Web広告代理店へ依頼するにあたって、入念な準備は非常に重要です。
今や多くの企業がWeb広告に注力していますが、準備不足のまま依頼してしまうと「期待していた成果が得られない」「予算ばかり消費してしまう」といった失敗が起こりがちです。
この記事では、Web広告代理店に依頼する際に準備しておくべき15のポイントを整理して紹介します。
目的や予算、ターゲットの整理から見積もりの見方、社内体制の整備まで、依頼後の成果を左右する実践的な内容を網羅しました。
事前準備を整えることで代理店とのミスマッチを防ぎ、より効果的な広告運用ができるでしょう。
目次
インハウスとアウトソースの違い
まず理解すべき点として、Web広告における「インハウス(社内運用)」と「アウトソース(外部委託)」の違いを明確にしておきましょう。
インハウス運用は、スピード感と柔軟性を持たせやすく、自社内に広告のノウハウを蓄積できる点がメリットです。
商品理解が深い担当者が自ら運用することで、商品の特長を的確に伝えやすく、仕様の変更にスピーディーに対応できます。
ただし、広告についての専門知識が必要で、人材育成やリソース確保にコストがかかります。
一方、アウトソース運用は、広告代理店などの専門家に任せることで、高度な知見をもってトレンドにも合わせた運用ができるのがメリットです。
各広告媒体の特性に合わせた最適化や改善提案を受けられますが、当然ながらコストがかかり、また社内との調整に時間がかかることもあります。
近年は「ハイブリッド型(共同運用)」を採用する企業も増えています。
戦略や方針は社内で策定し、実務運用を代理店に委託することで、スピードと専門性の両立が可能です。
自社の目的や体制に合わせて、どの運用形態が最も成果につながるかを見極めましょう。
| 項目 | インハウス | アウトソース | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
| 強み | スピード・ノウハウ蓄積 | 専門性・効率的 | 両者の長所を活かせる |
| 弱み | 人材負担が大きい | 情報共有が必要 | 体制構築が複雑 |
広告代理店に依頼する場合は、自社に適した代理店を選ぶ必要があります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。

Web広告代理店への依頼前に準備すべき15項目チェックリスト
Web広告代理店に依頼する前に、これから紹介する項目を整理しておけば初回の打ち合わせがスムーズに進みます。
目的や予算、ターゲット像などを明確に共有できれば、提案内容の質も格段に向上するでしょう。
準備が不十分な場合、追加確認や再提案が必要になり契約までの期間が長引くことも。
つまり、依頼前の準備は「代理店に正確な情報を伝える」ための工程であり、結果として自社のコンバージョン(CV)成果を早期に最大化するための第一歩といえます。
| No | 項目 | 内容 | 用意する資料の例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 予算 | 広告費・運用費・初期費用 | 予算配分表 |
| 2 | 現状把握 | 過去の広告成果データ | レポート |
| 3 | LPの現状 | メッセージ整合・CTA配置 | LP資料 |
| 4 | 広告の目的と目標 | CV数、CPA、期間などの数値目標 | KPI表 |
| 5 | ペルソナ | 年齢・職業・課題・ニーズ | 顧客データ |
| 6 | 自社・商品の強み | 価格、品質、実績など | 競合比較表 |
| 7 | 競合分析 | 他社広告・LPの傾向 | 調査メモ |
| 8 | 代理店実績 | 業界事例・資格 | 案件事例 |
| 9 | 担当者確認 | 経験・対応体制 | 組織図 |
| 10 | 契約範囲 | 含まれる業務・条件 | 契約書案 |
| 11 | 料金体系 | 手数料・初期費用の内訳 | 見積書 |
| 12 | レポート | 頻度・形式・改善提案の有無 | サンプル |
| 13 | コミュニケーション | 定例会・連絡手段 | 社内担当表 |
| 14 | KPI・PDCA | 指標と改善サイクル | 月次報告書 |
| 15 | 社内体制 | 問い合わせ対応・素材準備 | 業務分担表 |
それぞれの項目について、順に深掘りしていきましょう!
