Web広告を運用する多くの企業が直面する課題に、代理店の選定が挙げられます。
自社と相性が合わない代理店に依頼をすると、「広告を出稿しても成果が出ない」「予算と事業規模の感覚がずれている」といった悩みを抱えてしまいがちです。
この記事では、Web広告代理店を大きく3タイプに分類し、それぞれの得意領域・費用感・運用体制などを比較して解説します。
Web広告代理店選びの参考にしてください!
目次
Web広告代理店の役割と重要性
Web広告代理店は、単なる広告配信業者ではなく、顧客の売上アップを支えるマーケティングのパートナーです。
Web広告代理店が担う役割は、大まかに下記の5つに分類されます。
- 戦略設計
- 「3か月で売上を20%伸ばす」「資料請求を200件増やす」といった具体的な数値目標(KGI・KPI)の設定に始まり、ターゲット分析、市場・競合分析、媒体選定、予算設計などを行います。
プロジェクトそのものの成否を分ける、重要なフェーズです。
- 「3か月で売上を20%伸ばす」「資料請求を200件増やす」といった具体的な数値目標(KGI・KPI)の設定に始まり、ターゲット分析、市場・競合分析、媒体選定、予算設計などを行います。
- 広告プランニング・アカウント設計
- 戦略に基づき、広告アカウントの開設、計測タグの設定、キーワード選定、配信設定など、運用の基盤を整えるフェーズです。
成果を正確に可視化できるよう、トラッキング環境を設計し、媒体ごとに最適な配信構成を設計します。
- 戦略に基づき、広告アカウントの開設、計測タグの設定、キーワード選定、配信設定など、運用の基盤を整えるフェーズです。
- クリエイティブ制作
- ユーザー心理を踏まえ、広告文・バナー画像・ランディングページ(LP)・動画などを制作。
CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)を高めるため、訴求軸の整理やデザイン・コピーの最適化を行います。
- ユーザー心理を踏まえ、広告文・バナー画像・ランディングページ(LP)・動画などを制作。
- 運用・モニタリング
- 広告配信後は、日々のデータをもとに入札単価・配信スケジュール・ターゲティングなどを調整。
AIによる自動入札やアルゴリズム更新への対応を含め、継続的なモニタリングでパフォーマンスを維持します。
- 広告配信後は、日々のデータをもとに入札単価・配信スケジュール・ターゲティングなどを調整。
- 分析・改善提案
- 定期的なレポーティングを通じて成果を分析し、次の改善施策や新たな戦略提案を行います。
データに基づく改善サイクルを重ねることで、CPA(顧客獲得単価)やROAS(広告費用対効果)の最大化を目指します。
- 定期的なレポーティングを通じて成果を分析し、次の改善施策や新たな戦略提案を行います。
AIによる自動入札やアルゴリズムの頻繁な更新により、デジタル広告の複雑化が進む昨今では、Web広告を出稿するだけで成果を出すことは難しくなりました。
Web広告代理店の選定がそのまま成果に影響するケースも多く、広告運用を専門知識と経験をもつ代理店に任せる企業が増えています。
Web広告代理店を3タイプに分けて徹底比較
広告代理店と一口にいっても、会社によって得意分野・体制・料金体系は大きく異なります。
ここではWeb広告代理店を「総合広告代理店」「Web特化型の専門広告代理店」「業界特化型のハウスエージェンシー」の3タイプに分けて、特徴や費用などの観点から解説します。
以下では表・文中を含め一般的な傾向として比較しますが、実際の費用や対応範囲は企業規模や契約内容により異なる点に注意してください。
【図表案】代理店タイプ別・総合比較表
| 比較項目 | 総合広告代理店 | 専門広告代理店 (Web特化) | ハウスエージェンシー (業界特化) |
|---|---|---|---|
| 主な業務領域 | マス広告+Web広告全般 | Web広告全般 | 特定業界・グループ企業 |
| 得意分野 | 認知拡大・ブランド戦略 | 成果(CV)向上・費用最適化 | 業界・地域密着型広告 |
| 提案力 | 戦略設計が得意 | データ分析・改善提案が得意 | 業界知識が豊富 |
| 費用目安 | 高(数百万円〜) | 中(数十万円〜) | 変動(案件による) |
| 向いている企業 | 大企業・全国ブランド | 成果重視の中小企業 | 特定業界・地域に根差した企業 |
総合広告代理店:戦略とブランドの両立型
テレビCM・新聞・イベント・Webなど、複数メディアを横断的に扱うタイプです。
「マスメディア×Webの統合戦略」を強みに、認知から購買までの全体設計を行うことが強みです。
例として、全国的な飲料メーカーが「新商品の認知拡大」を狙う場合、総合広告代理店はテレビCMとSNS広告を連携させ、全体設計によって話題化と購買意欲の両立を図ります。
ただし、大手代理店では組織規模が大きく、部門が細かく分かれているため、小回りが利きにくいケースもあります。
また、Web広告運用を別会社に委託している場合もあり、依頼内容によっては担当間の連携に時間を要することもあるでしょう。
