こんにちは、ASUE株式会社Webマーケティング課のササキです!
さて、スクール系や店舗型のビジネスのように地域掛け合わせのキーワードが特に重要なタイプのビジネスがありますが、わたしが運用している資格スクールの顧客様では「サービス名×地域名」のキーワードで品質スコアが上がらない……という課題がありました。
その改善を行ったので、今回はその事例をご紹介したいと思います!
目次
事例:資格スクール
背景:「資格スクール(の種類)×地域名」の広告の関連性が「平均より下」
- 顧客様について
- 関西を中心に複数店舗を持つ資格スクール
- 背景
- 品質スコアに影響する「広告の関連性」という指標がある
- 登録したキーワードを見出しに入れ、広告の関連性をあげようと思ったが上がらなかった
- 特に獲得を狙いたい「資格スクール(の種類)×地域名」が「平均より下」の評価ばかりだった
- 地域名には広告カスタマイザの地域の挿入機能を使用:{LOCATION(City)}
今回ご紹介する事例は、関西を中心に複数店舗を持つ資格スクールの顧客様です。
Google 広告での表示有無や表示位置を決めるものに品質スコアというものがあります。広告の品質を示す指標で、この品質スコアはさらに広告のさまざまな指標で決定されるのですが、その中に「広告の関連性」という項目があります。
この「広告の関連性」を上げるために、登録したキーワードはほとんど見出しに入れているのですが、評価がなかなか上がってきませんでした。
さらに、特に本来獲得を狙っていきたい「資格スクール(の種類)×地域名」が「平均より下」の評価ばかりで、それに伴ってか品質スコアも10段階中5程度のものが多く、あまり高くない状態でした。
キーワード | 品質スコア | 広告の関連性 |
---|---|---|
資格スクールの種類 芦屋 | 5 | 平均より下 |
資格スクールの種類 伊丹 | 6 | 平均より下 |
資格スクールの種類 京都 | 8 | 平均より上 |
資格スクールの種類 高槻 | 5 | 平均より下 |
資格スクールの種類 神戸 | 6 | 平均より下 |
資格スクールの種類 吹田 | 6 | 平均より下 |
資格スクールの種類 西宮 | 8 | 平均より下 |
※結果は一部を抜粋しています。
試してみたこと
- 変更前
- 広告カスタマイザの地域の挿入機能{LOCATION(City)}を使用して、検索キーワードに使われた地域名を見出しで出し分けしていた
- 仮説
- 地域の挿入機能では、地域名を含むキーワードの品質スコアにほぼ影響がないのでは?
- 変更後
- 地域の挿入機能に加え、広告カスタマイザを使ったキーワードによる広告文の出し分けを設定
前述の通り、地域の挿入機能を使用している状態では地域名を含むキーワードの広告の関連性が上がってきませんでした。そのため、地域の挿入機能では地域名を含むキーワードの品質スコアに影響を及ぼさないのでは?と考え、地域名を見出しに表示するのに、(地域の挿入機能も使用しつつ、)広告カスタマイザを使ったキーワードによる出し分けを利用して地域名の出し分けを試してみました。
結果
カスタマイザ追加前 | カスタマイザ追加後 | |||
---|---|---|---|---|
キーワード | 品質スコア | 広告の関連性 | 品質スコア | 広告の関連性 |
資格スクールの種類 芦屋 | 5 | 平均より下 | 7 | 平均 |
資格スクールの種類 伊丹 | 6 | 平均より下 | 9 | 平均 |
資格スクールの種類 京都 | 8 | 平均より上 | 8 | 平均より上 |
資格スクールの種類 高槻 | 5 | 平均より下 | 8 | 平均より上 |
資格スクールの種類 神戸 | 6 | 平均より下 | 7 | 平均 |
資格スクールの種類 吹田 | 6 | 平均より下 | 8 | 平均より上 |
資格スクールの種類 西宮 | 8 | 平均より下 | 10 | 平均より上 |
資格スクールの種類 加古川 | - | - | 10 | 平均より上 |
※結果は一部を抜粋しています。
- カスタマイザ追加前から、品質スコア・広告の関連性のデータが表示されていた地名は21個中19個の地名で品質スコア・広告の関連性の向上が見られた
- 元々データがなかったものの中にも、いくつか高い品質スコア・広告の関連性となったものもあり
キーワードによる出し分けを導入して2週間後のデータを評価しました。
品質スコアや広告の関連性が変わらない地域もありましたが、以前から品質スコア・広告の関連性のデータが表示されていた地域はほとんどが変更後に向上し、元々品質スコア等のデータが表示されていなかった地域でも品質スコア等が管理画面上から確認できるようになりました。
さらに、変更前後の9日間ずつの地域名キーワードの広告の成果は以下の通りになりました。
表示回数 | クリック数 | クリック率 | 平均クリック単価 | コンバージョン率 | コンバージョン数 | コンバージョン単価 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
地域の挿入機能 | 1,013 | 100 | 9.87% | 602円 | 1.67% | 1.67 | 36,114円 |
広告カスタマイザのキーワードによる出し分け追加後 | 1,190 | 156 | 13.11% | 502円 | 3.21% | 5 | 15,651円 |
まず、平均クリック単価が下がりました。これは元々インプレッションシェアの高いキャンペーンだったため、品質スコアの上昇により低い入札単価でも広告表示ができるようになったと考えられます。
さらに、クリック率・コンバージョン率も共に上昇し、コンバージョン単価を半分以下まで下げることができました。これは、ユーザーが探している地域名で広告文が表示されるため、ニーズにマッチしやすくクリック率が上昇し、結果ニーズの高いユーザーが流入してコンバージョン率も上がっているのではないか?と考えています。
広告カスタマイザとは?
広告カスタマイザとは、ユーザーに対してキーワードなどをもとに動的に広告文の出し分けを行う機能のことです。
例えば、「リスティング広告 運用代行」と「Google広告 運用代行」のように検索した場合、「リスティング広告の運用代行ならASUE」と「Google広告の運用代行ならASUE」のようにキーワードに対応する適切な広告文を表示させることが、広告カスタマイザを利用すると可能になります。細かいことは後述しますが、この機能は基本的に少し面倒な設定が必要になります。
ですが、広告カスタマイザの中には、広告主が利用しやすいように、よく使われそうなものに関してはデフォルトで使えるようになっています(※使用時に注意点がある場合もあります)。その一つがユーザーの所在地などを挿入できる「地域の挿入機能」になります。
キーワード毎にテキストを指定したデータを利用する広告カスタマイザ

