リスティング広告におけるキーワード選定の基本と見直しポイント

2025年09月25日

リスティング広告の運用成果を大きく左右するのは「キーワード選定」です。
適切に設定できなければ、どれだけ優れた広告文やランディングページ(LP)を用意しても成果につながりません。

この記事では、リスティング広告におけるキーワード選定の基本戦略と見直しポイントを解説し、
実際の事例も紹介します。

リスティング広告におけるキーワード選定の重要性

リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して広告が表示される仕組みです。
つまり「どのキーワードを拾うか」がすべての起点になります。

多くの企業が直面する課題は「顕在層向けキーワードに偏ってしまい、十分なアクセスを得られなくなること」です。「〇〇 治療」「〇〇サービス 比較」といった成約につながりやすいキーワードは、コンバージョン率(CVR)が高い一方、クリック単価(CPC)が高騰しやすく、流入を広げるのが難しくなります。

差別化のポイントは、潜在層〜準顕在層を意識したキーワード設計です。
短期は顕在層、並行して中長期は潜在・準顕在層を育成する二層戦略にすると、獲得の安定性が高まります。

リスティング広告におけるキーワード分類と傾向

キーワード選定の基本戦略と具体的な手順

ここでは、キーワード選定の基本的な4つの戦略について解説します。
単純にキーワードを羅列するのではなく、ユーザーの検索意図を踏まえた体系的な選定がポイントです。

基本戦略①:軸ワードと掛け合わせワードで考える

適切なキーワードを選定するために、まずは「軸ワード」と「掛け合わせワード」の考え方を理解しましょう。

  • 軸ワード:商品やサービスそのものを表す語句
    • 例)英会話スクールなら「英会話」「英語」、電気店なら「エアコン」「冷蔵庫」
  • 掛け合わせワード:ユーザーのニーズや行動を示す語句
    • 例)「比較」「料金」「評判」

実際の検索行動では、1語のみの検索は一部にとどまり、2語以上の複合キーワードが大半を占めます。
つまり「軸 × 掛け合わせ」で複合化することが、ターゲットの検索意図を捉える近道になります。

リスティング広告における複合キーワードのイメージ

さらに、実務で役立つのがキーワード調査ツールです。

  • Googleキーワードプランナー:検索ボリュームや入札単価を確認できる標準ツール
  • ラッコキーワード:サジェスト(ユーザーのニーズや興味関心の把握に役立つキーワード)候補を一括で取得可能
  • Ubersuggest:競合サイトが狙っているキーワードを分析できる

例えば、「英会話スクール」で調査すると、以下のような候補が得られます。

  • 「英会話スクール 初心者 東京」
  • 「英会話スクール 料金 比較」
  • 「英会話スクール 短期集中 社会人」
  • 「英会話スクール オンライン 安い」

このように、軸ワードと掛け合わせワードを体系的に整理し、ツールで裏付けを取ることで、「思いつきではない」戦略的なキーワード設計が可能になります。

基本戦略②:ユーザーの検索意図を理解する

キーワード選定の目的は、ユーザーの検索意図とリスティング広告を結びつけることです。

意図は大きく3つに分類できます。

  1. 情報収集型:知識を得たい(例:「リスティング広告 仕組み」)
  2. 比較検討型:選択肢を比べたい(例:「リスティング広告 費用相場」)
  3. 購入・申込型:すぐに行動したい(例:「リスティング広告 代理店 おすすめ」)

特に「購入・申込型」はCVに近い顕在層です。
一方で「情報収集型」は潜在層で即効性は低いものの、コンテンツや広告で魅力が伝われば将来の顧客になるでしょう。

例えば、短期的に成果を求めるなら「顕在層キーワード」を中心に。中長期的に見込み客を広げたいなら「潜在層・準顕在層キーワード」も積極的に取り入れましょう
戦略に応じた、こうしたキーワードの組み合わせで広告効果が大きく変わります。

基本戦略③:適切なマッチタイプを設定する

  • 完全一致:検索意図が完全に一致した場合のみ広告表示される。もっとも範囲が狭く、精度の高いターゲティングが可能
  • フレーズ一致:登録キーワードを含む語句に表示され、語順や前後の単語が異なっても広告が表示される。完全一致より広く、インテントマッチより狭い中間的な範囲
  • インテントマッチ(旧:部分一致):関連性が高いと判断された幅広い語句に表示される。登録キーワードを含まなくても配信される場合があり、最も広い範囲で広告表示が可能。

