
Google ショッピング広告をはじめてみよう!デフォルト機能だけでできるキーワードごとの入札単価調整
2022年02月22日
2024年07月10日
こんにちは!ASUE株式会社Webマーケティング課のダリオです。Vol.1, Vol.2, Vol.3, Vol.4と続いてきたGoogle ショッピング広告のノウハウシリーズもいよいよ第5弾!! 現状の予定では6本なので、いよいよ佳境を迎えております。
さて、Google ショッピング広告では通常のリスティング広告と同様に検索したキーワードにマッチングしたものの広告が表示されます。ただ、ショッピング広告では自由にキーワードを設定することができず自動で商品に関連づけられてしまうなど、違う点がいくつかあります。
今回は、ショッピング広告におけるキーワード入札単価の調整についてご紹介したいと思います!

よろしくお願いします!

今回も文章校正N村でお届けします!
目次
ショッピング広告とキーワードの問題点
Google ショッピング広告のキーワードについて、リスティング広告との大きな差は、キーワードが自動で商品に関連づけられてしまい自分で選択できないことと、キーワードごとに入札額を決めることができない点があげられます。
スタンダードショッピングでは、もちろん商品や商品グループの入札額を下げることは可能です。ですがこれは、Google がその商品に関連づけるすべてのキーワードの入札額を下げることになります。
商品 | 設定入札単価 | ショッピング広告での関連クエリ | 入札単価 |
---|---|---|---|
冬用靴下 | 50円 | 冬用ソックス購入 | 50円 |
冬用靴下 | |||
靴下 |
例えば冬用の靴下を例に考えてみると、関連クエリとして「冬用ソックス購入」「冬用靴下」「靴下」があったとします。その中で、理想としては購入につながる可能性が高いクエリである「冬用ソックス購入」に対して高い入札価格を設定したいところです。逆に、曖昧で対象範囲の広そうな「靴下」というクエリは成果につながりにくそうなので、入札単価を低めに設定したいです。
ですがスタンダードショッピングでは、キーワードごとに入札を設定する機能がありません。Googleがキーワードを選んで、Googleが入札を設定する仕組みになっており、わたしたちが細かくコントロールすることはできません。
しかし、実はキャンペーンの制限を回避してスタンダードショッピングキャンペーンでもキーワードレベルで入札を設定することを可能にする解決策・ハックが存在します。これは、Martin Roettgerding氏が2014年に発表したブログ「Taking Google Shopping to the Next Level」で提案されたもので、除外キーワード・複数キャンペーン・キャンペーンの優先順位などスタンダードショッピングキャンペーンのデフォルト機能を組み合わせることで、キーワードレベルの入札を設定できるようになります。

