Salesforce/Account Engagement導入を「定着」させるプロジェクト設計 —"使われなくなった機能"と初期つまずきから学んだこと—

2025年09月24日

こんにちは!ASUE株式会社管理本部 DX推進課のSalesforce Adminのイケダです!

Web広告や営業活動の成果を伸ばすうえで、マーケと営業の連携は欠かせません。しかし実際には、「お互いの取り組みが見えない」「認識がズレたまま平行線」といった分断が起きがち。

今でこそ安定して活用・運用できていますが、ASUEでもSalesforce/Account Engagementを導入した当初、同じ課題につまずき、十分に活用できていませんでした。

そこで本稿では、社内での改善プロジェクトの流れと、機能が"使われなくなる/使い続けられる"分かれ目から得た学びをまとめます。

イケダ

すでに上手く活用できている会社さんには当たり前かもしれませんが、「せっかく導入したのに効果を感じない・活用できていない・連携できていない」といったお悩みがある担当者さんは、ぜひご覧ください。

背景と最初のつまずき

ASUEでは、2018年にSalesforceおよびAccount Engagementを導入しました。

以降、主に営業と各事業部で利用していましたが、社内管理者の交代を機に「売上入力ツールのようにしか使われていない」状態に。知識不足も相まって、スコアやナーチャリング、リードのフェーズ管理などの設定を見直したものの、現場に定着しませんでした。

イケダ

いろいろ実装しても全然うまく定着しない〜〜〜(泣)

失敗の原因

  • マーケ部署と営業部署の連携ができていない
    • マーケ部門だけでスコアやナーチャリングを設計
    • マーケ部門と営業部門でフェーズ定義がバラバラになっていた(認識のズレ)
    • それぞれの部門がリードを増やすための施策を検討
  • 機能実装の進め方に問題あり
    • 依頼ベースの実装(言われるがままに実装)
    • 機能先行の実装(学びたての機能を使うことが目的化、すり合わせができていない)


活用推進が進まなかった根因は、各部署がそれぞれで動き、全体設計がちぐはぐになっていたことでした。特に、リードのナーチャリングをマーケだけで設計した結果、両部門でフェーズ定義がずれ、連携が阻害されていました。加えて、推進担当の私と現場利用者のすり合わせが不十分で、「便利そうだから」という理由の機能追加が続き、現場では使いにくい状態や大きな手戻りを招いてしまいました。

お互いがそれぞれの視点で頑張る——その結果、Salesforce や Account Engagement の活用も進まなかったのです。

方針転換:定着を生むプロジェクトの進め方

イケダ

活用推進のためには、マーケ部門と営業部門、そしてわたしがきちんと協力しなきゃいけないんだ……!

とも……だち……?

かくして、マーケと営業に協力を呼びかけて会社全体での連携強化・活用推進に向けて動き出したのです。

根因への対処として、マーケと営業に協力を呼びかけ、会社全体での連携強化と活用推進に向けて動き出しました。根因への対処として、(1)マーケ・営業の連携と可視化の強化、(2)機能実装プロセスの見直し——すなわち「必要性の確認 → 要件定義 → 合意形成 → 段階展開」の順序を徹底しました。

マーケティング部門と営業部門の連携強化

マーケとセールスで隔週ミーティングを開始

  • マーケ・営業合同のミーティングをスタート
    • 基本的な言葉の定義のすり合わせ
    • お互いの取り組みの共有
  • 具体的な取り組み
    • フェーズ移行定義の共有/見直し
    • 各部署の取り組み/目的を共有
    • ペルソナ像のすり合わせ
    • スコアの再設計
    • ホワイトペーパーの分析/見直し
    • サイト(ページ)の分析/見直し 

まずはコミュニケーションを増やし、知らないことで起きる分断をなくすため、マーケ・営業の合同ミーティングを定期実施しました。用語や定義の共有から始め、施策を「足し算」ではなく「掛け算」にすることを目指しました。密なやり取りにより共通認識が生まれ、よりスムーズに連携できる関係が構築できました。

一方で、数値の集計や可視化は依然として非効率でした。

イケダ

同じ数字を見て話せる仕組みが必要だと痛感しました。
コミュニケーションコストを抑えつつ、効率的にするためにはどうすればいいんだろう……?

