Web広告の分析に使いたい!Google スプレッドシートでピボットテーブルを活用して集計しよう

2024年10月08日

こんにちは、ASUE株式会社 広報のN村です!

広告運用をするにあたって欠かせない運用データの分析。ですが実際に分析を行うとき、考える時間よりもたくさんのデータを集計するところに時間がとられてしまっている方もいるかもしれません。

そんなときに使いたいのが、Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシード、Numbersなどの表計算ソフトで利用できる「ピボットテーブル」。

本記事では、ピボットテーブルの基本的な使い方や活用方法をご紹介します。

広告運用以外の業務にももちろん役立つ機能なので、使ったことがない方はぜひチェックしてみてください!

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などと偉そうに言っておりますが、今まで使う機会がとんとなかったので初めて使います。

使ってみたら飛んだので、使ったことない人は使ったほうがいいです。

ピボットテーブルとは

ピボットテーブルとは、上述の通りMicrosoft ExcelやGoogle スプレッドシード、Numbersなどの表計算ソフトなどで利用できる集計・分析機能のことです。

この機能を利用すると、データを項目ごとに分類することや複数の項目をまとめるクロス集計をすることが可能なので、大量のデータの集計や分析に役立ちます。

日付別のデータで月次集計・年次集計などのグループ化や、金額などの数値のグループ化も可能であり、見たいデータの可視化を簡単に行うことができます。

フィルタとの違い

  • フィルタは特定の条件のデータを絞り込むために使用する
  • 複数の条件でデータを絞り込んで確認することは可能だが、条件別の集計などには向かない
  • 見たい条件ごとに毎回フィルタをかける必要がある

ピボットテーブルとよく比較されるのがフィルタ機能です。

フィルタ機能は、行・列ごとに特定のデータで絞り込んで確認したい場合に利用しますが、絞り込んだデータごとの総計などを表示するには向きません。

また、見たいデータの条件ごとにフィルタをかけなおす必要があります。例えば、売上データをまとめた表から◯月の店舗Aのデータと◯月の店舗Bのデータを見たい場合は、月と店舗でフィルタをそれぞれかけないと必要なデータを見ることができませんが、同じようなデータがピボットテーブルを使用すれば簡単に一覧で確認することが可能です。

Google スプレッドシート ピボットテーブルの使い方

今回は、Google スプレッドシートでの使い方をご紹介していきます。

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細かい仕様は違うと思いますが、Excelも大体同じように使用可能です!

ピボットテーブルの基本の作り方

作成方法は以下の通り。

  • 1. 集計したいデータの準備
  • 2. 集計したいデータの選択
  • 3. [挿入] > [ピボットテーブル] > 作成先シートの指定(新規 or 既存)
  • 4. 3. でピボットテーブルを作成したシート内で[行][列][値]などに含める項目を選択

細かく説明します。まず、集計したいデータの準備をします。

広報のN村「パンドラの箱が開く。」

今回は例としてわたしの9月以降のチケット代を集計します。

前向きなASUEくん

最後に残るのは希望。

2024年9月〜2024年12月までの予定について(※まだチケットが取れたわけではないものを含む)、公演日・公演名(今回はアルファベットで置き換え)、公演カテゴリ(コンサート・ライブ、ミュージカル、イベント)・チケット代(ポイント利用して買ったものがあるため、別列に金額として算出)を、公演毎に一行ずつ記入したものがこちら。一番上に見出しを入れておけば、その見出しもピボットテーブル内に自動で反映されるので、使用するデータに見出しがない場合は入れておきましょう。

必要な箇所を選択の上、上部の[挿入] > [ピボットテーブル] をクリックします。

作成したいシートを新規または既存で選択します。特に理由がなければ新規シートに作成すればOKです。

今回は新規シートに作成したので、作成されたシートに移動するとこんな感じ。(ちなみに初期シート名は「ピボットテーブル XX(数字)」になります。)

[行]、[列]、[値]に見たいデータをセットすることで、集計が行われます。データを[行]、[列]、[値]に入れる場合は、ドラッグ&ペーストでセットできます。

このような手順で、ピボットテーブルを作成できます。

基本のピボットテーブル(値の合計やカウント集計)

ピボットテーブルでできる一番基本的なことは、データの項目ごとの個数カウントや、項目ごとの値の合計を集計することだと思います。

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では、まず手始めにわたしがどの公演に最もお金をかけているか、調べてみましょう。

[行]に公演、[値]に金額を入れます。

これで公演ごとにかかった金額一覧が表示されます。では、どの公演に最もお金がかかっているでしょうか?

