こんにちは!ASUE株式会社の広報のN村です。
さて、今年2月にGoogle 広告からキーワードのマッチタイプのひとつである絞り込み部分一致が段階的に廃止されフレーズ一致に統合されるという発表がありました。また、Yahoo!広告でも同じような仕様変更がその後発表されています。
日本では7月から、この新仕様がスタートしたはず!ということで、キーワードのマッチタイプについてのご紹介と仕様変更の概要、仕様変更前後でどんな変化があったかなどを本記事ではご紹介しようと思います。
今回はGoogle 広告での仕様について主にご紹介します〜!
目次
キーワードのマッチタイプとは?
リスティング広告で、「どんな検索語句で広告を表示させるか」を決めるのがキーワード、各検索語句でどのように検索したときに広告を表示させるかを細かく設定するのがマッチタイプです。
マッチタイプの設定によって、商品・サービスのターゲットとなるユーザーに広く広告を表示させることも、反対にピンポイントで広告を表示することも可能です。
キーワードの類似パターン
キーワードの類似パターンの例
- 表記のゆれ
- 「振り込み」と「振込」
- 「猫」「ネコ」「ねこ」
- 英単語の単数/複数形
- 英単語の語形の変化 など
- 意味が同じで語順が異なる語句
- 「靴 男性用」と「男性用 靴」 など
- 機能語の追加と削除
- 助詞(ex.「からの」や「の」)
- 接続詞(ex.「ための」や「しかし」) などがあるものないもの
- 例:「男性用の靴」と「男性用靴」
- 一部語句を省略した表現
- 類義語や言い換え
- 検索意図が同じ語句
- 「無料素材 画像」と「フリー素材 画像」
キーワードのマッチタイプでは、似た意味を持ってるなど関連性が高く同一の内容だと判断される検索語句の場合は広告が自動で表示される仕様になっています。これをキーワードの類似パターンといいます。
例えば、「猫」と「ねこ・ネコ」や「振り込み」と「振込」のような全く同じ内容の表記揺れや、「無料素材」と「フリー素材」のような検索意図が同じだと考えられる語句は、一方のキーワードを登録しておけばどちらで検索をした場合でも広告が表示されるようになります。
参考:「Google 広告ヘルプ:キーワードの類似パターン」
https://support.google.com/google-ads/answer/9342105?hl=ja
完全一致
完全一致の特徴
- 指定したキーワードと全く同じ意味・意図の検索で広告が表示される
- 広告の表示対象を最も絞り込めるマッチタイプ
- 設定方法は「[keyword]」のように検索語句を角括弧で囲むことで表す
指定したキーワードと全く同じ意味または同じ意図の検索の場合に広告が表示されるマッチタイプです。検索語句・意図が同じと判断されないと広告が表示されないため、広告を表示するユーザーを最も絞り込むことができます。
フレーズ一致
フレーズ一致の特徴
- キーワードと同じ意味の内容を含む検索が広告表示対象(文言が違っても同じ意味に解釈できる場合は一致とみなされる)
- キーワード以外の情報を追加した検索の場合も一致する
- 設定方法は「"keyword"」のように二重引用符で検索語句を囲む
- 2021年7月から、絞り込み部分一致が廃止され、フレーズ一致に統合された(※詳細は後述)
フレーズ一致は、キーワードと同じ意味・意図の検索語句により具体的な情報を追加した検索であっても広告の表示対象となるマッチタイプです。
例えば「"女性 シューズ"」という設定の場合、完全一致では「女性 シューズ」「レディース 靴」「女性用靴」などが一致しますが、フレーズ一致であれば「女性 シューズ ランニング」や「レディース シューズ 通販」などキーワード+αの検索語句であってもキーワードの意味と合致していれば広告の表示対象となります。
部分一致
部分一致の特徴
- 指定したキーワードに関連する内容の検索が広告の表示対象に
- キーワードの語句そのものが入っていない検索も含まれる
- より広い範囲のユーザーに対して広告を表示することができる
- 完全一致・フレーズ一致・除外キーワードを指定しなかった場合に割り当てられるデフォルトのマッチタイプ
部分一致キーワードとして指定したキーワードに関連する内容の検索がすべて広告の表示対象となります。キーワードの語句そのものが入っていない検索であっても関連する内容であれば広告の表示対象になり、より多くのユーザーへ広告の表示される可能性があります。
完全一致やフレーズ一致と違って部分一致を表す特殊な記法はなく、単にキーワードを入力すれば部分一致とみなされます。
参考:「キーワードのマッチタイプについて」
https://support.google.com/google-ads/answer/7478529?hl=ja
