こんにちは、ASUE株式会社コンサルティングセールス課のタカハシです。
ここ数年どころか1年くらいの間にAIが大きく発展し、検索のシステムやテクノロジー、そしてユーザーの検索行動にも大きな変化があると言われています。そんな検索行動の変化によって、企業側はどこにどのように広告を配信すべきか、予測をするのも難しくなっています。
そんな状況を打破する一貫として、Google広告が提供を開始したのがより簡単に最適なターゲティング・クリエイティブ・LPで配信できる機能「AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)」です。
今回は、この「AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)」がどんなものなのかを説明しつつ、簡単に実際に配信した事例もご紹介します。
目次
AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)とは
AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)とは、簡単に言うと既存の検索キャンペーンをAIで強化できる設定のことです。
有効化すると、設定したキーワードだけでなくクリエイティブやLPに基づいて関連性の高いユーザーの検索語句にリーチを拡大し、アセット(広告の見出し・説明文や最終ページURL)の自動最適化もできる機能です。
ターゲティング(検索語句とのマッチング ほか)、クリエイティブ(見出し・説明文のテキストのカスタマイズ ほか)、ランディングページ(最終ページURLの拡張 ほか)の3つがAIによって最適化されるので、より最適な検索広告の配信が実現します。
参考:「検索キャンペーン向け AI 最大化設定で Google 広告を最適化する 検索キャンペーン向け AI 最大化設定(ベータ版)について」
https://support.google.com/google-ads/answer/15910366?hl=ja
検索語句マッチング
AI Max for Searchキャンペーン(検索キャンペーン向け AI 最大化設定)の特徴的機能の一つが、この検索語句マッチングです。
検索広告では、キーワード設定はターゲティングにあたる非常に重要な要素です。
元々、インテントマッチを使うと設定したキーワードからある程度関連キーワードへ拡張されて広告が配信される仕様でしたが、検索語句マッチングでは、キーワードだけでなくクリエイティブ・URLから学習してパフォーマンスの高い検索語句を見つけられます。
それにより、関連性の高い検索に広告を配信することが可能になります。
この機能は、検索キャンペーンでAI 最大化設定を有効化すると、キャンペーン内でデフォルトで有効化され、広告グループ単位で無効化も可能です。
また、検索語句マッチング以外に関心対象地域とブランド設定でもターゲティング調整ができます。
- 関心対象地域
- 広告グループ単位で設定できる地域ターゲティングの一種
- 設定した地域に関心を示しているユーザーにリーチできる
- ブランド設定:広告掲載のニーズに基づきブランドの登録、除外ができる
- ブランドの登録
- 選択したブランドに関連する検索語句に配信できる
- キャンペーン単位と広告グループ単位のコントロール
- ブランドの除外
- 選択したブランドに関連する検索語句に配信されなくなる
- キャンペーン単位のコントロール
- ブランドの登録
参考:「検索キャンペーン向け AI 最大化設定で Google 広告を最適化する 検索キャンペーン向け AI 最大化設定の仕組み」
https://support.google.com/google-ads/answer/15910187?hl=ja
参考:「広告の対象地域を設定する」
https://support.google.com/google-ads/answer/1722043
参考:「検索と P-MAX のブランド設定について」
https://support.google.com/google-ads/answer/13721847
テキストのカスタマイズ
テキストのカスタマイズ(旧:自動作成アセット)は、キャンペーン単位で制御可能な広告見出しと説明文のAIによる自動作成機能です。
検索キャンペーンに入稿したアセットや既存の広告・ランディングページ内のコピーを活用して、生成AIが検索語句と関連性が高くなるように見出し・説明文の作成をします。
生成されたアセットは、自分で入稿したアセットと共に高い効果が見込まれる組み合わせで配信されます。