最初は「インテントマッチ」で広く配信し、レポートを分析 → 効果的な語句を抽出 → 完全一致やフレーズ一致に絞り込むという流れがおすすめです。

ただしインテントマッチは関連性の低い検索にも出やすいため、除外キーワード設定を並行して行うことが必須です。

例:
英会話スクールのリスティング広告で、キーワード「英会話 初心者」をインテントマッチで設定
→「英会話教材」「英会話アプリ」といった検索意図が異なる場合にも表示されてしまう
→「教材」「アプリ」を除外設定して最適化

基本戦略④:競合分析を活用する

競合の出稿状況を調べることで「差別化できるキーワード」を発見できます。

  • 競合サイトのLPや広告文を分析し、ユーザーへの訴求軸を探る
  • SEOツールを活用し、出稿キーワードを推測
  • 競合が取りこぼしているニッチ領域を狙う

例:競合が「ビジネス英語」に注力しているなら、訴求の切り口を変えて「海外旅行で役立つ英会話」「医療業界人向け英語講座」といった、より具体的なニーズに特化して広告やコンテンツを制作する。

競合が避けているゾーンで「自社の強み」を示せるかどうかが、効率的な集客に直結します。

ASUEくん

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成果を高めるためのキーワード戦略

キーワード選定の基盤が整ったら、次は「成果を高めるための戦略」をとりましょう。
単に顕在層を狙うだけでは広告費が高騰しやすく、獲得件数も思うように増えません。

マーケティングファネル(顧客が商品やサービスを認知してから購入し、さらにリピーターになるまでのプロセスを段階的に可視化したもの)全体を意識して、潜在層〜顕在層までを取り込む設計を行うことが成果拡大のカギになります。

マーケティングファネルと検索意図の対応

口臭治療を売りにしている医院を例に挙げて、潜在層〜顕在層までの各層が検索すると考えられるキーワードと、広告出稿側の対応例をそれぞれ紹介します。

  • 潜在層
    • 検索例:「口 におう」「口臭 原因」
    • ユーザーは課題を漠然と感じている段階。ここでは「知識提供型」の広告や記事を通じて信頼関係を築きます。
  • 準顕在層
    • 検索例:「口臭 対策」「口臭 改善 方法」
    • ユーザーは解決方法を探しています。広告文には「セルフケアだけでなく専門治療もある」といった解決策の提示が効果的です。
  • 顕在層
    • 検索例:「口臭治療 クリニック」「口臭外来 名古屋」成約に直結するワード。CPCは高くても、ここで成果を出すことが短期的な目標です。

広告文の工夫

ターゲット層ごとに広告文のアプローチを変えることで、CTR(クリック率)やCVRは大きく改善します。

  • 潜在層向け:「気になる口臭、放置していませんか?」など共感・気づきを与えるコピー
  • 準顕在層向け:「セルフケアで改善しない方に|専門治療をご提案」など比較検討を促すコピー
  • 顕在層向け:「初回カウンセリング無料|口臭治療専門クリニック」など行動を後押しするコピー

LPの工夫

広告文と同様に、LPもターゲット層に合わせて最適化します。

  • 潜在層向け:情報提供型(記事風のコンテンツやFAQページ)
  • 準顕在層向け:比較型(治療内容や料金プランの説明がメイン)
  • 顕在層向け:申込特化型(予約フォーム・無料相談ボタンを強調)

入札の工夫

マーケティングファネルごとに想定される検索ボリュームとCVRは違います。そのためターゲット層に応じた入札を設定し、クリック単価の調整を行う必要があります。

  • 潜在層向け:検索ボリューム多い・想定CVR低い→クリック単価を抑えるために、入札を低めに設定
  • 準顕在層向け:検索ボリュームも想定CVRも中程度→クリック単価も中程度となるように、入札を設定
  • 顕在層向け:検索ボリューム少ない・想定CVR高い→クリック単価の相場は高いため、入札も高めに設定

