Web広告を始めてみたいものの、現実的にどのくらいの予算を立てれば良いのかがわからず、踏み出せずにいる方は多いのではないでしょうか。
特に中小企業やスタートアップでは、限られた予算の使い方が成果を左右します。
この記事では、Web広告の基本から主要な広告の費用相場、効果的な予算設計の方法まで解説します。
自社に合った広告費の目安や、成果につながる予算の組み方が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Web広告の基本と費用の考え方
まずはWeb広告の仕組みと費用の構成を理解しましょう。
広告費だけでなく、制作費や運用費なども含めた「総コスト」を知ることが、正しい予算設計の第一歩です。
Web広告は、検索エンジンやSNS、ニュースサイトなどで配信されている広告の総称です。
従来の新聞やテレビに比べ、配信するユーザーを絞るターゲティングの精度が高く、効果測定も容易な点が特徴です。
Web広告にかかる費用は、基本的に以下を含みます。
- 広告費(各広告媒体への支払い)
- 制作費(バナー・動画・LPなどのクリエイティブ費用)
- 運用費(代理店やコンサルティングへの委託費用)※外部に依頼する場合
Web広告の主な種類と費用相場
次に、主要なWeb広告の種類と費用相場を整理します。
それぞれの特徴を知ることが、自社に適した広告の選択につながります。

広告の種類別に、特徴や相場を確認していきましょう!
リスティング広告(検索連動型)
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードが検索された際、検索結果ページに表示される広告です。
検索により自ら情報を求めている、購買意欲が高いユーザーへアプローチできるのが強みです。
- 費用相場:クリック単価(CPC)100〜500円程度
- 月額予算目安:5万円〜数百万円規模
- 補足:高額な商材や競合が多い分野では、1クリックあたり数千円に達するケースも。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリの広告枠に表示される画像やバナー広告で、商品やサービスの認知拡大に適しています。
テキストだけでなくビジュアルで訴求できるため、ブランディングにも有効です。
ディスプレイ広告はクリック課金とインプレッション課金の両方が存在するため、目的に応じて費用体系が異なります。
- 課金方式ごとの費用相場
- クリック課金(CPC):30〜200円程度
- インプレッション課金(CPM):300〜1,000円/1,000表示あたり
- 月額予算目安:3万円〜数百万円規模
SNS広告
InstagramやFacebook、X(旧Twitter)、LINEなどのSNSプラットフォームに配信される広告です。
ユーザーの属性や趣味・関心に基づいた精密なターゲティングが可能で、幅広い年齢層やニーズに対応できます。
- 費用相場:クリック単価(CPC)50〜300円程度
- 月額予算目安:5万円〜(最低出稿額はプラットフォームによって異なる)
- 補足:リスティング広告に比べて、画像や動画などのクリエイティブのクオリティにより大きく左右されやすい。
動画広告
YouTubeなどの動画配信サービスで配信される広告です。
視覚と聴覚の両方に訴えかけられるため、商品理解を深めることやブランドの認知向上に効果的です。
動画広告は基本的にインプレッション課金が主流ですが、再生数や視聴時間に応じた課金方式を採用する場合もあります。
- 課金方式ごとの費用相場
- インプレッション課金(CPM):数百円/1,000表示あたり
- 視聴課金(例:30秒以上視聴、または動画を最後まで再生):数円〜数十円/1再生あたり
- 制作費:数万円〜数百万円規模(内容や尺によって大きく変動)
- 補足:商品利用シーンを見せたり詳細な説明を伝えたりすることに長けており、購入意欲を高めやすい。
アフィリエイト広告
成果報酬型の広告で、ユーザーが商品購入や資料請求など特定の行動をしたときにのみ費用が発生します。
広告主はASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を通じて広告を出稿し、ブログやメディアに掲載される仕組みです。