参考:「フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について」
https://support.google.com/google-ads/answer/10286719?hl=ja
除外キーワードについて
除外キーワードの仕組み
- 特定の検索語句を広告の表示対象から除外する機能
- 設定したキーワードに対して、ターゲットではない予期せぬクエリに広告が表示されている場合など
- 類似パターンやその他のバリエーションとは一致しない
- 例: 部分一致の除外キーワード「靴」を設定した場合「レディースシューズ」では広告の表示対象だが、「女性用靴」では対象外になる
- その他、表記揺れ・類義語・単数系/複数形……などについてもそれぞれを除外する必要がある
- 除外キーワードでの記号の扱い
- 使えるものはアンパサンド(&)とアクセント記号(á など)、アスタリスク(*)の 3 種類
- 「Les Misérables」と「Les Miserables」のようにアクセント記号の有無や、「○○&○○」と「○○と○○」などは区別される
- ピリオド(.)やプラス記号(+)は通常無視されるが、+が単語の末尾の場合は無視されないこともある(例:C++)
- 「, ! @ % ^ () = {} ; ~ ` <> ? \ |.」の記号は使用できず、エラーが表示される
- サイト演算子・検索演算子は無視される(例:「site:asue.jp リスティング広告」「OR リスティング広告」で設定した場合→「リスティング広告」とみなされる)
また、特定のキーワードで検索された場合に広告の表示対象から除外する「除外キーワード」の設定も可能です。除外キーワードでも、部分一致・フレーズ一致・完全一致を指定することができますが、類似パターンやその他のバリエーションとは一致しないなど、通常のキーワード設定とは挙動が異なります。
参考:「除外キーワードについて」
https://support.google.com/google-ads/answer/2453972
フレーズ一致はどう変わった?仕様変更の概要
さて、2021年2月にGoogleから絞り込み部分一致の動作をフレーズ一致に組み込むアップデートが開始され、7月には絞り込み部分一致とフレーズ一致の動作がすべて新しいフレーズ一致の動作に統一されました。
と、いうことで、ここからは仕様変更について具体的にご紹介します!
仕様変更概要
- 絞り込み部分一致の仕様
- 登録したキーワードが検索語句に含まれる場合とその類似パターンに対して広告が表示される
- キーワードと検索語句の語順は関係ない
- 絞り込み部分一致のキーワードは「+keyword」で登録
- 例:「+レディース +シューズ」で登録すると、「シューズ ランニング レディース」や「レディース シューズ テニス」などで表示される
- 新しいフレーズ一致の仕様
- これまでフレーズ一致では表示対象とならなかったキーワードと語順の違う検索語句であっても、検索意図が同じであれば広告の表示対象になる(順番が違う、間に違うワードを挟む、類義語などのクエリも拾うようになった)
- 絞り込み部分一致は廃止となり、「+keyword」で新たな設定は不可に。過去に設定した絞り込み部分一致とフレーズ一致は新しいフレーズ一致の動作に統一される
絞り込み部分一致は廃止され、アップデート後の新しい仕様のフレーズ一致に統合されました。これによって、既存の絞り込み部分一致キーワードは新しいフレーズ一致の動作に切り替わり、新しい絞り込み部分一致を追加することはできなくなりました。
新フレーズ一致は、これまでのフレーズ一致よりも拡張性が高く、廃止された絞り込み部分一致よりも制限がある内容となっており、従来のフレーズ一致ではマッチングしなかった語順が変わった検索語句であっても、検索意図が同じであれば広告の表示対象になります。
例えば、広告の"名古屋から東京 旅行"という意味のフレーズが設定されていた場合に、これまでフレーズ一致ではマッチしなかった「名古屋から東京まで 格安プラン 旅行」や「旅行 名古屋から東京 おすすめ」などは広告の表示対象です。
一方、絞り込み部分一致では広告の表示対象になっていた「東京 から 名古屋 旅行」のような検索語句では、設定したキーワードと意味が変わってきてしまうため、新仕様のフレーズ一致では表示対象にはなりません。
説明していてもこんがらがりそうですが、要するに同じような意味+αの検索なら語順関係なくOK!ってことですね。
参考:「フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について」
https://support.google.com/google-ads/answer/10286719?hl=ja
新フレーズ一致に移行した後、どうなった?