- キーワードに応じて広告文中の文言を変更できる機能で、地域名の挿入に限らず利用可能
- 「特定のキーワードに対してこのテキストを挿入する」という設定が必要となる
- 設定や管理が少し面倒だが、自由に属性を作って細かく広告文をカスタマイズすることが可能
- 設定量が少ない場合は管理画面上でもOKだが、量が多い場合はcsvでの入稿も可能
- 利用シーン
- ECショップで広告文のブランド名や商品名をキーワードごとに変更したい場合
- 複数地域に店舗があり、キーワードごとに広告文の表示の地域名を変更したい場合 など
ユーザーの検索キーワードに応じて広告文中の文言を変更できる機能です。
「Aというキーワードで検索した場合、広告文中のXXのスペースにBのテキストを挿入する」ような設定が可能で、広告文内のテキストの出し分けが可能になります。
管理画面上やcsvファイルなどで作成したデータをもとに、このキーワードの検索なら広告文のこの位置にこの語句を挿入!のように、細かく広告文出し分けることができ、商品名・ブランド名・商品スペック(容量や色など)……etcそれぞれの属性を細かく設定すればかなり柔軟なカスタマイズが可能です。
ですが、設定が増えれば増えるほど設定が大変で、多少手間がかかってしまうこともあります。
参考:「Google 広告 ヘルプ—広告カスタマイザについて」
https://support.google.com/google-ads/answer/6072565?hl=ja
地域の挿入機能

- 概要
- ユーザーに合わせて広告文内の地域名の部分をカスタマイズできる機能
- 広告文中に{LOCATION(〜)}を入れると、その箇所がユーザーの所在地等に置き換わる
- {LOCATION(City)}:市区郡
- {LOCATION(State)}:都道府県
- {LOCATION(Country)}:国名
- 広告文中にに文言を入れるだけでいいので設定が簡単に可能
- {LOCATION(〜):デフォルトのテキスト}の形で入力すれば、地域が挿入されない場合のテキストの設定も可能
- 注意点
- 挿入される地域の範囲は、地域ターゲティングで設定した内容が元となる
- {LOCATION(〜)}で表示される範囲は、ターゲットにした地域の範囲内に限られる
- 地域ターゲティングに「愛知県」「東京都」「大阪府」を指定した場合、{LOCATION(City)}を利用すると名古屋市、渋谷区、大阪市などが表示される可能性がある
- 地域名が長い等で見出しの文字数がオーバーする場合は地域名が挿入されない(デフォルトの設定があればそちらが表示)
複数店舗があるビジネスなどの場合は、広告文に地域名を合わせて入れたい!と考える運用者が多いと思いますが、上述の作成したデータをもとにした広告文の出し分けは入稿に手間がかかってしまいます。ですが、地域の挿入機能を利用すれば、面倒な設定をせずともユーザーの所在地やよく訪れたり関心のある地域などに合わせて広告文をカスタマイズが可能です。
広告文中に{LOCATION(地域レベル)}を入れることで、ユーザーごとに合わせてカスタマイズされた広告文が表示されます。地域名が長く見出しの長さが字数オーバーになる等の場合、{LOCATION(地域レベル):デフォルトのテキスト}のように設定しておけばデフォルトのテキストが挿入されるようになります。
ただし、{LOCATION(〜)}で表示される範囲は地域ターゲティングで設定した範囲内に限られるため、要注意です。
参考:「Google 広告 ヘルプ—レスポンシブ検索広告の地域の挿入機能について」
https://support.google.com/google-ads/answer/9773001?hl=ja
要するに、地域の挿入機能は自動でユーザーの状況を鑑みてGoogle 広告側の判断で表示される地域名なのに対して、今回は、変更によって運用者側で明示的に設定した地域名を表示させたことで、品質スコアがあがったのではないかと考えられます。
まとめ
資格スクールのような店舗集客の案件で、地域名のキーワードでの品質スコアが低く、そのキーワードでのコンバージョン獲得があまりできていなかったものを改善した事例をご紹介しました。
今回の事例では、元々地域の挿入機能を利用して、地域名が含まれるキーワードに対して自動的に広告文に地域名が挿入されるように設定していました。そこから、地域の挿入機能の利用に加えて、「このキーワードに対してはこの地名を挿入する」という設定を個別に行ったことで、品質スコアが改善されたと考えられます。
(案件などの状況によって結果が変わるかもしれないことは大前提ですが)店舗集客系や不動産関係など地域名が重要になるようなサービス・商材で、地域の挿入機能を利用して品質スコアが上がらない場合、設定の手間はかかってしまいますが、今回のような方法で地域名を出し分けることを試してみてもいいかもしれません。

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それでは、ご覧いただきありがとうございました!
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この記事を書いた人

ササキ
2018年入社。入社後、産休・育休を経て現在は時短勤務中。