こんにちは、ASUE株式会社Webマーケティング課のたかはしです。
先日、同課のアイバがこんな記事を執筆しました。
オークション分析レポートとは、簡単に言うとGoogle 検索広告で同じ検索結果に広告が表示された競合ドメインの掲載結果の比較ができるレポートです。
競合ドメインとの各種指標の比較ができ、競合より上部(最上部)に表示されているか、インプレッションシェアの比較などを見ることで重複の度合いや競合のその検索語句への力の入れ具合などを推し量ることも可能です。
各指標の詳しい内容は上記の記事をご覧いただければと思いますが、実際にこれを見てCPAの改善に生かせるのか?と思う方もいらっしゃると思うので、2パターンの改善事例を紹介します!
特に、「競合より上に表示されるから何?」「競合より下に表示されるから何?」というところは、業種や案件によっても原因が異なるため、その部分を定性的に仮説を立てて検証していきます。
この仮説→検証が大事なことですね。
目次
事例(1)不動産関連
広告の状況
クリック単価 | コンバージョン数 | コンバージョン率 | コンバージョン単価 | |
---|---|---|---|---|
期間1 | 150円 | 129 | 5.42% | 2,763円 |
期間2 | 150円 | 95.6 | 4.01% | 3,744円 |
期間3 | 185円 | 47.7 | 5.72% | 3,266円 |
期間1→期間2→期間3の時系列であり、重複している日程はなく連続した3つの期間のあるキャンペーンの配信結果が以上の通りです。
期間1のコンバージョン数やコンバージョン単価はこのキャンペーンにおける理想に近い数値となっています。期間2にはいると、CVRが落ち、1.4ptの下落となりました。そのため、期間2の最終日に、入札を強化しています。期間3に入ってからCVRが期間1と同等まで回復しましたが、CPCを強化しているため、CPAも上がっています。
調子の良かったキャンペーンで成果が落ち込み、改善の結果持ち直したという状況です。
では、この間のオークション分析はどのような動きがあったでしょうか?
一方その頃、オークション分析レポートでは……
期間1
表示サイト | 重複率 | 上位掲載率 | ページ上部表示率 | ページ最上部表示率 |
---|---|---|---|---|
サイトA | 85.7% | 60.9% | 93.3% | 47.5% |
サイトB | 37.9% | 65.6% | 89.0% | 34.2% |
自社 | - | - | 89.1% | 33.5% |
期間2
表示サイト | 重複率 | 上位掲載率 | ページ上部表示率 | ページ最上部表示率 |
---|---|---|---|---|
サイトA | 90.5% | 71.6% | 96.1% | 57.1% |
サイトB | 26.8% | 66.7% | 84.3% | 31.3% |
自社 | - | - | 86.6% | 24.7% |
サイトAでは、期間1→期間2で最上部表示率と重複率がアップしています。そのため、「競合が入札を強めた(予算を増やした)」と判断して、入札を数十円強化しました。
期間3
表示サイト | 重複率 | 上位掲載率 | ページ上部表示率 | ページ最上部表示率 |
---|---|---|---|---|
サイトA | 89.7% | 58.9% | 94.9% | 48.8% |
自社 | - | - | 91.4% | 34.9% |
サイトB | 36.7% | 54.1% | 88.4% | 29.8% |
入札強化が功を奏したのか、サイトAの最上部表示率を多少奪うことに成功しました。また、CVRも上述の通りこのタイミングで回復しています。
考察
この広告では、ウィークリーマンションの物件への問い合わせ増加を目的としています。
そのため、検討期間が非常に短く比較検討をされない傾向があり、検索で最初に出てきたサイトから順にさっさと問い合わせを済ませてしまうユーザーが多いのでは?と仮定しました。
要するに、検索結果の上に出した方が有利であると考えたため、競合が強めたことで落ち込んだ成果はCPC強化によって改善できると考えました。
CPCを強化して上部に表示したら成果も上がって当然では?と思われる方もいるかもしれません。
ですが、意外とそうでもないんです。ということで次は逆パターンの事例をご紹介します。
事例(2)フォトスタジオ
広告の状況
クリック単価 | コンバージョン数 | コンバージョン率 | コンバージョン単価 | |