ここまで、キーワードマッチタイプの概要と2021年7月までに実施されたアップデートの概要についてご紹介してきましたが、実際に仕様変更のあとどのような影響や変化があったかが気になるところ……ですよね!?
ということで、弊社Webマーケティング課で運用担当を務めるイトウくんに、仕様変更後にクエリがどのように変化したかを聞いてきました!
よろしくお願いします!
Google 広告での仕様変更の影響は?各事例をご紹介
1. 家具の買取・中古販売業者様
登録キーワード | 検索クエリ(アップデート前) | 検索クエリ(アップデート後) |
---|---|---|
タンス +買取 |
|
|
アップデート前は「タンス」の部分で色々なクエリを拾ってきていましたが、アップデート後は「タンス」と「買取」が含まれるようなクエリに変化しました。
2. フォトスタジオの企業様
登録キーワード | 検索クエリ(アップデート前) | 検索クエリ(アップデート後) |
---|---|---|
"ハーフバースデー" |
|
|
こちらは単ワードのフレーズ一致だったため、アップデート前後であまり変化しませんでした……
3. 設備施工業者様
登録キーワード | 検索クエリ(アップデート前) | 検索クエリ(アップデート後) |
---|---|---|
"床暖房 工事" | 不明 |
|
アップデート前はフレーズ一致を登録していないため単純比較はできませんが、アップデート後は登録キーワードにに類似している語句も拾ってきている状態です。
4. インターネット回線業者様
登録キーワード | 検索クエリ(アップデート前) | 検索クエリ(アップデート後) |
---|---|---|
"wifi 工事" | 不明 |
|
アップデート前はフレーズ一致を登録していないためこちらも単純比較はできませんが……
アップデート後は登録キーワードにに類似している語句も拾ってきています。
大きな使用変化「+○○ △△」のような掛け合わせキーワードはフレーズ一致のような動きをしていたため、アップデート前は△△の部分で色々なクエリを拾ってきていたところを拾わなくなっており、アップデート後には「+○○ △△」のようなキーワードではインプレッションが低下しました。
その他、アップデート後のフレーズ一致では、以前は見られなかった「登録キーワードに類似している語句」を拾ってきているのも実際に確認できました。
なるほど〜……
ちなみに、Yahoo!でも同じような仕様変更があったってことでしたけど、そちらは差があったりしましたか?
案件にもよるかもしれないので詳しくはわかりませんが、社内の案件ではアップデート後のクエリがGoogleとYahoo!で大きく差が出た案件がありました!
続いてそちらもご紹介します!
Yahoo!広告とGoogle 広告、仕様に差はある?
