リスティング広告運用の成果を改善するには?改善の進め方と指標の見直し方

2025年08月21日

リスティング広告は、ただ配信するだけでは十分な成果を得られません。

広告運用の本質は、配信後の「改善」にあります。重要なのは、正しい指標を把握して仮説検証を繰り返しながら、費用対効果を最大化することです。

この記事では、リスティング広告運用の成果が伸び悩んでいる方に向けて、成果指標の読み解き方と具体的な改善方法を解説します。

改善力のある広告代理店の見極め方も紹介するので、広告運用の外注を検討している場合はぜひ参考にしてください。

なぜリスティング広告は「改善」が前提なのか

リスティング広告(検索連動型広告)は、配信すればすぐに結果が出るわけではありません。

リスティング広告を含めたWeb広告は、マス広告と比べてスピーディーに微調整できるのが大きな特徴です。

配信開始後に見えてくる数値ユーザー行動の傾向などのデータを参考に改善を重ねることで、成果を最大化させていくのがスタンダードな運用方法です。

広告の成果が伸び悩んでいる場合、次のような背景が考えられます。

  • 競合の広告出稿が増え、クリック単価(CPC)が上昇している
  • 検索ユーザーのニーズが変化し、従来の訴求では響きにくくなっている
  • キーワードのトレンドが季節や商材の流行により短期間で移り変わる

これらの変化には「配信して終わり」という考え方では対応できません。
実際、運用開始から2〜3ヶ月後の成果は、改善施策の有無によって大きく変わります。

成果改善の第一歩は、現状の課題を数値で把握することです。

リスティング広告では多様な指標を確認することで、課題を具体的に特定できます。

リスティング広告の成果改善に使える7つの指標

リスティング広告の成果が出ない原因を探るうえで、最も基本となるのが指標の理解です。

ただクリック数やコンバージョン(CV)数を追うだけでは、課題を明確に把握できません。

ここではリスティング広告における7つの重要指標を確認し、それぞれが示す意味と改善のポイントを解説します。

それぞれ順番に見ていきましょう。

1. インプレッション数(広告の表示回数)

インプレッション数とは、広告が検索画面に表示された回数のことです。

インプレッション数が少ない場合、原因としては以下のことが考えられます。

  • 検索ボリュームの少ないキーワードに配信している
  • 入札額が低く、表示順位が競合に劣っている
  • 品質スコアが低く、広告ランクで負けている

改善するには、キーワードの見直しや入札単価の調整、広告文とランディングページ(LP)の一貫性を高めることが必要です。

2. クリック率(CTR)

クリック率は、広告がユーザーに表示されたうち、どれだけクリックされたかを示す指標です。

CTR(%)=クリック数 ÷ インプレッション数 × 100

CTRが低い場合、広告文が検索ユーザーの関心を引いていないと考えられます。

改善策例

  • 検索キーワードとの関連性が高い広告文を作成する
  • ユーザーの悩みや課題に響く訴求を盛り込む
  • ABテスト(広告の要素を一部変更した複数のパターンをランダムに表示し、どのパターンがより効果的かを検証する手法)で文言を検証する

3. コンバージョン率(CVR)

コンバージョン率は、クリックしたユーザーのうち、どれだけCVに結びついたかを示します。

CVR(%)=CV数 ÷ クリック数 × 100

CVRが低い場合、広告には反応しても、LPの内容や構成が不十分であるケースが多く見られます。

改善策例

  • LPの内容と広告のメッセージにズレがないようにする
  • CTA(行動喚起)を明確に配置する
  • 読み込み速度やスマホでの操作性などのUXを見直す

4. クリック単価(CPC)

1クリックあたりに支払う広告費です。CPCは、入札額だけでなく品質スコアによっても変動します。

CPC=広告費 ÷ クリック数

CPCが高騰している場合、競合が増えて広告枠の取り合いが激しくなっていると考えられます。

改善策例

  • 入札戦略の見直し(自動入札や目標CPA入札の活用)
  • 品質スコア向上
  • キーワードのマッチタイプ見直しや入札調整

5. コンバージョン単価(CPA)

CPAは、1件のCVを獲得するためにかかった広告費用です。

CPA=広告費 ÷ CV数

CPAが高すぎる場合、広告費に対してリターンが見合っていないことを意味します。

改善策例

  • 興味のない層からクリックされにくいように広告文を見直す
  • CVに直結するキーワードに予算を集中
  • LPや広告文を調整し、CVRを改善する

6. インプレッションシェア

広告が表示されるはずだった場面のうち、実際に表示された割合です。

広告の競争力の指標ともいえます。

インプレッションシェアが低い場合は以下の問題が考えられます。

  • 競合に入札で負けている
  • 品質スコアが低い
  • 予算が足りず配信停止が発生している

改善には、広告ランク(入札額 × 品質スコア)を意識した設計が必要です。

7. 広告費(予算配分)

見落とされやすいのが、広告費の配分の見直しです。

  • 成果が出る配信に多くの予算を配分しているか
  • 無駄なクリックに費用が流れていないか

継続的に広告運用を行う場合、ROAS(広告費用対効果)の視点で予算を再設計することが大切です。

リスティング広告の適切な費用設定を知りたい方はこちら↓の記事もぜひご覧ください!

