【徹底解説】リスティング広告のABテストのやり方と結果の見方|効果的な広告改善を支える運用手法

2025年10月23日

リスティング広告は即効性が高いことに加え、売上の増加や認知拡大につなげやすい広告手法の一つです。
しかし「どのような広告文なら効果が出るのか」「LP(ランディングページ)はどの構成が適切なのか」といった問題には、明確な正解がありません。

そこで役立つのがABテストです。
広告文やLPの要素を少し変えるだけで、成果が大きく変わることも珍しくありません。

この記事ではABテストの基本から、比較すべき要素や実施の流れ、測定の仕方、成功事例までをまとめて解説します。

ABテストの定義と取り組むメリット

広告運用において、効果に基づく改善は必須であり、そのためにはABテストを正しく理解することが重要です。


単に広告文を入れ替えるだけでなく、比較条件を揃え、数値に基づいて結果を判断するのがABテストの本質です。
この章では、ABテストの定義と主なメリットを整理します。

ABテストとは

ABテストとは、特定の要素を変更した2つ以上の広告を同条件で配信し、成果を数値で比較する手法です。
例えば、以下のような広告文を同時に配信するとします。

  • A:【本日17時まで】冬物アウターセール実施中!
  • B:【2割引クーポン配布中】冬物アウターセール実施中!

Aは「緊急性」、Bは「割引訴求」が広告のポイントです。
ABテストによって、どちらがクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)で優れているかを判断できます。

ABテストの主なメリット

リスティング広告におけるABテストは、短期間で効果を把握できる点に大きなメリットです。

業種や予算、キーワードの競合状況によって必要な検証期間は変わりますが、場合によっては1週間ほどで十分なデータが集まり、早い段階から改善の方向性を見極められます。

さらに、テストを重ねることで広告文やLPのどの要素が成果を押し上げているのかを切り分けられるため、
「勝ちパターン」を早期に発見することが可能です。

行動喚起(CTA)の表現や問い合わせフォームの位置といったLPの要素は、改善によってCVRが大きく変わる部分です。
ABテストを通じて最適化を進められると、広告費の効率を高めながら成果を安定して伸ばすことにつながります。

asueくん

改善と比較検証をするためにABテストが重要なんだね。

ABテストで比較すべき4つの要素

ABテストでは、やみくもに要素を変えるのではなく、成果に直結する要素を優先してテストすることが重要です。
リスティング広告のABテストで比較することが多いポイントを4つ解説します。

広告文・クリエイティブ
最初に目に入る部分で、CTRに直結します。
感情型コピーvs論理型コピー、価格訴求vsメリット訴求⋯⋯。など、表現方法や訴求軸で複数パターンを比較し、ユーザーに刺さるテキストや見せ方に改善していきましょう。

②LP
LPの内容を変えることで同じキーワード・広告文でもCVRや離脱率が大きく変化します。
ファーストビューの訴求やフォームの導線、CTAの文言などユーザー体験に直結する部分が大きく成果を左右します。
ABテストでは、流入キーワードや広告文の訴求と内容を一致させたLP構成を比較・検証することが効果的です。

③キーワードのマッチタイプ
マッチタイプを広げることで流入する検索語句の範囲が広がり、CPC・CTR・CVRなどの指標に影響します。
例えばインテントマッチは流入数が増える一方でCVRが下がる傾向があり、完全一致はCVRは高いものの流入数が限定される、CPCが高いといった傾向があります。
そのためABテストでは、マッチタイプごとの「量」と「質」のバランスを比較することが重要です

④入札単価と入札戦略
入札単価や入札戦略を変えることで、広告の掲載順位や表示回数、CPCが変動します。
自動入札か手動入札、あるいは自動入札の中でも「目標CPA」か「コンバージョンの最大化」でも配信ロジックがそれぞれ異なるため成果に差が出ます。

ABテストでは、同じ予算内でどの設定がより多く・安定して成果を生むかを比較することが効果的です。

要素テスト内容の例見るべき指標
広告文・感情型コピー vs 論理型コピー
・価格訴求 vs メリット訴求
CTR
LP・ファーストビューの訴求内容
・フォーム位置
・CTAボタンの色やサイズ
CVR、CPA、離脱率、滞在時間
キーワードのマッチタイプ・完全一致
・フレーズ一致
・インテントマッチ
CPC、CTR、CVR、CPA
入札戦略/戦略・自動入札
・手動入札
・入札単価の高低
CPC、CPA、広告費用対効果
(ROAS)