さて、冒頭でも触れたように、今回の検索広告のマッチタイプの仕様変更はGoogle 広告だけでなくYahoo!広告でもほぼ同様の内容が発表されています。
変更内容としては「絞り込み部分一致を廃止し、フレーズ一致に統合」と「フレーズ一致のキーワードの語順による制限を廃止」のため、ほぼGoogle 広告と差はないようですが、実際に広告が表示されるクエリが2021年8月現在、大きく差が出ているアカウントがあるようです。
参考:「【検索広告】マッチタイプの一部変更について」
https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/30145083.html
参考:「【検索広告】一部マッチタイプの統合完了と、絞り込み部分一致の作成終了について」
https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/30162936.html
不動産系の企業様の事例
事例概要
- 配信内容
- 対象アカウント:賃貸物件を扱う不動産系の企業様
- フレーズ一致キーワード:「ウィークリー 名古屋」「マンスリー 名古屋」
- Google 検索広告/Yahoo!検索広告それぞれ同じフレーズ一致キーワードで配信
- Google 広告のクエリ
- 名古屋 マンスリー マンション 格安
- マンスリー マンション 格安 名古屋
- 名古屋 マンスリー 家具 付き
- ウィークリー アパート 名古屋
- 名古屋市 マンスリー など
- Yahoo!広告のクエリ
- 名古屋 ウィークリー マンション 安い
- 常滑 マンスリー マンション
- う ウィークリー マンション
- マンスリー ホテル 名古屋
- ウィークリー マンション 愛知 県
- 名古屋 1週間 宿泊
- ウィークリー 翔 岐阜 駅 南 など
- 結果まとめ
- Google 広告では、ウィークリー(マンスリー)と名古屋のどちらのワードもほぼ必ず含めつつ、順番が違うものや間に別の語句が挟まれているようなクエリで広告が表示されている
- Yahoo!広告ではGoogle 広告で拾っていないクエリが散見
- なぜか「常滑」「岐阜」の検索でも広告が表示
- 「名古屋 1週間 宿泊」のような「意味は似てるけど語句が違う」クエリも
- 「う」??????
- 同じキーワードだからと安心せず、クエリのチェックをきちんとチェックして必要なら除外キーワードを設定しましょう!
賃貸物件を扱う不動産系の企業様の案件で「ウィークリー 名古屋」「マンスリー 名古屋」というフレーズ一致キーワードを設定してGoogle・Yahoo!それぞれで配信を行った事例です。
Google 広告では、ウィークリー(マンスリー)と名古屋のどちらのワードもほぼ必ず含めながら、「名古屋 マンスリー マンション 格安」のようなフレーズ一致の設定とは語順の違うクエリや、「マンスリー マンション 格安 名古屋」のようにキーワードの間に別の語句が挟まっているクエリに対して主に広告が表示されていたようです。案件的にも全てターゲットになるクエリです。
一方、Yahoo!広告では、「名古屋 ウィークリー マンション 安い」のようなGoogle 広告でも広告が表示されたクエリだけでなく、名古屋周辺の別の地名(ex.常滑、岐阜)や名古屋を含んではいるがさらに広範囲の地名(愛知)でのクエリや、「ウィークリー」の代わりに「1週間 宿泊」のようなクエリなどにも広告が表示されていました。
全くどうして広告が表示されたかもわからない「う ウィークリー マンション」っていうクエリもあるんですよね……。
名古屋は岐阜から近いし、実際他に岐阜関連のクエリも拾ってるし、「鵜」じゃない?(※適当)
マンションと鵜になにか関係が……あるんです……???
Google 広告とYahoo!広告で同じフレーズ掛け合わせキーワードで設定しているから!と安心せず、仕様変更後にどのようなクエリに対して広告が配信されているかは改めてしっかり確認して必要であれば除外キーワードの設定などを行いましょう!
まとめ
Google 広告、Yahoo!広告の双方で実施された検索広告のキーワードのマッチタイプの仕様変更。実際のクエリを確認してみると、アップデート前とは既に大きく違ってきているのがわかりました。
改めて、実際に配信中の広告のクエリ周辺を確認して、「出したいところに広告が出ていない!」「出てほしくないところに広告が出てる!」なんてことがないようにしっかり確認しましょう!
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今回出した例でのキーワードは、説明を読んでこれなら広告出る/出ないでしょ!と理解したものを出しておりますが、実際の挙動を確認したわけではないのでそこだけご了承くださいませ〜!!!
それでは、また次回のブログでお会いしましょう〜!!!
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この記事を書いた人
2016年入社。ASUE株式会社広報を担当。メールマガジン「ほぼ週刊ASUE通信」もお送りしています。ほぼ週刊なので週刊ではない。月初に公開するWebマーケティング情報をまとめたツキイチシリーズはちゃんと月刊です。
趣味はミュージカル観劇。おすすめ作品を知りたい方はN村のTwitterまでお問い合わせください。
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