広告代理店への依頼の際に共有すべきこと
広告代理店に依頼する前に、自社の現状と目的を整理しておくことが重要です。
まずは、代理店が戦略を立てるうえで欠かせない共有必須の情報を整理しましょう。
これらが揃っていると、初回の打ち合わせから現実的かつ効果的な提案を受けやすくなります。
1. 広告にかけられる予算の上限
広告の運用代行を依頼すると、広告費だけでなく、運用手数料・初期設定費、さらにはクリエイティブの制作費なども必要になります。
内訳は料金体系によっても変わってくるので、認識齟齬のない提案を受けるためにも、広告のプロジェクトに使える総予算を代理店に共有するようにしましょう。
2. 過去の広告運用実績
すでに広告を出した経験がある場合は、媒体別のCTR・CV・CPAなど主要指標を一覧にしておくと良いでしょう。
成果が出た施策の傾向や改善が必要だった点などの情報を共有することで、代理店は現状分析と改善提案を行いやすくなります。
データが手元にない場合は、以前どの媒体でどのような目的で出稿したかを簡単に伝えるだけでも効果的です。
3. LP(ランディングページ)の現状
広告から流入するページの品質は成果に直結します。
既存のLPがある場合、代理店も当然チェックはしますが、それまでのデータなどから感じている課題があれば、整理して共有できるとベターです。
特に、CTAの配置、メッセージの整合性、スマートフォンでの見やすさなど、CVに直結しやすい要素にフォーカスしてチェックしておきましょう。
依頼前に自社で準備しておけると良いこと
ここで紹介する項目は代理店が戦略立案時に行う領域ではありますが、あらかじめ社内でも方向性を整理しておくと、提案や議論の深度が大きく変わります。
これらを準備しておくことで、初回打ち合わせからより本質的なディスカッションが可能になります。
4. 広告の目的と目標を明確にする
広告を通じて何を達成したいのかを具体的に言語化しておきます。
例えば「3か月でCV300件を獲得」「CPAを1万円以内に抑える」など、明確な数値目標(KPI)を提示できると理想的です。
ただし、最終的なKPI設計は代理店がサポートする場合も多いため、社内での方向性レベルでも構いません。
5. ターゲット(ペルソナ)を想定しておく
自社の商品やサービスを利用する顧客の年齢層、職業、課題、購買動機などを簡単にまとめておきましょう。
誰に伝えたいのかが共有できていると、代理店が訴求メッセージや媒体選定をより正確に設計できます。
代理店によっては、ユーザーリサーチからペルソナの構築ができる場合もあるため、ターゲットの解像度を上げたい場合は相談してみても良いでしょう。
6. 自社や商品の強み・訴求軸を整理する
広告における訴求ポイントは、代理店がつくるクリエイティブの肝でもありますが、自社や商品のことを最もよく知っているのは自分たちです。
なので、自社の商品を選ぶべき理由を自分たちの言葉で整理しておくことが大切です。
価格、品質、サポート体制、実績、独自技術など、競合と比べた際の優位性をまとめておくと、広告コピーやLP設計の方向性が明確になります。
7. 競合の広告やLPを確認しておく
他社の広告やサイトを分析し、訴求内容・デザイン・価格帯などを比較しておくと、市場全体の傾向を把握できます。
分析自体は代理店が行う領域ですが、自社がどう見られているかという気づきを共有するだけでも、差別化提案の精度が上がります。
Web広告代理店選びで確認すべきポイント
広告代理店ごとに強みや料金体系、サポート範囲は大きく異なります。
代理店を選定するにあたっては、実績や体制、契約内容を十分確認することが大切です。
8. 代理店の実績と専門性
代理店の実績は成果の信頼性を示す指標です。
信頼性が高く、十分な実績があるかどうかを、代理店のサイトや資料で確認しましょう。
自社と同業・同規模の実績があるかについても確認できれば理想的です。
Google広告の認定パートナー制度やYahoo!広告の公式認定パートナー資格の有無も、代理店の専門性を判断する目安になります。
9. 運用体制と担当者
広告運用の成果は、担当者のスキルや経験に大きく左右されます。
専任担当制かチーム制か、どのような頻度で打ち合わせを行うのかといった面も含め、事前に確認しておきましょう。
担当者が変わる可能性や変更時の引き継ぎ体制も重要なポイントです。
10. 契約内容とサービス範囲
広告運用以外に、クリエイティブ制作やLP改善、レポート作成など、どこまでのサービスが含まれるかを確認します。
契約期間や途中解約条件、成果報酬の条件や算出方法も曖昧にせず、契約書などで明確にしておくことが重要です。
11. 料金体系の透明性
一般的に、代理店の運用手数料は広告費の20%程度が目安とされています。
ただし、内訳や対応範囲は代理店によって異なります。
例えば「レポート作成」「バナー制作」「定例ミーティング」などが手数料に含まれるのか、別料金なのかを確認しておきましょう。
| 費用項目 | 主な内容 | 代理店によって異なるポイント |
|---|---|---|
| 媒体出稿費 | 広告媒体(Google、Yahoo!など)への実際の出稿コスト | クリック単価(CPC)・入札設定など |
| 運用手数料 | 広告運用、レポート作成、打ち合わせ対応など | 手数料率の設定、定例会や改善提案が含まれるか |
| 制作費 | バナー・LP・動画などの制作コスト | 制作回数、修正対応の範囲 |
| 分析・改善費 | データ集計、ABテスト、ツール利用料など | 分析ツールの有無、改善提案の頻度 |
12. レポーティングと分析の方法
どのようなレポートをどの頻度で提供してもらえるのかを確認します。
マメな情報共有があることはもちろん、具体的な改善提案が含まれているかどうかにも留意しましょう。
広告代理店との協業を成功させるために
契約後は、情報共有のスピードと信頼関係が成果を左右します。
定期的な打ち合わせや指標のすり合わせを徹底し、社内外で一体となって運用体制を整えましょう。
13. コミュニケーション方法と頻度を決める
代理店との効果的な連携には、定期的な打ち合わせと明確な連絡ルールが欠かせません。
定例会の頻度(週次・月次)、緊急時の対応フローや担当者などを明確にしておくと安心です。
また、メールやチャットツールなど、双方が使いやすい連絡手段をあらかじめ決めておきましょう。
14. 効果測定の指標と改善プロセスを決める
CTR、CV数、CPA、広告費用対効果(ROAS)など、重視する指標をあらかじめ共有し、PDCAサイクルを確立します。
レビュー会議を月1回程度実施し、データに基づいて改善策を議論する仕組みを作ると効果的です。
15. 社内の協力体制を整える
広告運用を成功させるためには、社内での連携と情報共有、相互理解が欠かせません。
営業・商品開発・カスタマーサポートなど、関連部署との情報共有を徹底しましょう。
広告からの問い合わせに迅速に対応できる体制を整えることで、成果を最大化できます。
代理店への相談前に、以上の15のポイントをクリアできるように準備しておきましょう!