初期費用や固定費が抑えられるためリスクが低い一方、成果が出るまでに時間がかかる場合もあります。
- 費用相場:成果報酬として購入金額の10〜30%、あるいは1件あたり数千円前後
- 月額予算目安:数万円〜数百万円規模
- 補足:費用相場・月額単価ともに、商材や成果地点により大きく変動
その他の広告(記事広告・メール広告・ネイティブ広告)
リスティングやディスプレイといった代表的な手法以外にも、多様な広告形態があります。
記事広告はWebメディアやニュースサイト上で記事として配信されるもので、広告色を抑えながら商品やサービスの魅力を訴求できます。
読者にとって自然な情報提供の形になるため、ブランドストーリーや導入事例を丁寧に伝えたいときに有効です。
メール広告は、メルマガ配信リストに直接配信できる形式で、既存顧客の再来訪促進やキャンペーン告知などに向いています。
短期的に反応を得やすい一方で、配信リストの質に成果が左右されやすい特徴もあります。
ネイティブ広告はニュースサイトやSNSフィードなど、コンテンツに溶け込むように表示される広告で、ユーザーに違和感を与えにくいのが強みです。
認知拡大からコンバージョン(CV)獲得まで幅広く活用できますが、クリエイティブの工夫が成果を大きく左右します。
費用相場
- 記事広告:1本数十万〜数百万円
- メール広告:配信数に応じて数万円〜
- ネイティブ広告:インプレッション課金(CPM)300〜1,000円前後
広告種類ごとの費用相場
広告種類 | 課金方式ごとの相場 | 月額予算目安 | 主な目的 |
---|---|---|---|
リスティング広告 | クリック課金:100〜500円程度 | 5万〜数百万円規模 | 問い合わせ・購入 |
ディスプレイ広告 | クリック課金:50〜200円程度 インプレッション課金:300〜1,000円/1,000表示 | 3万〜数百万円規模 | 認知拡大 |
SNS広告 | クリック課金:50〜300円程度 インプレッション課金:数百円/1,000表示 | 5万〜 | 若年層への訴求 |
動画広告 | インプレッション課金:数百円/1,000 表示視聴課金(30秒以上再生など):数円〜数十円/1再生 | 制作費含む数十万〜数百万円規模 | ブランド強化 |
アフィリエイト広告 | 成果報酬課金:購入金額の10〜30% または1件数千円前後 | 数万円〜数百万円規模 | 成果獲得 |
記事広告 | 掲載料:1本数十万〜数百万円 | 数十万〜数百万円規模 | 認知拡大・信頼性訴求 |
メール広告 | 配信料:数万円〜(配信数による) | 数万円〜数十万円規模 | 既存顧客の再訪促進 |
ネイティブ広告 | インプレッション課金:300〜1,000円/1,000表示 | 数万円〜数百万円規模(媒体規模による) | 認知拡大・関心喚起 |
効果的な予算設計のステップ
求める成果を出すためにはどれだけの予算が必要で、その予算をどう配分するのか、その見通しを立てるのが予算設計です。
ここでは、目標からの逆算やテスト予算から本格運用への流れを解説します。
目標から逆算する
Web広告の予算を決める際は、求める具体的な成果から逆算するのが基本です。
例:目標を月10件の問い合わせ、顧客獲得単価(CPA)を2万円と設定
→ 必要な広告費:20万円/月

上記はあくまで単純計算としての一例です。詳しい計算方法は下の記事をご覧ください。

テスト予算と本格運用予算を分ける
広告運用は、さまざまな外的要因によって結果や費用に変動があり、実施してみないとわからない側面も大きいため、まず小さな金額で効果を見極め、その後に本格的な投資へと段階的に移行するのが理想的です。
配分イメージ
- テスト予算:複数媒体に月5〜10万円ずつ配信して1〜2か月検証
- 本格運用:効果の高い媒体やキャンペーンに集中投資
ROIを高める予算配分
定期的に広告ROI(投資対効果)を確認し、成果の高い施策に集中投資しましょう。
クリック単価が高くてもコンバージョン率(CVR)が高ければ投資価値があります。
逆に、単価が安くても成果につながらない広告は早めに見直すべきです。
低予算でも成果を出すための戦略
次は、限られた予算でも効果を最大化するための戦略を解説します。
1. ターゲットを徹底的に絞る
Web広告の基本は「誰に届けるか」です。低予算の場合は、広く浅くではなく狭く深くが鉄則です。