その結果、Web広告の出稿や改善依頼を行っても、対応に時間がかかったり、成果が出るまでに期間を要したりするケースがあります。
専門広告代理店:成果最大化型
リスティング広告やSNS広告など、Webに特化した代理店です。
毎日データをチェックしてスピーディーに調整を重ねられる体制が整っている会社が多く、コンバージョン(CV)を早期に得やすい傾向にあります。
ECサイトや問い合わせから商談につながるBtoB企業のように、「1クリック1成果」が明確なビジネスモデルでは、広告費を1円単位まで管理できる専門代理店の存在が極めて有効です。
データ主導で改善提案を行う一方、クリエイティブ戦略やブランドの設計は総合型ほど得意ではない代理店も見られます。
ハウスエージェンシー:業界特化型
企業グループや特定業界専属の代理店(例:JR東日本企画(交通広告)、東急エージェンシー(都市広告)など)で、親会社や関連企業の広告を一括管理します。
業界知識を活かした媒体選びや、地域や顧客層に最適化した広告展開が可能。
例えば自治体プロモーションでは、地域の交通広告や地元メディアとの連携を強みとします。
一方で、他タイプに比べて外部業界への展開や最新のデジタル広告技術への対応が遅れがちな点には注意が必要です。
目的に合わせた広告代理店の選び方
自社にとってどの広告代理店が適しているかは、目的によっても変わります。
自社の目標(売上・問い合わせ数など)に合わせて、上記3タイプのどれが成果につながるかを判断しましょう。
認知度を上げたい:総合広告代理店
新製品のローンチや市場拡大フェーズでは、PR・テレビ・屋外とWebを束ねる総合代理店が力を発揮します。
「話題化→検索増→CV増」の波及を狙うために、オフラインとオンラインを組み合わせた広告設計と管理が要です。
CVを増やしたい/CPAを下げたい:専門広告代理店
ユーザーに対して直接的に問い合わせや購入を促進する働きかけをしたり、限られた予算でオンライン販路を強化したりしたい場合は、専門広告代理店が適しています。
キーワード・配信面・オーディエンスなど細部でPDCAを回し、CVとCPAのバランスを最適化。
このような、短いサイクルでのクリエイティブ検証・改善を回せる体制が成果を左右します。
地域・業界特化で集客したい:ハウスエージェンシー
地域や特定業界に根ざしたビジネスでは、ハウスエージェンシーが有利です。
交通・流通・自治体などの地域特化型では、地元の生活動線を踏まえた媒体設計や、駅・商業施設からSNS・検索へ誘導する導線設計に強い傾向があります。
また、医療・教育・観光などの業界ごとに広告規制や商習慣が異なる分野では、業界に特化したハウスエージェンシーが適しています。
業界紙や専門サイトなど独自の媒体ネットワークを活かし、効率的にターゲット層へアプローチできるでしょう。
ブランド認知と成果を両立させたい:総合代理店と専門代理店の使い分け
広告の主な目的は、大きく「ブランドを広めること」と「売上やリードなどの成果を確保すること」の2つにわけることができます。
そして、この2つは施策に対しての考え方が異なるため、両立するのが難しいとされています。
そこでおすすめなのが、総合代理店と専門代理店の併用です。
総合代理店はブランドを広める戦略づくりや話題になる企画を担当し、専門代理店は広告の運用や費用対効果の改善を担当します。
それぞれの役割と目標を明確に分け、同じ管理ツールで進捗を共有することで、作業の重複や抜け漏れを防ぎ、両方の成果をバランスよく高めることが可能です。
優れたWeb広告代理店の見極め方と評価ポイント
Web広告で成果を出すには、単なる運用だけでなく、戦略設計から効果測定まで一貫して提案できる代理店を選ぶことが重要です。
ここでは、信頼できる代理店が実際にどのような思考と仕組みで成果を上げているのかを、5つの観点から解説します。
戦略設計:ゴールから逆算して広告の設計図を考える
良い広告戦略を立てるには、まず「どのような成果を出したいのか」というゴールから逆算して考える必要があります。
戦略の浅い代理店は、こうした全体設計をせずに広告運用だけに終始しがちです。
例えば、最終目標(KGI)が「売上1,000万円アップ」であれば、それを実現するために必要なKPI(「サイト訪問数を2倍にする」「問い合わせ件数を月100件に増やす」など)を逆算して具体的に設定します。
ここで重要なのは、施策と結果の関係を言葉で整理できることです。
依頼を検討する際は初回提案の段階で、目標設定や優先順位の考え方が整理されているかを確認すると安心です。
広告媒体の選び方:目的とターゲットをそろえる
配信する媒体は広告の目的やターゲット、フェーズなどで決まります。
例えば、認知拡大ならYouTubeやディスプレイ、購入意欲が高い層への訴求ならリスティング広告、若年層への波及ならSNS、といったように「どんな目的で」「どんな顧客に」「購入までのどの段階で」届けるかが重要です。
提案を受ける際は、提示された媒体が適切な考え方で選ばれたものであること、その理由を明確に説明してくれるかどうかを見極めましょう。
媒体が適切でない場合、結果に結び付かないだけでなく、配信の重複や予算の浪費が増えてしまいます。
Web広告の費用感については以下の記事も参考にしてください!