これを使えばより、ショッピング広告を最適化することが可能です!次から詳しい方法をご紹介していきます。
スタンダードショッピングキャンペーンでクエリレベルの入札をする方法
さて、スタンダードショッピングキャンペーンにおいて、キーワードレベルの入札単価を設定するには以下の3つのデフォルト機能を使用します。
使用する機能
- 除外キーワード
- 検索広告と同様の機能で、「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」を設定できる
- 参考:「Google 広告ヘルプ—ショッピング キャンペーンで除外キーワードを使用する」
https://support.google.com/google-ads/answer/6275313?hl=ja
- キャンペーンの優先順位
- 複数のキャンペーンに同じ商品が含まれている場合に、その商品のためにどのキャンペーンがオークションに参加するかを決定できる機能
- デフォルトでは「低」に設定されており、「中」「高」に変更できる
- 設定した優先順位によって複数キャンペーンで共有する商品の入札単価が決まる
- 参考:「Google 広告ヘルプ—ショッピング キャンペーンでキャンペーンの優先順位を使用する」
https://support.google.com/google-ads/answer/6275296?hl=ja
- 共有予算
- 予算が不足しているキャンペーンに未使用の予算を自動的に振り分けることができる機能
- キャンペーンの効率的な予算管理が可能になる
- 予算の制約を受けるキャンペーンを減らし、掲載結果を向上させられる
それでは、詳しい方法をご紹介していきます!
クエリレベル入札戦略の仕組み
この方法は簡単にいえば同じ商品を対象とした複数のキャンペーンに対して、キャンペーンの優先順位設定や除外キーワードを設定することで適切なキャンペーンにキーワードを誘導するものです。あとは特定のキャンペーンに誘導されたキーワードに応じて入札単価を変えて設定すれば、クエリレベルでの入札単価の設定が可能となります。
この方法がどのように機能するのか、2つのキャンペーンを使った例で見てみましょう。(なお、この戦略は3つのキャンペーン構造にも適用可能です!)
2つのキャンペーンの例
この例では、わたしたちは「冬用靴下」を販売しています。「冬用靴下」や「ウール靴下」を含む検索クエリに高い入札をし、残りの検索クエリには低い入札をしていきたいと思います。
商品 | 入札単価 | キャンペーンの優先順位 | 除外キーワード |
---|---|---|---|
アスエ 冬用靴下 | 20円 | 高 | "冬用靴下", "ウール靴下" |
商品 | 入札単価 | キャンペーンの優先順位 | 除外キーワード |
---|---|---|---|
アスエ 冬用靴下 | 100円 | 中 | なし |
さて、この2つのキャンペーンを作った場合にユーザーがGoogleで靴下を探すとどのようになるかを考えてみましょう。
ケース1:検索クエリ「靴下」
まずは「靴下」でユーザーが検索した場合を考えましょう。Googleはまず、最も優先度の高いキャンペーンを適用しようとします。今回は、「一般キーワードキャンペーン」の優先順位設定が一番高くなっています。さらに、「一般キーワードキャンペーン」では除外キーワードとして"冬用靴下", "ウール靴下"を設定されているだけなので、クエリ「靴下」は「一般キーワードキャンペーン」にマッチします。
そのため、検索クエリ「靴下」の場合は「一般キーワードキャンペーン」をトリガーにして、最高入札額20円で入札します。
ケース2:検索クエリ「冬用靴下」
続いて、「冬用靴下」でユーザーが検索した場合を考えます。Googleはまず、最も優先度の高いキャンペーンを適用しようとします。前項の通り、今回は「一般キーワードキャンペーン」の優先順位設定が一番高くなっていますね。
では、このキャンペーンと検索クエリ「冬用靴下」はマッチするでしょうか。このキャンペーンには除外キーワードとして"冬用靴下", "ウール靴下"が設定されているため、こちらのキャンペーンでは配信されません。
続いて、次に優先度の高いキャンペーンが「特定キーワードキャンペーン」となります。こちらでは、除外キーワードが設定されていないため、このキャンペーンに対して検索クエリ「冬用靴下」がマッチすることが可能です。
まとめると、検索クエリ「冬用靴下」の場合は「特定キーワードキャンペーン」をトリガーにして、最大入札額100円で入札します。
2つのキャンペーンの例からわかるように、キャンペーンの優先順位を使うことで検索クエリを希望する入札額のキャンペーンに誘導することができました。検索クエリ「靴下」は、両方のキャンペーンをトリガーする可能性がありますが、「一般キーワードキャンペーン」の優先順位が高いため、入札額とは無関係に「一般キーワードキャンペーン」が適用されることになります。逆に、「冬用靴下」は除外キーワードに設定されているため、「一般キーワードキャンペーン」をトリガーすることができません。その場合、優先順位が低い「特定キーワードキャンペーン」が適用されます。
共有予算はなぜ必要? 3つの機能のそれぞれのはたらき
さて、共有予算の設定について出てこなかったけど使わないの!?と思われた方もいたかもしれません。が、実はこの例のような戦略の鍵は2つのキャンペーンで予算を共有することが重要なポイントとなります。
例えば、2つのキャンペーンが別々の予算を持っていたとします。
優先順位の高いキャンペーンの予算を使い切ると、すべての検索が優先順位の高い順に次に該当するキャンペーンへとマッチングされます。要するに、「冬用靴下」のような価値の高いキーワードの検索だけでなく「靴下」のような低い入札額を適用させたいキーワードの検索まで、入札額の高いキャンペーンに充てられることになります。