- 地域を限定する
- 年齢や性別を明確に設定する
- 興味関心・職種・業種などを絞る
例えば、BtoB企業なら「従業員100人以上の製造業・購買担当者」、BtoC企業なら「名古屋・30代女性・ヨガに興味あり」のように絞れば、限られた予算の中でも効率的にターゲットに届けることができます。
2. ロングテールキーワードの活用
検索数が多く、競争の激しいビッグワード(例:「Web広告」「広告代理店」)ではCPCが高騰しやすいことに注意が必要です。
一方で「Web広告 費用 初心者」「リスティング広告 相場 中小企業」といった、複数語句で構成されるロングテールキーワードは競合が減り、CPCを抑えやすくなります。
ビッグワードに比べて検索数自体は少なくなりますが、ニーズが限定される分購買意欲の高いユーザーが検索する傾向があるため、費用対効果の高い流入を得られます。
3. ランディングページ(LP)の改善
広告から自社サイトへ誘導へ促せても、LPが弱ければCVにつながりません。
予算に関わらずLPの質は重要ですが、低予算で着実に成果を出すためには、より一層ターゲットに響くクリエイティブが鍵になります。
広告費増を検討する前に、まずは以下のような観点でLPを最適化しましょう。
- 広告の内容とLPの訴求にギャップを感じさせないようにする(「費用相場」の広告→費用表をすぐに表示)
- CTA(Call To Action)に明確なメッセージを載せる(「資料請求はこちら」など)
※CTA:お問い合わせフォームへのリンクなど、ユーザーのCVにつなげるエリア - モバイル最適化(スマホユーザーの離脱防止)
- 表示速度改善(クリックしてから表示までに3秒以上かかると離脱率が増加する傾向)
4. リターゲティング広告の活用
購入や問い合わせをしなかったとしても、一度サイトを訪問したユーザーは潜在的な見込み客です。
リターゲティング広告で再度アプローチすることで、CVRを大きく高められます。
例
- 料金ページを閲覧したユーザー
→「今なら初月無料」の広告を表示 - 商品ページを閲覧したが離脱したユーザー
→「利用者の声」や「導入事例」を訴求
これなら、低予算でもCVにつながりやすい層に効率よく配信できます。
5. 定期的な効果測定と改善
Web広告は「出稿して終わり」では成果が出ません。
特に、低予算の場合は1円単位の無駄を省くためにも、定期的な効果測定と改善を繰り返すことが重要です。
- CPCやクリック率(CTR)、CPA、ROAS(広告費用対効果)などを確認
- CVにつながらないキーワードを停止
- 成果が出た広告文・クリエイティブに予算を集中
広告運用は、小さな改善の繰り返しが大きな成果を生みます。
予算が限られているときこそ、マメな効果測定と改善で、着実な効果の向上を図りましょう。
Web広告でよくある失敗と対策
多くの企業がWeb広告に挑戦する一方で、同じような失敗を繰り返しています。
ここでは、陥りやすい失敗パターンとその対策を解説します。

いま運用されている方は、実際にこんな事態に陥っていないか、チェックしながら読んでみてください。
1. 目標設定が曖昧
Web広告運用では、まず目標を具体化することが重要です。
- 失敗例:単に「問い合わせを増やしたい」と考えて運用を始める
→ 成果の基準が曖昧で、効果測定や改善ができない - 対策:KPI(重要業績評価指標)を明確に設定する
例えば「月間10件の問い合わせ獲得」「CPAを2万円以下に抑える」など、数値で評価できる基準を設けることで、現状の施策の是非を判断できる。
2. ターゲティングが広すぎる
「より多くの人に広告を見てもらおう」と条件を広く設定すると、成果に直結しない層にまで配信され、広告費の無駄が発生します。
- 失敗例:見込み客の層を絞れず、全国・全年齢を対象に配信
→ CV確度の低いユーザーに配信され、費用対効果が悪化 - 対策:地域・年齢・性別・興味関心などを具体的に絞り込み、自社の商品やサービスに関心を持ちやすい見込み顧客に集中する
3. クリエイティブの検証不足
作成した広告文やバナーを、一度成果が出たからといってそのまま使い続けることは要注意です。
広告は繰り返し表示されることで効果が薄れ、CTRや反応が徐々に低下します。
- 失敗例:当初はCTR5%と好調だったバナーを半年以上にわたってそのまま使用