自動で作成されたアセットは、内容に問題がないかをアセット詳細レポート等で確認して、不適なものがあれば削除するなどの対応が必要です。
参考:「自動作成アセットについて(※テキストのカスタマイズの旧名称)」
https://support.google.com/google-ads/answer/11259373
最終ページURLの拡張
最終ページURLの拡張機能は、サイト内からよりパフォーマンス向上が見込まれる関連性が高いページを見つけて自動でランディングページにする機能です。これは、キャンペーン単位で制御可能です。
この機能を使うと、広告をクリックしたユーザーの検索語句から、サイト内のより関連性があるURLへ遷移するようになります。
テキストのカスタマイズが無効の場合、広告文とランディングページの関連性が低くなる可能性があるため、使用時はテキストのカスタマイズも合わせて利用するのがオススメです。
注意点としては、この機能を有効にしてURLが拡張されたとき(設定したリンク先ではないページが表示される場合)、見出しの固定機能は適用されなくなります。なぜなら、固定した見出しとランディングページとの関連性が低くなる可能性があるからです。
また、ランディングページ(拡張先のURL)に含むか含まないかをコントロールする機能もあるので、キャンペーンの内容に応じて設定しましょう。
- URL の登録
- 最終ページ URL の拡張でキャプチャされなかった URL を含められる
- 広告グループ単位のコントロール
- URL の除外
- 特定の URL がキャンペーンのランディング ページとして配信されないよう除外できる
- キャンペーン単位のコントロール
参考:「検索の最終ページ URL の拡張(ベータ版)について」
https://support.google.com/google-ads/answer/16230205
参考:「検索キャンペーン向け AI 最大化設定で Google 広告を最適化する Google 広告で AI 最大化設定をセットアップする > URL の登録を使用するには」
https://support.google.com/google-ads/answer/15909989?sjid=1963654353267509926-NC#URLinclusions
機能によっては以前から提供されていたものもありますが、キャンペーン内でAI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)を有効化することで管理方法が変わる場合もあるので、ヘルプを確認しておきましょう。
レポート機能について
AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)では、以下のレポートが確認可能です。
レポート | 概要 |
---|---|
検索語句レポート | ・拡張した検索語句に対応するマッチタイプに「AI 最大化設定」が追加 ・一致ソースを示す[ソース]列追加 ・検索語句・見出し・URLを組み合わせて表示するビューが追加 |
キーワード レポート | 新しい概要行に「AI 最大化設定」が表示 |
ランディング ページ レポート | 新しい [選択方法] 列に、AI 最大化設定のランディング ページのパフォーマンスが表示 |
アセット レポート | AI 最大化設定のアセットのパフォーマンスが表示 |
動的検索広告(DSA)との違い
上述の通り、AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)を有効化すると、広告テキストの自動作成やリンク先URLをユーザーの検索意図に合わせた最適なものにすることが可能です。
こう聞くと、「動的検索広告みたいなものでは?」という疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
ですが、実際にAI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)を使用してみるといくつかの違いを感じられたので、ここでは動的検索広告との違いをご紹介します。
動的検索広告(DSA) | AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定) | |
---|---|---|
広告キャンペーン/グループ | DSA専用のグループを作成が必要 | 通常の検索キャンペーンで運用可能 |
キーワード設定 | 設定しない サイトの内容とクエリのマッチによって広告が表示 | 通常通り設定 検索語句マッチングによってキーワードおよびサイト・クリエイティブの内容に基づいて広告が表示 |
広告文 | 見出しは自動作成 ページタイトルの適用が多く、勝手に生成はされない | 通常通り設定 サイト内容を加味して生成AIの自動生成も可能(自動生成の有無を選択可能) |
リンク先URL | クエリによって最適なページが選ばれる | 拡張するかどうかを選べる ONにすると関連性の高いページがLPとして選定される |
まず、キャンペーンや広告グループの設定はDSAでは専用の広告グループを作成する必要がありますが、AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)では通常の検索キャンペーン内で設定を有効化すればそのまま運用可能です。
続いてキーワード設定。動的検索広告では設定の必要はなく、サイトの内容とクエリのマッチによって広告が表示されます。ですが、AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)では、通常の検索キャンペーン内で設定するのでキーワード設定も通常通り必要です。その上で有効化すると、キーワードやサイト・クリエイティブの内容に基づいて最適化な広告が表示されます。検索語句レポート上では通常のキーワード設定での広告表示とAI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)による広告表示を判別することも可能となっています。
広告文・リンク先URLについても動的検索広告ではクエリやサイトの内容によって最適なものが自動作成・選定される形で主にページタイトルが適用されるだけですが、AI Max for Search キャンペーン(検索キャンペーン向けAI 最大化設定)では通常通り設定した上でAIによる自動生成や拡張の有無を選ぶことになります。
AI Maxは通常の検索キャンペーンをAIで拡張する機能であり、動的検索広告よりもさらに柔軟な運用が可能となっています。