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成果を改善するための3つの主要アクション

指標の確認によって課題が見えてきたら、具体的な改善施策を実行しましょう。

リスティング広告の運用改善は、キーワード・広告文・LPの3つを軸に進めると効果的です。

1. キーワードの見直しと最適化

リスティング広告において、キーワードの精度は成果を大きく左右します。

よくある課題

  • 関連性の低いキーワードに無駄な広告費が流れている
  • 検索ボリュームが少なすぎてインプレッションが出ていない
  • 購入・成約意図が弱い語句(例:「靴下」など単体ワード)からの流入が多く、CVにつながりにくい

改善策例

  • CVに結びつく検索意図が明確な語句(例:「安い 靴下」など)に集中
  • コンバージョン率の低いキーワードを停止
  • インテントマッチ(旧:部分一致)利用時には除外キーワードを併用し、無駄クリックを防止

2. 広告文の改善

ユーザーは、数秒で広告文に「反応するかどうか」を判断するため、CTRを高めるには広告文の改善が不可欠です。

よくある課題

  • 競合と同じような文面で目を引かない
  • アピールするポイントが曖昧で強みが伝わらない
  • 訴求内容がユーザーのニーズとズレている

改善策

  • ユーザーの悩みを直接言語化した文面に変更(例:「毎日使う靴下、コスパ重視で選びませんか?」)
  • 数字・限定性・簡便性などの要素を入れる(例:「3足セットで送料無料」「注文は1分で完了」)

最近では、生成AIを活用して広告文を作成するケースも増えていますが、AIが出力した文面をそのまま使うのは避けましょう。

生成AIの文面は一般化されやすく、検索ユーザーの具体的な悩みにフィットしにくいため、実際の検索ユーザーの行動データや関心に即した「人の視点」で微調整を行うことが重要です。

自社の顧客から課題感をヒアリングしたり、普段から顧客と接するチームメンバーと議論したりと、顧客の解像度を高める作業も大切にしましょう。

3. LPの最適化

広告がクリックされた後のLP内のユーザー体験が、CVするか、しないかに大きく影響します。

特に、広告文での訴求内容との一貫性と導線設計が鍵です。

よくある課題

  • 広告文とLPの内容がズレている(「安い」と書いているのに実際は割高)
  • 情報が多すぎてCVまでたどり着かない
  • スマホでの見づらさや読み込み速度の遅さが原因で、ユーザーが離れていく

改善策例

  • 広告文で伝えた訴求を、LPの見出しやメインビジュアルに反映する
  • ファーストビューにCVボタンや資料請求導線を配置する
  • スマホ最適化(ボタンサイズ、フォント、読み込み速度)

4. 現状分析と改善は期間比較とABテストで深掘りを

リスティング広告の改善効果を正確に把握するためには、必ず期間比較を行うことが重要です。

施策前後での数値(CTR、CPC、CVR、CPAなど)を同一条件・同一期間で比較することで、感覚ではなく根拠を持った判断ができます。

また、改善の精度をさらに高めたい場合は、ABテストを取り入れるのも効果的です。例えば広告文を2案同時に配信して、クリック率やCVRが高い方を検証しながら採用するといった方法です。

ABテストは小さな工夫の積み重ねで成果を大きく変える力を持っており、特に広告文やLPの改善フェーズでは非常に有効といえます。

代理店に依頼するなら“改善力”を見極めよう

リスティング広告を外部の広告代理店に依頼する場合、どのようなパートナーに任せるかは成果を左右する非常に重要なポイントです。

「代理店から毎月のレポートは送られてくるが改善提案がない」「効果が出ていないのに現状維持のまま」といったよくある失敗を避けるには、改善力のある代理店を見極める必要があります。