コミュニケーションコスト減のためのTableau導入

  • BIツールのTableauを導入
    • データの可視化
    • マーケと営業が一緒に見られるダッシュボードを作れた
  • 互いの現状の把握がしやすくなった
    • コミュニケーションコスト減
    • 共通認識を持てるように

より効果的に、営業もマーケもSalesforceを活用できるようにするために、 データ可視化ツールのTableauを導入しました。

これによって、マーケと営業が同じダッシュボードを見る仕組みを作り、互いの現状や評価が可能になり、コミュニケーションコストを削減しつつ共通認識を持てるようになりました。

広報のN村

ちなみに「Tableau」はフランス語で「絵画」という意味。

イケダ

へぇ……。

役職者会議での報告

活用のベースが整ったことで、役職者会議でも無駄のない報告ができるようになり、その場での迅速な意思決定も可能になりました。結果として、広告予算やマーケティング施策の最適化にもスピード感を持って取り組めています。

機能実装プロセスの見直し

続いて、Salesforce/Account Engagement を「使われ続ける」状態にするため、機能実装の進め方を刷新しました。

刷新前後の実装プロセスの違いは以下のとおりです。

元々はこちらで改善点や課題を洗い出し、方法を検討し、実装という流れでリリースしており、実際に利用するメンバーに対してリリース前に十分な確認を取っていなかったため、こちらから押し付けたような形になっていました。

改善以降は1. 現状を把握→2.利用部署と課題・改善点の洗い出し→3.方法の検討→4.提案・FIX→5.実装→6.プレリリース→7.改善のようにリリースまでに十分な検討を行っているため、社内で有意義に活用することができています。

必要性の確認と要件定義を先行

  • 現状把握を行い、需要の高い課題を優先
  • 実装前に、簡単な図やモックでイメージを共有して合意を形成
  • 「機能の根本的な改修」を防止

実際にどんな課題を抱えているのかを利用部署に確認して洗い出し、需要の高い課題を優先して方法を検討します。その上で実装前に簡単な図やモックなどで実装イメージを共有しておくことで、根本的な改修などが必要になるような修正依頼を抑制しています。

段階的に展開(少人数→全体)

  • 小さく始めて検証し、エラーや使いづらさの影響を最小化
  • 声がけで文化を醸成
    • 「一緒に良いシステムを育てよう」「改善要望はウェルカム」など
    • 「使いにくいから使わない」から「使いにくいから直してほしい」へ意識転換を目指す
  • 「実装がゴール」になることを防止

また、実装段階では一旦一部メンバーだけに展開して使用してもらい、エラーや使いにくい部分がないかの検証をしています。

さらに、使いにくい点・改修してほしい点を指摘してもいいんだ!と思ってもらえるような声掛けを意識することで、利用者が「使いにくいから使わない」ではなく「使いにくいから直してほしい」と考えるような意識転換を目指したことで、実装した機能が継続的に利用されて定着するようになりました。

イケダ

みんなで使用するシステムをみんなで良くしていこう!という意識を醸成していくことはとても大事だなと感じました。

まとめ

  • マーケ・営業の連携強化
    • 関係部署での定期的なMTG実施
    • Tableauの導入
    • 役職者MTGでの報告
  • 機能実装プロセスの見直し
    • 必要性の確認と要件定義の実施
    • 少人数から全体へ段階的に展開

以上が連携強化や実装プロセスの見直しに向けて行った取り組みです。

イケダ

全体を通して、「当たり前のことをちゃんと当たり前にやった」だけではありますが、実はあらゆるツールを導入する上で一番難しい部分なのかなと感じています。

上手く活用できれば、マーケティング・営業に大きな効果を発揮するSFA/CRM/MAツール。活用のためには初期の設計や運用体制などがとても重要です。

ASUEではSalesforce/Account Engagementの導入・運用支援も行っておりますので、Salesforceの導入をしたい、導入しているが上手く活用できていないなどをお考えの方はぜひご相談いただけますと幸いです!

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