---|---|---|---|---|
期間1 | 173円 | 4 | 1.44% | 13,655円 |
期間2 | 130円 | 8 | 1.90% | 6,828円 |
期間1→期間2の時系列であり、重複している日程はなく連続した2つの期間のキャンペーンの配信結果が以上の通りです。
期間1ではずっとCVがなかなか取れずに苦戦していました。期間1の最終日に、CPCを引き下げ、期間2でCV数やCPAが改善されました。
その後も、コンスタントにCVRを維持して獲得できています。
一方その頃、オークション分析レポートでは……
期間1
表示サイト | 重複率 | 上位掲載率 | ページ上部表示率 | ページ最上部表示率 |
---|---|---|---|---|
自社 | - | - | 90.8% | 50.0% |
サイトA | 20.3% | 50.7% | 90.2% | 37.5% |
サイトB | 8.0% | 50.6% | 95.7% | 37.1% |
期間1では、ページ最上部表示率を清々しいまでに独走しています。
この事例では、店舗がいくつかあり、他のエリアの店舗はこのような独走状態でなくても獲得できています。取れていないこのキャンペーンは都市部の店舗であり、競合がひしめいているから比較検討されやすいのでは?ということで、あえて競合の下に出す頻度を増やす選択を取ることに。
期間2
表示サイト | 重複率 | 上位掲載率 | ページ上部表示率 | ページ最上部表示率 |
---|---|---|---|---|
サイトA | 7.4% | 69.7% | 93.0% | 57.6% |
サイトB | 12.5% | 62.4% | 90.2% | 45.6% |
・ ・ ・ | ・ ・ ・ | ・ ・ ・ | ・ ・ ・ | ・ ・ ・ |
自社 | - | - | 88.3% | 30.9% |
上限CPCを引き下げ、ページ最上部表示率を20pt減らしたことで競合が上に出るようになりました。その結果、競合ドメインも増えているのに上述の通りCV数も増加し、十分戦うことができています。
考察
この事例は写真撮影を行うフォトスタジオの予約獲得を目的として配信しています。
価格が安くないこと、クオリティーの高い写真を撮りたいニーズもあるため、検討期間が短くなく複数のスタジオを比較検討されやすい商材です。
クオリティーに自信のあるスタジオだったため、一度競合を見てもらった上でクリックされた方が「ここいいじゃん」とCV数を上げられるのではないか?と考えました。
そのため、あえて競合よりも下に表示させてあとから見てもらう選択をとりました。
まとめ
商材やサービス、それぞれのビジネスの状況などによって取るべき広告戦略は変わってきます。そのためにも、競合の有無やどのように比較検討されるか、検討期間などは施策を考える上で大事な要素の一つになってきます。
今回の事例のように検討期間が短くすぐに問い合わせるような商材なら最上部、逆にじっくり検討される商材なら最上部を避けて競合を見た後に見てもらう戦法をとってもいいかもしれません。(これは他の細かい状況にもよると思うので、案件ごとに個別に分析や検証を行う必要があります。)
また、最上部表示率やインプレッションシェアなどの各指標はオークション分析ではなく項目単体で見るだけではダメなのか?と思われる方もいると思います。が、僕はそれでは足りないと思っています。
- 自社の広告ランク変化による上下動なのか、競合他社の動向による上下動なのかの把握が必要
- 単純に「上に表示する」「下に表示する」のコントロールをするのに、競合状況は分かりやすい指標である
- 検索広告の特徴は『競合と並んで表示される』ことであり、そこを意識しないと勝てるものも勝てない
広告の成果は内部の状況だけでは決まりません。競合や世情など多くの外部状況にも左右されます。どのような理由で成果が変動しているかを確認するためにもオークション分析レポートを見る必要があります。
また、SNS広告やディスプレイ広告にはない検索広告の特徴が「競合と並んで表示されること」です。そこはWeb広告を運用する上でしっかり意識しておきたいですよね!
適切に運用を行うためにも、オークション分析レポートもしっかり活用していきたいですね。
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この記事を書いた人
たかはし
2022年7月にASUEへ復活。
春夏はJリーグ・秋冬は釣りという趣味の二毛作を楽しむ広告運用者。