クリエイティブ制作:仮説・検証の改善サイクルを回す
制作のポイントは「響く訴求について仮説を立てる→少しずつ検証する→データを蓄積して次に活かす」というサイクルを丁寧に繰り返すことです。
良い広告代理店はCTRやCVRといった数字を追うだけでなく、うまくいった、あるいは失敗した要因を分析し、次の制作に活かします。
運用最適化:日次の意思決定基準を持つ
優れた広告代理店は「この数値が下がったら、この設定をこう変える」というようなそれぞれのセオリーをもっていて、それをベースにして状況を見ながら調整を繰り返します。
広告システムが学習したデータを崩さないよう、少しずつ設定を調整して改善を進めます。
むやみに変更を加えると、AIの学習結果がリセットされてしまうことがあるためです。
日々の学びや経験に基づいて、きちんと独自の運用基準を確立していることも、良い代理店の条件といえます。
効果測定:結果を正しく測って改善に活かす
レポートは結果をまとめるものではなく、次の改善に活かすための資料であるべきです。
優れた広告代理店は、数値を示すだけでなく「因果仮説→課題→改善案→実行計画」まで踏み込みます。
また、成果の測り方(どのツールを使うか、何を「成果」とみなすか、広告を見ただけの人を含めるかなど)を明確にしておくことが大切です。
これを曖昧にすると的外れな改善策が導き出されるため注意しましょう。
Web広告運用を外注する際は、広告代理店だけではなく業務委託に依頼する選択肢もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

成果を最大化するための社内準備と代理店との連携のポイント
代理店をうまく活用するには、選定だけでなくその後の協力体制や関係づくりも大切です。
社内の整理ができていないと、提案を十分に活かせません。
ここでは、代理店との連携をスムーズに進め、成果を最大化するための社内準備のポイントを紹介します。
どんな点に注意して、広告代理店との関係性を作っていくと良いのでしょうか?
顧客理解と強みを整理して共有する
まず、自社サービスのターゲットと提供価値を明確に言語化しましょう。
ペルソナ(顧客像)、購買のきっかけ、競合優位性などを端的に整理し、代理店にも共有します。
また、既存顧客のデータ(年齢・地域・購入頻度・離脱理由など)などのオフラインデータは広告配信の精度を上げるうえで非常に貴重なものになります。
昨今のWeb広告ではデータの蓄積・活用が成果に直結するため、代理店から求められたら可能な範囲で共有できると良いでしょう。
社内で広告の基本知識を共有する
代理店との会議をスムーズにするために、CTR・CV・CPAのような広告運用の基本的な用語や考え方を理解しておくことが重要です。
もちろん、良い代理店はむやみに専門用語を使うことはありませんが、顧客側に一定のリテラシーがあれば議論もスムーズになり、より高水準な提案を引き出す要素にもなりえます。
提案の背景と内容を正しく理解し、提案の質を正しく見極めるために、社内の担当者同士で共通言語を持って、良いパートナーシップの土台を作っていきましょう。
短期の成果と長期の成長を両立させる
広告運用では、今必要な成果と中長期的な事業成長の両立が重要です。
短期的なCVだけでなく、半年後や1年後のLTV(顧客生涯価値)も見据えて数字を追いかけましょう。
点でなく線での評価軸を確立し、それを広告代理店とも共有することで、成果と投資の適切なバランスを保ちながら運用を継続していくことができます。
まとめ|後悔しないWeb広告代理店の選び方
Web広告代理店は大きく、総合広告代理店・専門広告代理店・ハウスエージェンシーの3タイプに分けられ、それぞれ得意分野が異なります。
認知拡大やCVやCPA改善など、それぞれの目的に合わせて自社に合った代理店を選択することが大切です。
選定後は、目標の共有・定期的な検証・結果の分析の3点を徹底することでROASを高められます。
自社の目的を正しく理解してくれるパートナーと協力して取り組むことが、短期の成果と長期的な成長を両立させるポイントです。
本記事で解説した内容を踏まえ、パートナー選びに迷った際は、Web広告に強いASUE株式会社にご相談ください。
実際の運用事例をまとめた「Web広告の成功事例集」も、改善のヒントとしてご活用いただけます!
売り上げを増やすためのWeb広告成功事例集
- CVは付くものの成約に繋がらない
- 今の代理店に不満がある
- 専任担当者がおらず知見・時間が無い
- そもそも広告で成果が出ない

上記のようなお悩みを持った方へ
すぐに役立つASUEの広告改善事例を紹介します!
この記事を書いた人
田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用歴3年以上
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。