こんにちは、ASUE株式会社のアイバです。
リスティング広告の管理画面上には様々な指標があります。
CVやCPAが重要指標なのは言わずもがなですが、リスティングの健康状態を表す指標の一つとして「インプレッションシェア損失率(予算)」を弊社ではよくチェックしています(弊社内では「予算損失」とよく呼んでいます)。
そこで本記事では意外と知られていない(かもしれない)、「インプレッションシェア損失率(予算)」の定義や、配信制限の受け方、改善方法についてご説明します。
目次
インプレッションシェア損失率(予算)とは?
インプレッションシェア損失率(予算)とは、平たくいうとキャンペーンに設定している日予算が足りていないことで、どれだけ配信機会が制限されているかを表します。仮にインプレッションシェア損失率(予算)が20%だとしたら、日予算が足りていればあと20%インプレッションを伸ばすことが出来ることを意味します。この数値が高ければ高いほど配信機会が損なわれていることになるので、原則、この値はゼロにするように運用することが大事です。
詳しい解消法は後述しますが、予算(広告費)はクリック単価×クリック数で表されます。私の経験則ですが、予算損失が発生する多くは日予算に対してクリック単価が高すぎる事が原因です。逆に言うとクリック単価を適切に抑制できさえすれば、予算損失が解消され、予算内でのクリック数が増え、CVが増えるという循環が生まれますが、それが出来ていないケースをよく見るため非常にもったいないと感じるアカウントが多いです。
インプレッションシェア損失率(予算)による配信制限2パターン
では「予算損失による配信の制限」とはどのような状態を指すかというと、以下の2パターンが挙げられます。実際にクライアントよりアカウント診断の相談を受けた際の数値を例にご説明します。
パターン① 一日の途中で配信が止まってしまう
よく認知されているのが早々に日予算を使い切ってしまい、一日の途中で配信が止まってしまうケースです。当然ながら配信が止まったあとの時間帯に検索行動を起こした見込み顧客に広告配信が出来ませんので、大きな機会損失になります。添付の通り時間帯別の数字を見てみることでどの時間帯から配信できていないかを確認することが出来ます。この例では本来終日配信したいにも関わらず、15時台からは費用が縮小し、夜間には配信できなくなってしまっています。
パターン② 各時間帯まんべんなく制限を受けてしまう
意外と知られてないのがこのパターンです。添付の通り、時間帯別だと一見すると終日配信できているように見受けられますが、予算損失は「77.5%」と大きな値になっています。これについてはGoogleヘルプにも「または、1 日を通して均等にインプレッション シェアの値が低くなることもあります」と書かれている通り、特定の時間帯からではなく、終日で制限を受けていることになります。こちらも経験則ですが、ある程度長い期間運用しているアカウントについてはこのパターンでの制限が多い印象です。注意が必要なのはこのパターンだと、時間帯別に見ると配信は止まっていないため、予算損失が出ていても問題ないという誤った判断が起きうることです。ですが、そんなことはありません。この場合も一日を通して損失が発生している状態なので、いかなる場合でも然るべき手段を講じて、予算損失を解消しましょう。
インプレッションシェア損失率(予算)の解消方法
解消方法①日予算を上げる
予算損失は設定している入札・ターゲティングに対して日予算が足りていないという状況を表すものなので日予算を上げれば解消します。予算損失がゼロになるのを目指してキャンペーンの日予算を上げていきましょう。
…とは言ったものの予算をそんな簡単に上げることが出来れば誰も苦労はしません。基本的に限られた予算内で配信するケースが大半ですので、次で紹介する②の方法が現実的になるかと思います。
解消方法② 入札(目標CPA)を抑える・ムダ配信を止める
前述の通り、予算(広告費)=クリック単価×クリック数です。クリック単価(入札)を抑えて過剰な配信ペースを緩やかにすることで予算損失は解消し、結果、予算内でのクリック数が増えてCVを増やすことができます。具体的には手動入札なら「上限クリック単価」、自動入札なら「目標CPA」や「目標ROAS」を調整することになりますね。ただ、逆に入札を下げすぎると配信が一気に出なくなってしまいますので、予算損失率を見つつ段階的に抑制していくことをオススメします。
あるいは入札以外にも、ムダな配信を止めることも有効です。具体的には、CVに繋がっていないキーワードの停止、クエリの除外、年齢・性別・地域・デバイス等のセグメント別の切り口での除外…などが挙げられます。このあたりは各種レポートを駆使し、どこがムダ配信になっているかを見極めることが重要です。
インプレッションシェア損失率(ランク)との違いは?
似たような指標として、「インプレッションシェア損失率(ランク)」というものがあります。(予算)は日予算が足りないことで生じるのに対し、インプレッションシェア損失率(ランク)は広告ランクが低いことで生じる配信機会の損失率を表します。広告ランクは「入札」と「広告の品質」によって決まります。起きがちなパターンとしては、競合と比べて入札が低すぎることでオークションに負けて配信が制限されてしまう、というケースですね。
インプレッションシェア損失率(予算)についてはいかなる場合でもゼロであるのが望ましいですが、インプレッションシェア損失率(ランク)については必ずしもゼロを目指す事が正解とは限りません。なぜならインプレッションシェア損失率(ランク)を解消するためには上述の通り、入札を上げる必要があるためです。入札を上げるということはクリック単価が上がり、CPAが上がることを意味します。許容CPAを下回っている限りは入札を上げて露出を増やすことは有効ですが、許容CPAを上回っているにも関わらず、インプレッションシェア損失率(ランク)を解消するためにCPAが上がってしまったらそれは本末転倒です(ただ「広告の品質」を決める広告文・LPの改善でインプレッションシェア損失率(ランク)の解消を目指すのはOK、むしろ推奨です)。
まとめ
本記事ではインプレッション損失率(予算)の定義や制限のパターン、解消方法について解説しました。色々なお客さまのアカウントを見ていると、この指標が見過ごされている事が多い印象でしたので、理解の一助となれば幸いです。
ただインプレッションシェア損失率(ランク)の説明でも述べた通り、インプレッション損失率を改善すること自体がゴールではありません。この指標が改善されることで配信量が伸びる(=インプレッション、クリックが増える)、ひいてはCVが増えてCPAが下がる、といったアカウントの成果に結びついているかまで見ることを忘れないようにしましょう。
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この記事を書いた人
アイバ
2021年入社、Webマーケティング課所属。シーズン中はNBA観戦に夢中。