「Web広告を出したいけど予算が限られている」
このように悩んでいるWebやマーケティングの担当者の方は多いのではないでしょうか。
リスティング広告は少額からでも始められ、効果を測定し、着実な成果を出しながら徐々に予算を拡大できる柔軟性が高い広告手法です。
この記事では、少額予算から始めるリスティング広告の運用方法と、効果を最大化するための戦略、広告代理店の選び方などを解説します。
目次
リスティング広告の基礎知識とスモールスタートのメリット
リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーが検索エンジンで入力したキーワードに応じて広告が表示されます。
Google広告やYahoo!広告が主要なプラットフォームです。
少額から始められる理由
- クリック課金制:広告が表示されただけであれば費用は発生せず、ユーザーがクリックしたときにのみ課金される仕組み。
- 柔軟な予算設定:1日1,000円程度から広告運用が可能。想定する予算に合わせて配信する地域や時間、ターゲット像などを柔軟に設定できる。
- 費用対効果が明確:広告効果がデータで可視化され、効果の高い部分に集中投資しやすい。
さらに、リスティング広告は広告文の差し替えや配信設定の変更が柔軟かつスピーディーにできるため、さまざまな訴求パターンを試せます。予算は少額から出稿できるうえに1日あたりの上限を設定できるので、想定よりも予算を使ってしまうといった心配は基本的にありません。
従来型のマスメディア広告のように制作や出稿に大きな固定費がかからず、改善も容易なので、まさに「トライ&エラー」が可能です。
少額運用でも効果を出す3つの準備ステップ
少額の広告予算でも大きな効果を出すためには、以下の3つのステップで準備しましょう。
1. 目標と配信媒体の絞り込み
少額予算で運用を成功させるには、まず数値で測れる明確な目標を設定し、そのうえで「この数値を下回ったら撤退」といった撤退ラインもあわせて決めておくことが重要です。
目標が曖昧なままでは、費用対効果の評価ができず、無駄な支出につながりやすくなります。
また、限られた予算で成果を最大化するためには、配信媒体を絞ることもポイントです。
大きめの予算を確保できる場合は、複数の媒体から同時に配信して広いユーザーに届けたり、最適な媒体を見極めたりするケースも多くありますが、少額予算を分散してしまうとどの媒体も予算不足で適切に配信されない可能性が高くなります。
Google広告やYahoo!広告など、すべて同時に試すのではなく、自社のターゲット層に合った媒体を1つに絞って集中投下することで、より効率的な運用が可能になります。
2. キーワードとターゲットを絞る
「誰に向けてリスティング広告を出すか」を具体的にイメージし、ロングテールキーワード(「小児歯科 名古屋市 南区」のように、検索ユーザーが絞られるニッチなキーワード)を活用して、競合が少なく費用対効果の高い配信を目指します。
さらに、ターゲットユーザーが検索する際の「意図」に注目することも重要です。
例えば「リスティング広告 費用」なら、Web広告に興味があり情報を収集しているユーザーがイメージできます。
「リスティング広告 外注 おすすめ」であれば、具体的なサービスを比較・検討している段階のユーザーです。
どの層を狙うかによってキーワード設計は変わります。
3. ランディングページ(LP)の整備
ユーザーニーズを捉えた魅力的な広告文でクリックを促しても、その先のLPの品質が低くすぐに離脱されると、クリック費用がかかってしまいます。
広告文とLPの内容を一致させ、ユーザーの期待に応える設計により離脱を防ぎ、コンバージョン率(CVR)を向上させることが重要です。
LPの読み込み速度やスマートフォン対応など、UX(ユーザー体験)の観点からも最適化を行いましょう。
また、ユーザーのアクションを促すCTA(Call to Action)ボタンの配置や文言も重要です。
「今すぐ相談する」「無料資料を請求する」など、ユーザーが次のアクションを取りやすくなる表現にしましょう。
A/Bテスト(複数のパターンを同時に表示し、どちらがより効果的かを検証する手法)を重ねることで、CVRをさらに改善できます。
少額運用を成功に導く5つの運用ポイント
特に少額予算での運用においては、以下の5つのポイントを意識することが成功の秘訣です。
いずれも、予算に関わらず重要なポイントではありますが、少額の場合は大規模配信で面を抑えるような戦略ではなく、狙いを絞って着実なCVを獲得していく必要があるため、特に重要になります。
ただし、最初からすべてを完璧にしようとせず、まずはできる範囲で取り組みながらPDCAを回すことが大切です。
ポイント | 内容 |
---|---|
地域ターゲティング | 広告配信地域を限定することで無駄な配信を防ぐ |
時間帯配信の最適化 | 成果が出やすい時間帯に予算を集中的に配分する |
ロングテールキーワードの活用 | 意図の明確な検索に限定し、クリック単価を抑える |
広告文の品質向上 | 差別化と具体性を意識した広告文でクリック率(CTR)を向上させる |
定期的な効果測定 | 定期的にデータ分析を行い改善に活用する |