初回打ち合わせを成功させるコツ
初回打ち合わせでは、目的・課題・予算・スケジュールを共有し、アクションの優先順位を決めることが重要です。
特に、広告を出す目的、期待する成果を言語化しておくと、代理店もゴールを正確に把握できます。
また、現行LPや過去のレポート、予算配分表、競合広告のスクリーンショットなど、現状を把握できる資料を持参しましょう。
これらは、代理店がターゲット層や訴求ポイントを理解し、実践的な提案を行うための基盤になります。
加えて、意思決定者が同席しているとその場で方向性を固めやすくスムーズです。
初回から「期待成果」「改善期間」「判断基準」を共有できれば、より精度の高い提案を引き出せるでしょう。
見積もり比較のポイントは金額よりも中身
予算に見合う提案であることはもちろん大切ですが、単純な見積もり金額だけでなく、提案内容の中身で判断しましょう。
同じ金額でも、運用範囲や改善頻度によって成果は大きく変わります。
まず確認すべきは手数料の内訳です。
広告費に対して何%か、またレポート作成や改善提案、定例会などが含まれているかを明確にしておきます。
「運用一式」といった曖昧な表現がある場合は、具体的にどんな内容を指すのかを確認することが大切です。
次に、レポートの中身・頻度を確認しましょう。
月次レポートの内容は代理店ごとに異なり、この頻度や中身によって、改善スピードや提案の質が大きく変わるためです。
契約前にサンプルレポートを見せてもらうと、分析の深さや報告内容のレベルを把握でき、運用開始後の期待値からのギャップを防げます。
成果報酬型契約では、報酬の算出条件を明確に。CV数かCPA改善率かなど基準が曖昧だと、後のトラブルにつながります。
比較の際は、単価よりも内容の透明性を重視し、「この金額でどこまで対応してもらえるか」を必ず確認しましょう。
Web広告代理店は協働するパートナーです。選定で失敗しないために、以下の記事もあわせてご覧ください。
よくあるトラブルと予防策
事前準備が十分でないと、いざ代理店に依頼をしてから問題が見えてくることも少なくありません。
「成果が出ない」「報告が少ない」といったトラブルの多くは、事前の情報共有の不足が原因です。
契約前に「何をどこまで任せるのか」「どの頻度で報告を受けるのか」を明確にしておくことが大切です。
特に、KPI設定や広告改善の判断基準、担当範囲(運用・制作・分析など)を共有しないまま進めると、成果に対する評価がずれやすくなります。
また、打ち合わせのたびに進捗や課題を確認できる体制を整えると、問題を早期に発見しやすくなります。
認識合わせと情報共有を徹底することで、誤解を防ぎ、代理店との信頼関係を長く維持できるでしょう。
まとめ|Web広告代理店への依頼は準備が成果を変える
広告代理店への依頼を成功させる鍵は、入念な準備にあります。
目的・予算・ターゲット・競合分析・LP整備を丁寧に整理することで、初回の打ち合わせから提案内容の質が高まり、CVの最大化につながります。
代理店選びでは、実績・体制・料金・契約条件を慎重に確認し、自社の目的と合致するパートナーを選びましょう。
広告運用は単なる外注業務ではなく、パートナーとして共に成果を目指す「協働プロジェクト」です。
運用にお悩みがある場合は、Web広告に強いASUE株式会社までお気軽にご相談ください。
Web広告の運用改善には、以下の事例集もお役立てください!
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この記事を書いた人
田中祐晴
旧Twitterリスティング広告・SNS広告の運用歴3年以上
BtoBのリード獲得をメインとした領域の運用型広告コンサルを担当。
成約までを考えた広告設計・改善で伴走支援いたします。