改善力のある代理店の特徴

改善力のある代理店には、次のような特徴があります。

1. データから課題を読み取り、仮説をもとに提案してくれる

  • CTRが低下しているため、訴求軸の再構築を提案
  • CVRが下がっているため、LPと広告文の一貫性を高めたい

など、指標から因果を読み取り、具体的な仮説と改善策を提示してくれます。

2.「提案→実行→検証」のサイクルを回している

ただ提案するだけでなく、改善案を実際の施策に落とし込み、結果の振り返りを定期的に行う運用体制が整っていることも、改善力を見極めるポイント。

運用フローについて質問してみて、配信するまでで終わらず配信開始後についても丁寧に説明してくれるかどうかを確認しましょう。

3. 管理画面を共有し、透明性を保っている

アカウント構造や費用の内訳を説明せず、ブラックボックス化している代理店には注意してください。

管理画面や実施施策の共有があり、常にクライアントと情報を共有していることが信頼の分かれ目です。

改善型代理店を見極めるチェックリスト

以下の表は、代理店選定・見直し時に参考になる視点をまとめたチェックリストです。

チェック項目確認ポイント
改善提案の頻度毎月、施策と仮説に基づく改善提案があるか
仮説の根拠指標に基づいた改善案の根拠が説明されているか
検証の姿勢ABテストや期間比較などで施策の効果を検証しているか
可視化と透明性管理画面やKPIが共有されているか
施策の優先順位影響度・実行性に基づいたプランニングがあるか

このような観点から、ただ配信を回すだけの代理店と成果改善に伴走してくれる代理店を見分けられます。

少額運用でも“改善志向”は必要

広告費が少額であっても、改善を繰り返す姿勢があるかどうかは、代理店の運用レベルを測るうえで指標になります。

代理店の提案や対応に違和感を覚えたときは「その施策は、どの指標を見て出した提案か」「その改善で、どの数値が変わる見込みか」と聞いてみましょう。

本当に成果を出すために動いてくれているのかが見えてきます。

リスティング広告は“3ヶ月改善”を前提に取り組もう

リスティング広告の成果を判断するには、一定の期間が必要です。
特にBtoB商材や購入・申込まで検討期間の長いサービスでは、1ヶ月単位の結果だけで効果を判断するのは難しいです。

なぜ3ヶ月の改善期間が必要なのか

広告運用では「出稿→配信データの蓄積→分析・改善→再検証」のプロセスを回すことで精度が高まります。

このようなサイクルを人の手で回すのに時間がかかるだけではく、配信初期は媒体側の機械学習にも期間を要します。

特に改善効果の検証には、一定量のデータと時間が必要です。

例えば、以下のような施策は即時に数値に反映されにくいといえます。

  • 広告文のABテスト:最低2週間以上の配信データが必要
  • LPの改善:クリック数が一定に達してからCVR変動を観測

改善効果の現れ方とチェックポイント

3ヶ月の運用期間を前提にすると、以下のようなフェーズで成果が変化していくことが多くあります。

運用期間チェックポイントよくある変化
1ヶ月目CTR、CPC、予算配分広告文の反応に差が出る/除外語句の設定が進む
2ヶ月目CVR、CPALP改善の効果が現れ始める/CV導線の精度が向上
3ヶ月目ROAS、CV数の増加キーワードの最適化で成果安定/CPCも安定化傾向

3ヶ月改善が実を結んだ事例

弊社が実際にリスティング広告運用を担当した、生活雑貨系ECサイトの事例を紹介します。

当時、検索広告では「靴下」を含むクエリからの流入が多く見られましたが、実際には「靴下」関連のキーワード登録がされておらず、CPAも高止まりの状況でした。

調査の結果、LPや広告文に「靴下」に関する記載が少なく、マッチ度が低いことが一因と考えられました。

以下の改善を3ヶ月かけて実施したことで、CPAは約25%改善。ユーザーとの接点の質が高まり、成果につながるようになりました。

実施した改善内容

  • 「靴下」関連キーワード(「おしゃれ 靴下」「靴下 セット割」「靴下 送料無料」など)を新たに登録し、該当クエリの網羅性を向上
  • LP内に靴下取り扱いの情報を増設し、視認性を高めるデザインに変更
  • 広告文に「靴下」という表現を明記し、キーワードとの関連性を強化

改善のポイント

広告とLPの整合性を高めるだけでも、ユーザーの離脱を防ぎ、成果につながりやすくなります。

※この事例は、実際の運用結果をもとに一部内容を編集・再構成しています。

改善の積み重ねが、成果を変える

リスティング広告の運用成果を十分に上げるためには、適切な代理店選びが重要です。

単に価格や知名度だけで判断するのではなく、自社のビジネス課題や広告の目的を明確に言語化したうえで、成果に向けた具体的な提案があるか、改善を継続できる体制が整っているかどうかを見極める必要があります。

初めての依頼で不安がある場合は、無料相談やトライアル契約を活用するのもおすすめです。

自社に合った信頼できるパートナーを選ぶことが、CV数やCPAの改善につながります。信頼できるパートナーとともに、継続的な改善を積み重ねましょう。

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