できるところから始めていきましょう。
少額予算でのリスティング広告運用事例
実際に弊社ASUEにご依頼いただいたお客様で、少額予算でリスティング広告を成功させた事例をいくつかご紹介します。
これらの事例から、限られた予算でも効果を出すためのヒントが得られるはずです。
※実際に弊社が支援した事例ですが、一部内容は匿名化・簡略化のため改変しています。
地域密着型歯科医院の事例
横浜市の歯科医院では、月額10万円の予算からリスティング広告を開始。
地域を横浜市内に限定して「小児歯科」「インプラント」など、特化したキーワードに絞って広告を配信しました。
また、診療時間内のみ広告を表示するように設定したことで、電話対応可能な時間帯に問い合わせを集中させました。
結果として、月間目標12名に対し24名の新規患者を獲得。200%の成果を達成しています。
地域とキーワードを絞り、配信するタイミングを診療時間に合わせることで、限られた予算でも効率良く見込み客にアプローチできました。
ECサイトの商品販売事例
雑貨を扱うECサイトでは、低いCTRと高いコンバージョン単価(CPA)に悩んでいました。
そこで、広告の内容を最適化し、多様化を図ることで対応。人気商品に絞った新しい広告文を作成し、A/Bテストを繰り返しました。
また、効果的なキーワードに予算を集中するターゲティングも実施。結果としてCTRは約5倍に向上し、CPAは60%削減されました。
少額予算ではすべての商品を対象にせず、利益率や人気の高い商品に絞ることで投資対効果を高められます。
人材派遣会社の求人広告事例
ある人材派遣業会社では、当初インハウスで求職者向けにリスティング広告を運用していたものの、社内に十分なノウハウがなく、成果が伸び悩んでいました。
初月の広告予算は50万円。まずは少額でスタートし、着実な改善を重ねる戦略を採用しました。
運用開始後、基礎的な広告設定の見直し(広告表示オプションや除外キーワードの整備など)を徹底。
くわえて、すべての応募を一律のCVとして扱うのではなく、書類通過率の高い応募を優先することで、質の高いリードに寄せた最適化を実現しました。
さらに、オンライン広告の成果とオフラインでの書類選考通過データを紐付けて可視化し、キーワードや広告クリエイティブの精度を高めました。
その結果、CPAは変わらないまま、応募者の書類通過率が13%から29%にまで改善。
広告の成果を最大化するため、応募後の歩留まり分析や社内フローの見直しも実施。
施策開始から6ヶ月で、広告予算は初月の8倍となる月額400万円規模にまで拡大しました。
これらの事例からわかるのは、リスティング広告は「とりあえず出稿する」のではなく、ターゲットを絞り、広告文を工夫して、継続的に分析・改善を繰り返すことの重要性です。
少額予算こそ、一つひとつの施策を丁寧に検証し、効果を高める努力が求められます。
スモールスタート運用時の注意点
リスティング広告は少額から始められる魅力的な広告手法ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。失敗を避けるために、以下の点に気をつけましょう。
予算設定と管理の落とし穴
「1日1,000円」のように広告予算を設定しても、実際には変動する場合があります。
これは、Google広告やYahoo!広告など多くの広告媒体が、「1ヶ月単位で予算を活用し、成果を最大化するように調整を行う」という仕様になっているためです。
例えば、トラフィック(Webサイトへの訪問者数・アクセス数)が特に多い日やリスティング広告による投資収益率が高くなると予測される日には、1日あたりの予算を大幅に超過することも。
もちろん1ヶ月合計で設定予算を超えることはありませんが、もし日毎で予算上限をコントロールしたい場合は個別で条件設定をすることが可能です。
また、設定した予算が少ないことで広告機会を逃してしまうケースにも注意が必要です。
これは「インプレッションシェア損失率(予算)」という、「本来広告を表示できた機会のうち、予算不足により表示されなかった割合」を示す指標から判断できます。
特に少額予算の場合はこの指標を確認し、予算配分を最適化することが重要です。
過度な競争キーワードへの入札
「自動車保険 見積もり」「住宅ローン 借り換え」など競争の激しいキーワードは、クリック単価が高額になることも珍しくありません。
少額予算で始める場合はこうした高単価キーワードを避け、競合の少ないニッチなキーワードから始めると良いでしょう。
上記の例であれば、「自動車保険 20代 安い」「住宅ローン 借り換え 勤続1年」と年齢や属性、条件で絞るのがセオリーです。
実際にあった事例では、月5万円の予算で「不動産 投資」というキーワードに入札したところ、わずか2日で予算を使い切ってしまうケースがありました。
競争の激しさを事前に調査することが重要です。
広告文とLPの不一致
リスティング広告の文章とLPの内容は必ず一致させ、ユーザーの期待を裏切らないようにしましょう。
クリックしてもらうためには広告文で興味を持ってもらう必要がありますが、過剰にあおってユーザーを集めてもCVにはつながりません。
例えば、広告文で「初回無料相談」をアピールしても、クリック後のページにその情報がなければ、ユーザーは離脱してしまいます。
これでは広告費の無駄遣いになるだけでなく、Webサイトの品質を示すスコアの低下にもつながります。
特に少額予算の場合は、広告文で興味を持ったユーザーに対して「このLPでCVするのに十分な情報を提供できているか」という観点で、内容を十分吟味することが重要です。
医療広告・金融広告などの規制対象
医療や金融、美容などの分野では、広告表現に厳しい規制があります。
例えば、医療広告では「最先端」「痛くない」などの表現は禁止されています。
規制に違反すると、広告アカウントの停止などのペナルティを受けかねません。
業界ごとの広告規制を事前に確認し、コンプライアンスを遵守した広告運用を心がけましょう。
不安な場合は、専門の広告代理店に相談することも一つの選択肢です。
これらの注意点を押さえることで、少額予算でのリスティング広告運用をより効果的に、かつ安全に行えます。
失敗から学ぶことも大切ですが、あらかじめリスクを想定しておけば無駄な出費を避けられるでしょう。
代理店の役割とスモールスタート時の選び方
少額スタート時こそ、広告代理店の知見が役立ちます。
特に、段階的に予算を拡大していくステップアップ戦略を実践するうえでは、適切なサポートが欠かせません。
リスティング広告は、以下のように「フェーズ1(検証期)→フェーズ2(最適化期)→フェーズ3(拡大期)」と段階的に成長させるのが理想的です。
フェーズ1:検証期(月額10〜30万円)
少額予算で、効果的なキーワードや広告文を探る段階です。
代理店はこの時期において、A/Bテスト設計やデータ分析のサポートを提供し、確実な知見を蓄積する役割を担います。
フェーズ2:最適化期(月額30〜50万円)
成果の出ている施策に絞って予算を集中させる時期です。
代理店は、成果が出ていないキーワードの整理、入札単価の見直し、LP改善など具体的な施策を提案し、運用を加速させます。
フェーズ3:拡大期(月額50万円〜
安定した運用体制のもと、新しい広告タイプ(ディスプレイ広告、ショッピング広告など)の追加、エリア拡大、自動化ツールの導入支援など、より高度な戦略実行を行います。
こうした各フェーズにおいて、伴走してくれるパートナーを選ぶことが、長期的な成功には不可欠です。代理店を選ぶ際は以下のポイントを意識しましょう。
選定ポイント | 内容 |
---|---|
少額案件への対応力 | 初期費用の有無、最低予算の柔軟性 |
ノウハウの豊富さ | 運用実績・事例の有無(特に小規模事業者向け) |
コミュニケーション | 定例レポートの有無、運用改善提案の頻度 |
SEOとの連携提案 | コンテンツマーケティングとの連動の可否 |

