」「短期間で痩せる 方法」)
・購買意欲が高いユーザーが多い
・検索ボリュームは小〜中規模
・効率よくCV獲得につながる
・ロングテール戦略で低予算でも効果を得やすい

地域・デバイス・時間の設定


広告効率を高めるには、商圏に合わせた地域設定やデバイスごとの入札調整が効果的です。

例えば、実店舗を持つ美容サロンであれば来店可能な半径数キロの地域に絞り、逆にオンラインサービスであれば全国や特定都市を対象にするなど、サービス特性に応じて調整します。
また、BtoB商材の場合はパソコンからのアクセスを重視し、スマートフォンの入札を抑えるといった工夫も有効です。

さらに、BtoB商材なら平日の昼間、ショッピングサイトなら平日の夜や週末など、CVが発生しやすい時間帯や曜日に配信を集中させれば、限られた予算でも成果を伸ばせます。

リスティング広告の初期設定7ステップ

リスティング広告は一見複雑に見えますが、順序立てて丁寧に設定を進めれば初心者でも比較的成果を出しやすい広告です。

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ここでは初期段階で押さえるべき7つのステップを紹介します。

1. 訴求内容を明確化する

最初に考えるべきは「何を伝えるか」です。
商品やサービスの強みを整理し、ユーザーにとっての価値を明確にしましょう。

例えば、ある美容サービスでは「短時間で効果を実感できる」という訴求軸に絞った結果、クリック率が従来の2倍に改善した例があります。
訴求軸がぶれると広告文も散漫になり、ターゲットや想定される検索意図も噛み合わないまま進めることになるため、ここでの整理がすべての土台になります。

2. ターゲットを設定する

次に「誰に届けたいか」を明確にしましょう。
年齢・性別といった基本属性に加え、興味・関心や課題意識を具体化することが重要です。

例えば「30代女性・OL・時短美容に関心がある層」といった形で設定すれば、その人たちが検索しそうなキーワードや訴求ポイントが見えてきます。
ターゲットを曖昧にしたまま広告を配信すると、無駄なクリックが増え、コスト効率が悪化しかねません。

3. キーワードを選定する

リスティング広告の成否を左右するのがキーワード選定です。
選定の際は先述の表のように、以下の3つに分類すると整理しやすくなります。

  • ブランドキーワード:自社名や商品名など指名検索用
  • 商品・サービスキーワード:提供内容を示す一般的な用語
  • 課題解決キーワード:ユーザーが抱える悩みや課題に関連する語句

さらに、検索ボリュームや競合性をキーワードプランナーやラッコキーワードなどのツールで確認し、適切に組み合わせることが大切です。
関連性の高いキーワードを網羅しつつ、興味の薄いユーザーからのクリックで予算を消費してしまわないように、無関係な語句を含めないようにすることもポイントです。

4. マッチタイプを決める

Google広告には複数のマッチタイプがあります。
2025年現在、Googleは検索意図に応じて柔軟に広告を表示させる「インテントマッチ」の利用を推奨しています。

インテントマッチとは、以前の「部分一致」にあたるマッチタイプで、単なる単語の一致だけでなく、AIがユーザーの検索履歴や文脈まで考慮して広告表示を判断する、より賢い仕組みになったものです。

ただし、すべてをインテントマッチにすると無駄なクリックが発生するリスクもあるため、特に重要なキーワードは「フレーズ一致」や「完全一致」を組み合わせると効果的です。

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幅広い検索を拾いつつ、狙うべきユーザー層に広告を届けましょう!

5. リンク先URLを最適化する

リスティング広告からの誘導先ページは、成果を大きく左右します。
飛び先の商品ページやランディングページ(LP)を検索意図にマッチするものとすることで、CVRを高められます。

反対に、例えば特定のサービスへの問い合わせをしたい意図で流入したユーザーをコーポレートサイトのトップページに誘導してしまうと、ユーザーを必要な情報から遠ざけてしまい、離脱を招きかねません。
広告の訴求内容とリンク先ページの内容に一貫性を持たせるようにしましょう。

6. 広告グループを構成する

広告グループは、同じ広告文を見せたいキーワードのまとまりとして設計しましょう。

例えば「英会話 初心者」と「英会話 ビジネス」を同じ広告グループに入れてしまうと、検索意図が異なるため広告文の関連性が下がってしまいます。
こうした場合はそれぞれ別の広告グループに分けることで、ユーザーの検索意図に合った広告を表示でき、成果につながりやすくなります。

ただし、広告グループを増やしすぎると管理が煩雑になり、データも分散します。
必要最小限にまとめることが、運用効率とAI学習の両方を高めるポイントです。

7. キャンペーンを設定する

最後に、キャンペーン単位で予算・地域・スケジュール・入札戦略を定義します。
初期段階では「目標CPA」や「CV値の最大化」といった自動入札戦略を活用すると効率的です。

ただし自動入札には学習期間を要し、導入直後はCPAが乱高下することもあります。
最低でも2週間程度のデータを見て判断することが、正しい改善のためには欠かせません。

予算管理と配信地域の設定は見落とされがちですが、ここでの精度が低いと成果につながらない無駄なクリックが発生してしまいます。
配信する地域や時間を明確にし、効率的に予算を投下することが成果のカギとなります。

ASUEくん

より詳しいリスティング広告の運用手順は、以下の記事でも詳しく紹介しています!

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 2024年9月24日 【徹底解説】キャプチャ付き|リスティング広告のやり方を丁寧に解説します!

リスティング広告の初期設定チェックリスト

最後に、これまでの内容のなかでも重要なポイントをチェックリストとして5つにまとめました。
適宜見直しながら、自社の設定に見落としがないか確認しましょう。

  • キャンペーンの分け方は適切か?
     目的や予算が異なる場合だけ分けているか。細かくしすぎていないか。
  • 広告グループは分散していないか?
     同じ訴求軸なのにマッチタイプ別に分けてしまっていないか。
  • キーワードの重複はないか?
     同じキーワードを複数のキャンペーンや広告グループに登録していないか。
  • マッチタイプのバランスは取れているか?
     完全一致やフレーズ一致に偏って、潜在顧客を逃していないか。

いずれも、多くの企業がリスティング広告運用で陥りやすいポイントです。
失敗を避けるためにこれらの項目を意識してください。

まとめ|リスティング広告は初期設計が成果を左右する

リスティング広告は、初期設計次第で成果が大きく変わります。
アカウント構成は複雑にせずシンプルに保ち、キャンペーンや広告グループは「明確な意図」がある場合にのみ分けるのが基本です。

ターゲティング設計では、検索意図を読み取ったキーワード選定とマッチタイプの設定を軸に、地域・デバイス・時間を組み合わせることで効果を高められます。

成果を出すためには「シンプルさ」「意図を持った分け方」「継続的な改善」が欠かせません。
初期段階で正しく設計することで、無駄なコストを抑えつつCVの最大化につなげられます。

初期設計から運用まで適切に行うためには、プロである広告代理店に依頼する方法も有効です。
これから取り組もうと考えているなら、リスティング広告運用に強い当社にぜひご相談ください。

リスティング広告運用についてさらに深く学びたい方は、以下の記事もおすすめです。

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