→ 次第にユーザーが見慣れて、CTR2%まで低下 - 対策:複数のパターンの広告を用意し、定期的にA/Bテストを実施して最も成果の高いクリエイティブを検証・更新する仕組みを整える
4. 競合分析を怠る
提供価値も広告の訴求も近い競合がいる場合は、どうしても広告予算を多く使う方が有利になってしまいます。
競合他社がどのような広告を出稿し、どのキーワードで入札しているかを把握しないまま運用すると、自社広告が埋もれてしまい、成果につながりにくくなります。
- 失敗例:競合が入札している高額キーワードに無策で参入
→ 入札単価が高騰し、広告費は増えたのに成果が伸びず費用対効果が悪化 - 対策:定期的に競合の広告文や出稿状況を調査し、同じ土俵で戦うのではなく、差別化ポイントを明確にした広告配信を心がける
5. データ分析を軽視する
Web広告の大きな強みは、詳細なデータを収集できることです。
しかし、そのデータを十分に活用できず一部の側面や感覚だけで運用してしまうケースは少なくありません。
- 失敗例:広告のクリック数だけを見て「効果がある」と判断
→ 実際にはCVにつながらず、無駄な出稿が続く - 対策:Googleアナリティクスや広告管理画面を活用し、CV経路やユーザーの行動を分析。その結果をもとに改善策を立て、PDCAサイクルを回す
広告代理店に依頼する場合の料金相場
広告運用を自社で続けるのが難しい場合、代理店への依頼は有力な選択肢です。
料金相場や契約形態、依頼時の注意点を解説します。
料金相場の目安
代理店にWeb広告運用を依頼する場合、広告費に対する一定割合を支払う手数料型が大半です。
ただし、中には固定費型・成果報酬型などの形態を採用している代理店もあるため、依頼の際に確認しましょう。
- 手数料型:広告費の20%前後が相場(例:広告費50万円→運用費10万円)
- 固定費型:一定額を支払う(例:広告費100万円まで→運用費15万円)
- 成果報酬型:CV件数や売上に応じて費用が発生
契約形態ごとの特徴
前述の3つの形態ごとの主なメリット・デメリットには以下が挙げられます。
- 手数料型
- メリット:広告費が増えるほど代理店の報酬が増え、運用リソースを割きやすくなるため大きな成果を期待できる
- デメリット:広告費が少額だと手数料負担が割高に感じる
- 固定費型
- メリット:費用が安定し、予算計画が立てやすい
- デメリット:広告費範囲の境界を超えると運用費が跳ね上がる場合がある
- 成果報酬型
- メリット:成果が出なければ費用を抑えられるため、リスクを軽減できる
- デメリット:成果が出たときは他の形態よりも手数料が高くなりやすい
広告代理店選びのポイント
Web広告運用で成果を出すためには、自社に合った代理店を選ぶことが欠かせません。
代理店を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 自社に近い業界・商材を扱った実績
- レポート頻度や改善提案の質
- 対応してもらえる範囲
まとめ|自社に最適なWeb広告費を見極める
Web広告は、小さく始めて改善を繰り返すことで成果を積み上げられる媒体です。
そのためには、まず費用感を正しく理解し、自社に合った最適な運用を目指すことが大切です。
広告費は総コストで考える必要があり、さらに広告の種類ごとに費用相場が異なるため、目的に応じた選択が求められます。
予算設計では、CPAやROASといった指標を基準に逆算し、根拠のある数字を設定することが重要です。
最初から大きな予算を投じるのではなく、少額でテストを始め、効果のあった施策に集中投資することで、安定的に成果を伸ばせます。

費用感を理解し、戦略的に予算を設計することが、成果最大化への第一歩!
売り上げを増やすためのWeb広告成功事例集
- CVは付くものの成約に繋がらない
- 今の代理店に不満がある
- 専任担当者がおらず知見・時間が無い
- そもそも広告で成果が出ない
上記のようなお悩みを持った方へ
すぐに役立つASUEの広告改善事例を紹介します!
この記事を書いた人

田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用歴3年以上
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。