基本的には広告文・リンク先の拡張をONにしないと、AI Maxのポテンシャルを発揮しにくくなるかと思います。
ビジネスマッチングサイト(toB)の事例
コンバージョン数 | コンバージョン率 | 獲得単価 | |
---|---|---|---|
全体の数値 | 44 | 1.4% | 26,000円 |
AI Max | 23 | 1.5% | 25,000円 |
- 商材・サービス
- 特定の業界のビジネスマッチングサイト(toB)
- コンバージョンポイントは仮会員登録完了
- AI Maxの拡張度合い
- 検索語句マッチング:ON
- テキストのカスタマイズ:ON
- 最終ページURLの拡張:OFF(※特定URLへの遷移を目的としたCp.だったため)
キャンペーン全体の配信のうち、半分程度がAI Max由来の配信で、初動の2週間は成果が安定しませんでしたが、最終的にCV率・獲得単価ともに全体よりも良い結果に着地しました。
検索語句の例がこんな感じです。(具体的なキーワードは伏せてます)
検索語句 | マッチタイプ |
---|---|
〇〇(※業種の俗称) 職 | AI Max |
△△(※他の総合ビジネスマッチングサイト名) | AI Max |
□□(※ビジネス向けSNS名) | AI Max |
〇〇(※業界名) 交流会 | AI Max |
〇〇(※サービスカテゴリ名) | AI Max |
ある程度検索ボリュームもありそうなマイナーすぎない かつ 商材との関連性も高めの検索語句に程よく拡張された印象です。
配信所感とおすすめの導入ケース
まだ配信事例がそこまでないのですが、いくつかAI Maxで配信を行った結果感じたおすすめの導入ケースをご紹介します。
- リンク先候補となるページが多いサイトの場合
- DSAと同じように検索語句によって最適なページに誘導できる
- 1枚もののLPで配信している場合
- DSAだと効果は薄かった
- AI Maxだと試す価値がありそう
- 検索語句を広げすぎたくない場合
- DSAでは拡張されすぎて上手くいかなかった場合でも試す価値あり
- DSAよりも程よくキーワードの関連語句に拡張されている印象あり
一つ目はリンク先候補となるページが多いサイトの場合、DSA同様に検索語句によって最適なページに誘導することができるため効果が見込めます。一方、DSAで配信する意味があまりない一枚もののLPでの広告配信の場合も、AI Maxを使用すれば程よくキーワードを拡張しながら配信され、紹介した事例のように良い結果が得られました。

ニッチな商材を取り扱うスモールビジネスや特定の商材・サービスについてだけ広告を出したい!等の場合は、AI Maxを使うと余分な広告が出てしまって合わないかな〜という印象です。
まとめ
AI Max for Search キャンペーンは、既存の検索キャンペーンをAIの力で拡張し、ターゲティング・広告文・LPを最適化することで柔軟かつ効率的な運用を可能にする機能です。DSAでは対応しきれなかった課題にも対応できるケースがあり、上手く活用すればビジネスの拡大に寄与すると考えられます。
また、機能のコントロールやレポート機能も充実しており、単にAIを使って広告運用が簡略化できるツールではなく、運用を上手くコントロールしながら検索キャンペーンの成果をより伸ばしていけるのがAI Maxだと感じました。
検索行動がどんどん進化・変化していく昨今、ユーザーの検索語句も多様化していくことでしょう。そういう場合にAI Maxのような機能がより有用になっていくのでは?と思います。

今後も進化していく機能だと思うので、早めに使用感には慣れておきたいところですね!
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この記事を書いた人

たかはし
2022年7月にASUEへ復活。
Webコンサルティング課で広告運用に従事後、現在はコンサルティングセールス課へ。春夏はJリーグ・秋冬は釣りという趣味の二毛作を楽しむ。