
こんにちは、ASUE株式会社Webマーケティング課のタナカです。
Meta広告で、コンバージョンユーザーの質を改善したいという議論は多くの場面であると思います。今回は、求人情報サイトの広告でコンバージョンの質改善のための分析、仮説立て、検証まで一連の改善施策が上手くいったので分析アプローチと詳細な事例をご紹介したいと思います。
目次
事例:求人情報サービス
商材 | 求人情報サービス |
---|---|
媒体 | Meta広告(と今回は触れないがGoogle広告も) |
目標CPA | 15,000円 |
CVポイント | 会員登録 |
CV後のフロー | 会員登録 ↓ 社内ジャッジ ↓←通過率(最適化の指標) 面談誘致 |
ランディングページ | ターゲットごとにLPあり(5つのキャンペーン) |
今回の商材は、求人情報サービスです。業種・業界特化型のサービスで、キャリア採用・業務委託などが中心となっています。
コンバージョンポイントとしては会員登録ですが、クライアント内でのコンバージョン後のフローが、登録者の経歴などを確認の上、企業へ紹介可能かジャッジを行い、その後面談誘致→実際の契約につながるという流れとなっています。
クライアントからの依頼としては目標CPAに合う形でのCV獲得であり、その目標獲得単価が15,000円ですが、社内ジャッジのフェーズが重要な指標だと判断して、費用対効果の最適化はジャッジの通過率を見ながら取り組んでいます。

商材やキャンペーンの中身については、実際のものと少しだけ変えてあります!
事件:ジャッジ通過率が大きく低下
クリック数 | CV数 | 獲得単価 | 通過数 | 通過率 | 通過単価 | |
---|---|---|---|---|---|---|
前々月 | 3,500 | 60 | 14,400円 | 30 | 50% | 25,000円 |
前月 | 3,300 | 60 | 14,500円 | 30 | 50% | 27,000円 |
当月 | 3,300 | 50 | 16,000円 | 20 | 40% | 40,000円 |
上記の表は、ある3ヶ月分のWeb広告全体での結果です。
CV数・通過数が良い感じに安定していたところから、ある月で突然社内ジャッジの通過率が大きく下がってしまいました。この通過率低下によって、通過単価が高騰してしまっています。

クライアントの成果に直結してしまう部分なので、ここは改善したいところですね。
改善のためのアプローチ
改善インパクトが大きい配信の分析

ASUEでは、コンバージョンがクライアントの成果につながっているかを確認するためにコンバージョンの情報を共有しています。(コンバージョン情報をスプレッドシートへ出力→クライアント側でユーザーのデモグラ情報や成約の有無などを入力しています。個人情報を含む場合があるため、実施する場合取扱等は要注意です!)
まず、ここでどのキャンペーンや広告が改善インパクトが大きいのか?キャンペーン、広告セット、クリエイティブ単位での通過状況に傾向はあるのか?を調べたかったため、シートの項目に「広告セット」と「広告」を追加しました。
ということで、通過率が低下した当月のキャンペーンと広告セットごとの成果をピボットテーブルで集計しました。(→ピボットテーブルの使い方はこちら)
キャンペーン | 広告セット | 社内ジャッジ通過率 | 広告費 |
---|---|---|---|
キャンペーンA | Advantage+ | 60% | 20万円 |
キャンペーンA | CVユーザー類似 | 50% | 6,000円 |
キャンペーンB | Advantage+ | 40% | 12万円 |
キャンペーンB | デモグラターゲティング | 50% | 3万円 |
キャンペーンC | CVユーザー類似 | 50% | 5万円 |
キャンペーンD | Advantage+ | 36.4% | 18万円 |
キャンペーンD | サイト訪問リターゲティング | 0% | 4万円 |
キャンペーンBとキャンペーンDの通過率が低そうな傾向にありますが、特にキャンペーンDは配信量も多いにも関わらず通過率が低そうです。
ここで前月分の成果も確認すると……
キャンペーン | 広告セット | 社内ジャッジ通過率 | 広告費 |
---|---|---|---|
キャンペーンA | Advantage+ | 47% | 22万円 |
キャンペーンD | Advantage+ | 33% | 18万円 |
キャンペーンB | サイト訪問リターゲティング | 67% | 6万円 |
キャンペーンC | CVユーザー類似 | 50% | 3万円 |
前月でもキャンペーンDは同様に通過率が低いことがわかります。また、その中でAdvantage+での配信が特に通過率が悪い結果となりました。
ここまでの結果で考えうる考察と打ち手
- 考察
- 広告セット「Advantage+」の配信は拡張性がある
- ユーザーのズレが発生
- CV数も多く配信が寄っているため、悪くなっていく可能性あり
- 広告セット「Advantage+」の配信は拡張性がある
- 打ち手
- Advantage+の配信停止
配信結果の分析の結果、キャンペーンDのAdvantage+が配信量が多いのに通過率が低いことがわかりました。Advantage+はMeta広告のAIを活用した配信手法であり、拡張性が他のターゲティングと比較すると高いメニューです。そのため、ユーザーのズレが発生→CVが多くついたために機械学習で配信が寄っている可能性があります。
このまま配信を続けるとどんどん成果が悪化する可能性がありそうなので、通常Advantage+の配信停止が視野に入るところです。