データを並び替えたい場合は、[行]に設定したデータの[並べ替え]や[順序]を設定変更すれば、値の大きい順や小さい順に並べ替えることができます。

わたしが公演Cに145,000円かけていることがわかりますね。

では、それぞれの公演には何回ずつ行っているのでしょうか?

[値]にセットした金額を外して、[行]と同じく公演をセットしました。[値]の集計方法が[COUNTA]になっており、こうすると数値の合計ではなく個数をカウントしてくれます。先ほど同様に並べ替えると、やっぱり公演Cに異様な執念を燃やしていることが見えますね。

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ちなみにこの後、公演C以外では減らしたものもありますが、公演Cはなぜか増えました。

クロス集計:2つの変数を組み合わせた集計

また、[行]と[列]に別のデータをセットすれば、2つの変数を組み合わせたクロス集計をすることが可能です。クロス集計を使用すると、2つの項目の

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ということで、ここでは日別にどの公演にいくらかけたかを集計してみます。

例えば、[列]に日付、[行]に公演、[値]に金額をセットします。

クロス集計の例としてちょっと微妙なのでもう一つ例を……。

ミュージカルのデュエットナンバー全143曲調査——世情・価値観の変化はわかるのか?
ピボットテーブルを知らずに大量のデータを集計したブログ
 2023年1月17日ミュージカルのデュエットナンバー全143曲調査——世情・価値観の変化はわかるのか?

ミュージカルのデュエットナンバー143曲を集めて、傾向などを調べた記事です。これを当時のわたしは全部関数でいちいち計算しました。

143曲のデュエットが、歌う人種別(女女・男女・男男)と歌っているキャラクター同士が敵対関係にあるかどうかの集計が一瞬でできました。便利ですね。

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敵対関係にある人間同士のデュエットナンバーが好きなので、敵対関係にある10曲を眺めてにやにやしています。

ASUEくん

はい。

知っておくと便利そうなピボットテーブルの機能

ここまでの説明で、ピボットテーブルでどんなことができるのかが大まかにわかったかと思います。ここでは、いろんなデータの集計時に使えそうな便利な機能をいくつか紹介します。

カテゴリごとに集計データを分ける方法

[行]にセットした項目が、いくつかのカテゴリに分かれていてそのカテゴリごとの集計を行いたい……という場合は、[行]に2つ以上の項目をセットすることで分類して集計することも可能です。

今回は最初に用意したわたしの参加予定公演の元データで、各公演をカテゴリ(イベント / コンサート・ライブ / ミュージカル)に分類しているので、こちらをカテゴリごとに分けてみます。[行]にカテゴリと公演の2つをセットすると、カテゴリ毎に公演が分けられた上で集計が表示されます。

この際、カテゴリにあたる分類項目のデータを上にして設定します。

コンサートなどにも行っていますが、ミュージカルばかり行こうとしているのがうかがえますね。

日付データを月別に変更する方法

クロス集計のところで公演にかかった費用を日別に集計してみましたが、日別だとちょっと見にくいですよね。

そんなときには、このデータを日付毎ではなく月別の集計に変更することが可能です。

日付の入ったセルを右クリックすると、[ピボット日付グループを作成]という項目が出てきます。そこにカーソルを合わせると、日付・時間のカテゴリがいろいろ出てきます。

月別データにしたい場合は[月]、年別データにしたい場合は[年]、四半期別のデータにしたい場合は[四半期]など、さまざまな期間で自動でグルーピングして集計が可能になります。

日付を含むデータから、月毎の変化や週ごとの変化や傾向などを読み取るのに役立ちそうですね。

数値データを一定間隔で区切って集計する方法

また、[列]に日付以外の数値がセットされている場合、同様にその数値が入ったセルを右クリックして[ピボットグループのルールを作成]を選択することで、数値を10刻み・100刻みなどで集計可能です。

最小値・最大値・間隔のサイズを設定すれば以下の通りに表示されます。最初の例だとわかりにくかったので、クラスの身長一覧(仮 / 適当に作ったデータ)でピボットテーブルを作成しています。

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こんなふうにデータを簡単に集計することができるようになりました!