こうした設計により、ユーザーの「検索意図 → 広告文 → LP → CV」の流れが自然につながり、成約に結びつきづらいクリックを減らしつつ成果を最大化できます。

見直しのポイントと分析方法

キーワード選定は一度きりではなく、運用データをもとに継続的に改善することが成果を最大化するカギです。

特に最初の3か月は蓄積したデータをもとに「分析と調整のサイクル」を徹底することが重要です。

主な見直しポイント

キーワードを見直す際は以下のようなポイントを意識してください。

  • 検索クエリレポートの分析
    • 実際にどの検索語句でリスティング広告が表示されたかを確認します。
    • 想定より効果の高いキーワードを発見し、新たに登録。逆に無駄な検索語句は除外キーワードに設定します。
    • 例:設定キーワード「口臭 対策」
      → 実際に検索された語句「口臭対策グッズ 無料」
      → 無料グッズを配布しているわけではないため「無料」を除外に追加
  • コンバージョン率(CVR)の確認
    • CVRが高いキーワードは入札単価を引き上げ、流入を増やします。
    • CVRが平均の半分以下であれば広告文やLPを見直しましょう。
    • 目安:CVRが1〜3%未満は改善余地とされることが一般的。ただし、業界水準と比較することが重要です。
  • クリック率(CTR)の確認
    • CTRで広告文とキーワードの関連性が適切かどうかがわかります。
    • 目安:業界平均にもよりますが、検索広告でCTRが1%未満なら広告文の訴求や広告グループの設計を見直すのが望ましいとされています。
  • 費用対効果(CPA・ROAS)の分析
    • 投資に対する効果を確認し、効率が悪いキーワードは停止または入札の引き下げを行います。
    • Google広告管理画面の「キャンペーン → キーワード」から確認可能。
  • 季節性やトレンドの考慮
    • 商品やサービスによって需要は大きく変化します。
    • シーズンに合わせた追加・削除で無駄なコストを防ぎます。
    • 例:エアコン=夏前、英会話=新年度など。

見直しの実務フロー

あくまで例ですが、キーワードの見直しは以下のようなサイクルで行うと良いでしょう。

  1. 毎週:検索クエリレポートを確認 → 除外キーワード追加
  2. 毎月:CPA・ROASのチェック→効率に応じてキーワードの停止・抑制・強化
  3. 四半期:検索語句やCTRの確認→広告文の見直し

この「週・月・四半期」のリズムを回すことで、広告配信が安定し、長期的に成果を伸ばせます。

事例紹介:口臭治療クリニックのキーワード見直し

リスティング広告の改善は「理論」だけでなく、実際の事例から学ぶことでよりイメージしやすくなります
ここでは実際の事例として、月200万円の広告予算を投じていた口臭治療クリニックのケースを紹介します。

課題:顕在層ワードへの依存による失敗

当初は「口臭治療」「口臭 クリニック」といった顕在層ワードのみに絞って配信しており、CVRは高かったものの、以下のような典型的な行き詰まりに陥っていました。

  • CPCが1,500円前後と高めで、費用対効果が良くない
  • 広告予算をまるまる消化しても流入数が伸びない
  • 結果として獲得件数が伸び悩む

これは多くの医療系広告や高単価サービスにありがちなケースで、顕在層だけを狙ったことで費用が高くなり、成長余地がなくなるというパターンです。

改善施策:潜在層・準顕在層キーワードの導入

  • 新たに追加したキーワード:「口 におう」「口臭 対策」「口臭 改善 方法」
  • 広告文の調整
    • Before(顕在層向けのみ)
      • 「専門医による口臭治療|今すぐご予約を」
    • After(潜在層向けも追加)
      • 「最近、口臭が気になる方へ|セルフチェックから始めませんか?」
      • 「口臭対策に限界を感じたら|医療でできることをご紹介」

こうした広告文は今すぐ治療を受けたい人だけでなく、気になり始めた人や対策を探している人にも刺さりやすくなります。

結果

  • CPCが 1,500円 → 600円 に低下
  • 流入数が 月1,300 → 月3,300 に増加
  • CV数は 月40件 → 月100件 に改善
BeforeAfter
CPC1,500円600円
流入数1,3003,300
CV数月40件月100件
ロングテールキーワード活用CPC低下・CV獲得効率化
自動入札戦略の活用入札最適化・費用対効果改善

ポイント解説

上の事例からは、以下のようなことがわかります。

  • 顕在層狙いのキーワードだけに偏ると、高い費用に対して獲得件数が伸びにくい傾向がある
  • 潜在層・準顕在層を組み込むと「効率と規模」を両立できる
  • 広告文・LPも層ごとに最適化することで、流入数と獲得件数が安定する

もちろん、顕在層と潜在層の狙い方のバランスは、業界や市場・競合、自社のポジション、求める成果によって大きく変わります。

この事例のように、顕在層~潜在層のバランスをとることで改善するケースもあれば、顕在層に的を絞って成果が出るケースもあるので、全体最適を取れる戦略を分析し、チューニングしていくことを意識しましょう。

キーワード選定を制する者がリスティング広告を制する

リスティング広告におけるキーワード選定は一見複雑ですが、基本戦略と定期的な見直しポイントを押さえれば改善できます。

リスティング広告の性質上、顕在層の獲得に目が行きがちですが、極端に偏るのではなく、潜在層、準顕在層も含めて広い視野でターゲットを見ることが大切です
最初に正しく設計し、その後も定期的に見直すことで、広告費を無駄にせず安定した成果を積み重ねられるでしょう。

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