Advantage+はCV数も多いし、止めるべきだろうか……。
でも、もう少し真因を追求してみる必要があるかも。
ということで、ここで打ち手を決定せず、クリエイティブレベルの分析を行うことにしました。
クリエイティブレベルまで通過率を分析
キャンペーン | 広告セット | クリエイティブ | 社内ジャッジ通過率 |
---|---|---|---|
キャンペーンD | Advantage+ | ![]() | 50% |
キャンペーンD | Advantage+ | ![]() | 29% |
※商材を変更しており、ダミーのクリエイティブです
クリエイティブごとの通過率をチェックしたところ、イラスト調の職種訴求のバナーの通過率が悪いことがわかります。
同じキャンペーン・広告セット内でもテキスト訴求のバナーの通過率は50%と、全体から比較しても悪くないことがわかります。
キャンペーンDは、医療機器や医療良品などの研究開発職用キャンペーンで、医療機器メーカーなどの研究・開発職の方がターゲットのキャンペーンでした。
月中にいただいていた、先方からの情報は下記のようなものでした。

今月登録いただいた方は、広い意味で業界としては合っていますが、商品開発・研究開発系の職種の方ではなく医療系の現場で働く方が多かったようです。
クリエイティブ分析からの考察と打ち手
- 考察
- Advantage+による拡張性が真因ではない
- 研究開発職を想起させるつもりのイラストが、別の職種を想起させていた
- それにより対象外CVが増え、学習が寄ってしまった
- Advantage+による拡張性が真因ではない
- 打ち手
- イラスト調のバナーを停止
クリエイティブの分析の結果、Advantage+のキャンペーンの拡張性が社内ジャッジ通過率低下の真因ではなく、イラスト調のバナーで別の職種が想起されてしまい、対象外のコンバージョンが増えたのでは?と考えました。
そこで、このキャンペーンのイラスト調バナーの配信を次月から停止することに。
結果
停止したバナーを配信していたキャンペーンの、3ヶ月分の結果がこちら。
クリック数 | CV数 | 獲得単価 | 通過数 | 通過率 | 通過単価 | |
---|---|---|---|---|---|---|
前月 | 400 | 13 | 16,000円 | 5 | 39% | 41,000円 |
当月(悪化した月) | 450 | 13 | 17,000円 | 4 | 31% | 56,000円 |
次月(停止後) | 380 | 12 | 19,000円 | 7 | 58% | 32,000円 |
課題となっていた社内ジャッジ通過率が31%→58%と改善しました。コンバージョン獲得数ベースの獲得単価は高騰傾向にありますが、1人が社内ジャッジを通過するのにかかった単価は56,000円→32,000円と大きく改善しています。
また、全体の結果(3ヶ月分)はこちら。
クリック数 | CV数 | 獲得単価 | 通過数 | 通過率 | 通過単価 | |
---|---|---|---|---|---|---|
前月 | 3,300 | 60 | 14,500円 | 30 | 50% | 27,000円 |
当月(悪化した月) | 3,300 | 50 | 16,000円 | 20 | 40% | 40,000円 |
次月(停止後) | 3,000 | 50 | 16,000円 | 26 | 52% | 31,000円 |
配信量の多いキャンペーンだったため、全体へのインパクトも大きく、全体の数値も改善されました。
全体の考察とまとめ:すぐにテクニック路線で解決しないが吉
「コンバージョンの質を改善しよう」というと、すぐにテクニック路線で解決を試みようとしてしまいがちです。例えば、フォームの記入内容によって学習対象から外してみたりコンバージョン値を調整してみたり……。
そういった事例はASUEでも過去に紹介していますし、もちろん有効なケースも多いですが、果たしてそれが本質的なのか?その施策を打つべきフェーズなのか?は十分に吟味してからやるのが良いと思います。
今回の事例であれば、イラスト調のバナーをそのまま配信しながら上記のような解決手法をとってしまったり獲得頭であるAdvantage+を止めたりしていたら、根本原因が改善されないままコンバージョンの母数が減ってしまった可能性もありました。


テクニック路線や汎用的な手法は困った時に飛びつきやすいところではありますが、いつでもしっかり分析して、今何が必要なのかを考えて施策を打てると良いですね!
ASUEの広告運用事例資料をまとめた資料を配布中! 気になる方はぜひ下記ボタンよりダウンロードしていただけますと幸いです。
売り上げを増やすためのWeb広告成功事例集
- CVは付くものの成約に繋がらない
- 今の代理店に不満がある
- 専任担当者がおらず知見・時間が無い
- そもそも広告で成果が出ない
上記のようなお悩みを持った方へ
すぐに役立つASUEの広告改善事例を紹介します!
この記事を書いた人

田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用歴3年以上
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。