リスティング広告の外注を検討している方はこちら↓の記事もぜひご覧ください!

まとめ:リスティング広告の成果を最大化するなら代理店の活用が有効
リスティング広告は、少額予算でもターゲット・時間帯・地域・広告文・LP最適化の工夫によって、高い費用対効果を狙えます。
広告運用は最初から完璧を目指すのではなく、段階的に改善を重ねていくものです。
リスティング広告をはじめ、あらゆるWeb広告は「育てる広告」であるといえます。
データを蓄積しながら、自社に合った広告戦略を見つけましょう。
リスティング広告運用の基本的な情報は以下の記事にまとめています。これから運用を始めたいと考えている方は、こちらもぜひ参考にしてください。

また、リスティング広告の運用成果を十分に上げるためには、適切な依頼先を見極めることが重要です。
単純に価格や知名度だけで判断するのではなく、自社のビジネス課題や広告の目的を明確に言語化したうえで、提案力や改善できる体制が整っているかどうかを判断しましょう。
初めての依頼で不安がある場合は、無料相談やトライアル契約を活用するのもおすすめです。
自社に合ったパートナーを選ぶことが、CV数やCPAの改善につながります。
信頼できるパートナーとともに、継続的な改善を積み重ねましょう。
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この記事を書いた人

田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用歴3年以上
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。