ABテスト実施の7ステップ

ABテストは、正しい手順で進めてこそ成果につながります。
目的設定から仮説立案、実施、評価まで7つの流れを解説します。

1. 目的と目標を明確にする
ABテストは、まず「何を検証したいのか」をはっきりさせることが重要。「広告文を変えることでCTRは上がるのか」「LPの改善でCVRは伸びるのか」といった仮説を立て、その検証を目的として設定。

2. テスト対象と期間を決める
比較する要素は1つに絞る。
期間は、目安として「500クリック」「30件程度のCV」など、ある程度サンプル数を確保できるように設定。

3. テストパターンを作成する
比較対象とする1要素だけを変更してシンプルに比較。

4. テストを設定・実施する
Google広告の場合は「下書きとテスト」機能を活用するなど、媒体によって適切なやり方を選択。

5. 結果を測定・分析する
CTR、CVR、CPA、ROASを比較し、結果の要因まで分析。

6. 勝者を決定し実装する
結果が偶然得られたものではなく、統計的に根拠があることを確認して本番に反映。

7. 継続的にテストを繰り返す
市場は変化するため、改善サイクルを止めないことが重要。
結果を判断する際は、単なる数値差だけでなく統計的有意差を確認することが必須です。
統計的有意差とは「その差が偶然ではなく、実際に意味のある差といえるかどうか」を示す考え方です。

例えば、A広告のCTRが2.8%、B広告が3.0%といった小さな差の場合、配信数が少なければ単なる誤差かもしれません。
十分なクリック数やCVRを集めてから比較する、あるいはツールに有意差を調べる機能があれば活用することで、差が偶然ではなく再現性のある結果であることを確認できます。

差が拮抗している場合は「再テスト」で誤判定を防ぎましょう。

asueくん

全体象をイメージしたABテスト設計が大事なんだね。

ABテストの結果の見方

数字をどう解釈するかも成果を左右します。
指標を単独で見るのではなく、有意差や外部要因も踏まえて判断しましょう。

  • クリック率(CTR):広告が見られているか
  • コンバージョン率(CVR):LPの内容が適切か
  • 顧客獲得単価(CPA):コスト効率は良いか
  • 広告費用対効果(ROAS):投資対効果は十分か

結果を解釈する際には「サンプル数が十分にあるか」「AとBが同じ条件で比較されているか」といった基本的な前提も意識しましょう。
サンプル不足や条件の不一致によって、偶然のブレを結果と勘違いしてしまう恐れがあります。

また、セールや競合の大規模出稿などが重なることでも結果が変動します。
外部要因を記録し、判断を補足する習慣をつけましょう。

ABテストで精度を落とさないための5つの注意点

リスティング広告におけるABテストは、正しい条件を整えなければ意味がありません。テスト精度を確保するための
5つの原則について解説します。

①サンプル数を確保する
データの母数が少ないと、一部のイレギュラーなデータに大勢が左右されるなど、誤差が大きくなります。
まずは100クリックまたは10CVを目安に、サンプルの絶対数が確保できる目処が立ってから実施するようにしましょう。

②変更要素は1つに限定する
CTAの表現を比較するためのABテストで、CTAボタンの色も変えるなどしてしまうと、差が出てもどの要因でもたらされた結果なのかを特定できません。

変数要素は1つに絞り、「●●を××に変えたら~の結果が変わった」と明確にいえるようにしましょう。

③テスト期間中は設定を変えない
ABテストを実施する際は、比較対象となる要素以外は固定しておく必要があります。
入札額やターゲティングを途中で変更してしまうと、同じ条件下での比較ができず、結果が正しく判断できません。
設計段階で「変数は1つだけ」と決めたら、実施期間中はその前提を崩さないように最後まで動かさないのが基本です。