スプレッドシートのピボットテーブル作成時の注意点

使い方を覚えれば簡単に集計ができるピボットテーブルですが、作成にあたっていくつか注意点があるのでご紹介します。

表記揺れ

元データ内で表記に揺れがあると、正しく集計ができなくなります。例えば、上記の画像では、公演名として、本来同じ公演なのに「C」と「公演 C」があることでバラバラに表示されてしまいます。

同じものとして集計したいデータでは、表記が統一されるように気をつけましょう。

数値と別データを同じ列に含めない

数値データの中に、別のデータが混じっている(テキスト等)場合、データの集計が数値の合計(SUM)ではなくデータの個数(COUNTA)になります。

この状態でピボットテーブルを作成してデータをセットすると、インプレッションやクリック数は数値合計(SUM)で集計されていますが、コンバージョンは数値合計(SUM)ではなくデータ数の集計(COUNTA)になっています。

この場合は、ピボットテーブルの編集画面で、右側に表示される[ピボットテーブル エディタ]から、セットしたデータの集計方法を変更できます。

これをSUMに変更すると、数値以外のデータを無視して数値の合計が集計されます。

ここの集計の設定では、他にもAVERAGE(平均値)・MAX(最大値)・MIN(最小値)などさまざま選ぶことが可能です。

データの更新

今ある元データの数値等が更新された場合は、ピボットテーブル内の集計も自動で更新されます。が、選択範囲外で新しい列や行を追加した場合や列の入れ替えを行なった場合などは自動では追加や反映がされなかったり、セットしたデータがおかしくなる場合もあります。

その場合は、ピボットテーブルの範囲を変更したり、データをセットし直すようにしましょう!

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スプレッドシートではデータの数値更新は自動更新されましたが、調べた感じエクセルでは自動更新されなさそう?なので、数値更新をした際には問題ないか確認したほうが良いかと思います。

Web広告運用で便利な使用方法

管理画面上の数値の分析・共有などに利用

広告媒体の管理画面上から、キャンペーン情報などをエクスポート(Google 広告の場合はスプレッドシートに直接エクスポート可能 または CSVファイルを読み込む)できます。そこから、ピボットテーブルを使用して見たいデータを見やすく集計することが可能です。

入稿チェック

分析や集計以外にも、設定のチェックにも利用可能です。

ピボットテーブルを使用すると、数値の合計だけでなく個数のカウントもできるので、キャンペーンの設定情報をエクスポートすることで大量のキャンペーンの入稿チェックをある程度簡単に行うことが可能です。

上手くピボットテーブルを利用すれば、各キャンペーンを正しい地域に出稿できているか、リンク先URLは正しいか、などを確認できるので、細かくキャンペーンを区切っている場合はぜひ試してみてください。

参考:「リスティング広告の入稿チェックにExcelのピボットテーブルを活用する方法」
https://amijat.work/excel-pivot-4-life

GA4のデータを自動でレポート化

GA4だと見たいデータが見にくい・レポート作成等が面倒、移行後ろくに管理画面を見なくなった……という方も多いかもしれません。そういう場合には、スプレッドシートのアドオンを使う必要がありますが、GA4とスプレッドシートを連携するとレポートの自動化をすることも可能です。

  • 公式のGA4 Reports Builder for Google Analytics
  • サードパーティー製ツールのGa4 magic reports  などを使用

これらを使用して出力されたデータをピボットテーブルを使って整形すれば、見やすいレポートを自動作成することが可能です。

リード情報の分析

広告配信の結果だけでなく、リード情報の分析などでもピボットテーブルが使用できます。

お問い合わせフォームなどに入力された情報を、1行ずつスプレッドシートに転記して、お問い合わせからその後どのようなリードが成約に繋がったか?という情報は、広告を改善するのに役立つ情報です。

※デモ用のサンプルデータです

上記のようなリード情報一覧でピボットテーブルを作成することで、どんな属性のユーザーが広告主さまにとって良いリードだったか見極めやすくなるかもしれません。

まとめ

大量のデータを効率よく集計するのにとっても便利なピボットテーブル。今回は使い方の本の一例だけをご紹介していますが、この他にも効率化に役立つ使い方がいろいろあると思うので「まだ使ったことがない!」という方はぜひぜひ使ってみてください!

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