しかし、総予算を共有しておけば、片方のキャンペーンが先に終了してしまうことを避けて総予算が枯渇した時点てセット内のすべてのキャンペーンを一斉に終了させ、無駄遣いのリスクを回避することができるのです。
キャンペーンがもつ優先順位を利用して、特定の検索クエリに対してどのキャンペーンを使用すべきかをGoogle側に知らせます。キャンペーンの優先順位があれば、入札レベルとは関係なく商品にマッチする検索クエリに適用されるキャンペーンになります。一方、除外キーワードはクエリを正しいキャンペーンにフィルタリングし、入札はそのクエリのオークションでの位置を設定します。そして、共有予算は予算がなくなったことによって高い優先度のキャンペーンがオークションから脱落してしまい、戦略全体が台無しにならないように全体を機能させるためのものになります。
このようにして、3つの機能の相互作用で検索クエリレベルでの入札が可能になります。
参考:「A Step-By-Step Guide To Query-Level Bidding In Google Shopping(英語記事)」
https://searchengineland.com/step-step-guide-query-level-bidding-google-shopping-228309
クエリレベル入札を利用した3つのキャンペーン構成例
普通KWとブランドKWで入札単価を2つに分ける
ブランドキーワードでの検索からの場合の購入率が高く、ブランドキーワードにだけ高い入札単価を使いたい場合には、このような分け方が考えられます。ブランド名を含まない検索クエリは全て同じ入札単価で配信されます。
キャンペーン | マッチしたい検索クエリー | 商品 | 入札単価 | 除外キーワード | キャンペーンの優先順位 | 予算 |
---|---|---|---|---|---|---|
一般キーワード | ブランド名も含まない検索クエリー (例:靴下、白い靴下、など) |
全商品 | 普通 | ASUE, アスエ | 高 | 共有 |
ブランド名キーワード | ブランド名を含む検索クエリー (例:ASUE 靴下、ASUE 冬靴下、 アスエ靴下) |
全商品 | 高 | なし | 中 |
商品名やブランド名を検索しているユーザーに対してより高い入札を行う
特定の商品を検索しているユーザーは購入する可能性が高いため、商品名を含む検索に対して最も高い入札をしたいことが多いです。同様にブランド名での検索も同様ですが、商品名での検索ほどは購入する可能性が高くないので入札額を若干低くします。そして、その他の一般的な検索については標準的な入札額を維持したい……という場合は、一般キーワード・ブランド名キーワード・商品名キーワードの3つのキャンペーンに分けて下記のように設定することで、それぞれの入札単価を調整できます。
キャンペーン | マッチしたい検索クエリー | 商品 | 入札単価 | 除外キーワード | キャンペーンの優先順位 | 予算 |
---|---|---|---|---|---|---|
一般キーワード | 商品名もブランド名も含まない検索クエリー (例:スニーカー、靴) |
全商品 | 低 | 商品名、ブランド名すべて | 高 | 共有 |
ブランド名キーワード | ブランド名を含む検索クエリー (例:ASUEスニーカー) |
全商品 | 中 | 商品名すべて | 中 | |
商品名キーワード | 商品名を含む検索クエリー (例:ASUEチャレンジャーOG) |
全商品 | 高 | なし | 低 |
パフォーマンスが低いキーワードと高いキーワードの入札単価を別々に指定する
続いて、コンバージョン率が低いキーワード・高いキーワードがある場合は、低いキーワードを除外して終わり!ではなく低いキーワードに対しては低い入札単価を設定しておくことがおすすめです。逆に、パフォーマンスが高いとわかっているキーワードには高い入札価格を設定しましょう!
キャンペーン | マッチしたい検索クエリー | 商品 | 入札単価 | 除外キーワード | キャンペーンの優先順位 | 予算 |
---|---|---|---|---|---|---|
一般キーワード | 下記のリスト以外 | 全商品 | 普通 | 購入率が高いキーワードのリスト 購入率が低いキーワードのリスト |
高 | 共有 |
購入率が低いキーワード | 購入率の低い検索クエリー | 全商品 | 低い | 購入率が高いキーワードのリスト | 普通 | |
購入率が高いキーワード | 購入率の高い検索クエリー | 全商品 | 高 | なし | 低 |
クエリレベル入札で期待できること
クエリレベル入札の戦略を使うことで、特定の商品のニーズに応じて異なるキーワードの入札レベルを調整することができます。この技術を用いてキャンペーンを適切に設定すれば、トラフィックが全体的に増加し、キーワードタイプ別でよりバランスの取れた広告配信が期待できますし、最終的には、購入件数が増加し、購入単価が下がることが見込まれます。キーワードリストの作成や各キャンペーンと商品タイプに最適な入札を見つけるためにはある程度配信データが必要なため、最良の結果を得るのには少し時間がかかることに注意してください。

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この記事を書いた人

ダリオ
旧Twitter2021年入社。イタリア出身で15年前から名古屋在住。母国語と日本語を含む4ヶ国語ができる。おすすめの旅行先は南イタリアだが出身は北イタリア。入社前の面談では「イタリア人っぽいイタリア人ではないので、みなさんの期待に答えられないかも……」と気にしていた。