④外部要因を記録する
広告設定やクリエイティブの変数を絞っても、競合の出稿状況や季節要因などによる影響はコントロールが効きません。

外部要因が極力影響しづらい環境でのABテスト実施を心がけつつ、それでも影響する可能性がある外部要因は事前に洗い出し、分析時に考慮に入れるようにしましょう。

⑤統計的有意差を意識する
ABテストにより生まれた差には、常に偶然という側面があることを意識しておくことが大切です。

特に、差分が小さい場合には必ず偶然性を疑い、勝敗の判断に足るだけのサンプル数があるかを見直し、必要に応じて期間を延ばしたり、複数回実施するなどして、検証の精度を保つ工夫をするようにしましょう。

asueくん

変数の限定と結果に対する有意差の見極めが大事なんだね。

事例:スポーツサイトにおけるCTA改善

スポーツ用品を扱うある販売サイトでは、広告運用の課題としてCPAの高騰があり、苦戦していました。


入札戦略は「CV数の最大化」を設定していましたが、CVRを改善するために、ABテストで広告クリエイティブ上のCTAボタンの文言を変更する取り組みを行いました。

従来は「もっとみる」という表現を使っていましたが、新たに「ご購入はこちら」という文言でテストを実施。
一定期間配信した結果、広告のCTRは0.76%から0.66%に低下したものの、CVRは1.17%から2.92%へと大幅に改善しました。
その結果、CPAも1,507円から703円へと半減し、効率的に成果を獲得できるようになったのです。

この事例は、広告クリエイティブのボタン文言のような小さな変更であっても、ユーザーの行動や最終的な成果に大きな影響を与えることを示しています。
特に購入意欲を喚起する表現は、CV改善に直結する可能性が高いといえるでしょう。

※実際に弊社が支援した事例ですが、一部内容は匿名化・簡略化のため改変しています。

ABテストを「仕組み化」するには

ABテストは、一度試しただけでは継続的な改善が見込めません。
以下のようなポイントを意識してABテストを社内で仕組み化すれば、属人性を排し、改善を習慣化できます。

1. 測定のリズムを定める
ABテストは「仮説→配信→判定→実装→仮説」の流れを短いサイクルで繰り返すのが理想です。
十分なデータを得られる期間を把握したうえで週単位〜月単位で検証を回すと、精度とスピードのバランスを保てます。

2. 設計テンプレート
テストの質を左右する設計ですが、毎回0から作成すると時間がかかるため、テンプレートを準備すると効率的です。
テンプレートには以下を必ず記録しておきましょう。

  • 目的(CTR改善、CVR改善など)
  • 仮説(例:「保証内容を強調したコピーの方が効果的」)
  • 変更要素(見出し、CTAなど1つに絞る)
  • KPI(主要指標と補助指標を整理)
  • 外部要因(季節や競合の動きなど)

3. 記録テンプレート
設計と同じように、結果の記録用にもテンプレートを作成しておきましょう。
定量データと定性コメントを一緒に残すことで、後の分析がスムーズになります。

  • 期間(開始日・終了日)
  • 指標(CTR、CVR、CPA、ROAS)
  • 解釈(勝敗の具体的な要因)
  • スクリーンショット(広告管理画面のキャプチャ)

4. ナレッジ化:勝ちパターンを資産に
成果が出たコピーや設計は「勝ちパターン」としてライブラリ化しましょう。
それを記録・再利用することで、改善は属人的なスキルではなく、組織の資産となります。

  • コピー:〇〇より△△の訴求が強い
  • LP:CTAをファーストビューに置くとCVRが高い
  • 入札戦略:手動より自動が安定してCPAを抑えられる

ただし、ここまでで解説した通り、ほかの要件が変われば結果も変わるため、どういった条件下での結果だったかも合わせて記録しておくのを忘れないようにしましょう。

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まとめ:小さな勝ちを積み上げる習慣が最短の近道

ABテストは一度で終わらせるものではなく、継続して小さな勝ちを積み重ねることが重要です。
目的に沿ったテストを繰り返し、結果を正しく解釈して実装する。
そのサイクルを繰り返すことが、広告運用における最大の武器となります。

「目的の明確化」「変数要素の限定」「十分な母数の確保」「統計的有意差の確認」「勝者を実装」「継続」。
これらを守れば、CVの増加とCPA低減の両立も現実的になります。

また、適切なパートナーと協働することで、CV数やCPAの改善につながるケースも多くあります。


自社だけでの運用が難しい場合は、広告代理店のサポートを検討するのも一つの方法です。運用にお悩みがある場合は、リスティング広告に強いASUE株式会社までお気軽にご相談ください。
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