ミュージカルのチケット代が上がってる!恐怖のB席10000円も!? 最近の日比谷チケット価格推移調査 Part.2
2023年12月26日
2024年07月10日
こんにちは! ASUE株式会社広報のN村です。
弊社では定期的に、広報のN村および社員の日常にまつわる超局所マーケティング調査を行なっております。1年と少し前、コロナ禍後少しずつ値上がりしていく舞台のチケット代について、2020年1月〜2022年11月の期間を調査し、結果を報告いたしました。→ 前回調査結果:https://asue.jp/blog/?p=20205
今回は第二弾と称しまして、2022年12月以降のチケット代の変化を新たに調査いたしました。円安・物価高などの影響をエンタメ業界がどのように受けているのか。N村の懐にどれだけ大打撃を与えるのか。乞うご期待。
目次
日比谷の3つの劇場のチケット代推移調査
調査概要
- 対象劇場:N村が行く機会の多い日比谷にある劇場3つ
- 劇場C
- 劇場I
- 劇場N
- 対象期間:2022年12月〜2024年2月
- 過去の公演アーカイブ等が存在しないため、わかる範囲で記載
- 日程によって料金が違う場合、高い方の価格を採用
- 大体1ヶ月ごとに公演が切り替わることが多いですが、中途半端に公演が切り替わる場合もあるため、○年○月公演の定義がふわっとしています
今回、対象としたのは前回調査していない2022年12月以降から2024年2月までを調査しました。また、推移の参考として、2021年3月〜2022年11月のチケット代についても記載しております。
調査対象の劇場は、前回同様日比谷近辺にある3つの劇場です。劇場Cは座席数600程度の比較的小規模な劇場で、座席区分がなく全座席同一料金で提供されています。続いて劇場Iは座席数1900程度の大劇場で、公演によりますがS席・A席・B席の3種類の席種が用意されていることが多い劇場です。最後に劇場Nは、座席数1300程度の劇場で、劇場Cと劇場Iの中間の規模となっており、こちらも公演によりますがS席・A席・B席の3種類の席種が用意されていることが多いです。
劇場Cのチケット価格推移
Nmura_asueさんによる2311_劇場Cのチケット価格推移座席数600程度の小規模劇場である劇場Cについての調査結果は以上の通りです。
座席区分がなく全席同等価格で提供される本劇場では、前回の調査分と比較してもほぼ横ばいを保っている結果となりました。
横ばいを保っている要因(仮説)
- 演目やキャストにチャレンジが多い
- 小規模カンパニーが多い
- 上演期間も短い
劇場Cでは、長年上演されている演目ももちろんありますが比較的チャレンジングな演目も多く、またキャストも若手や大規模公演でのメインキャスト経験が少ないメンバーなどが起用されるケースも多くなっています。劇場規模が小さいことで、新たな作品や若手役者の育成・チャレンジがしやすい場所となっているため、チケット代も比較的安めに抑えられているものと考えられます。
また、ベテラン勢の作品であっても、新作や少人数の芝居など、カンパニー自体が小規模であったり、上演期間を短めにとった作品も多く、コストを多少抑えていることからチケット代が抑えやすいと考えられます。
2023年9月〜10月は13000円と他の月の水準と比較すると値上がりしていますが、この2ヶ月は人気なミュージカル作曲家の楽曲を人気の高い出演者たちが歌うコンサート形式の演目とドラマや映画の実写化も大人気だった人気漫画のミュージカル版で主人公をドラマ・映画と同じ役者が演じた新作ミュージカルが上演されていました。そのため、多少値上げをしてもチケットが売れる見込みが高いと判断され、チケット代を上げたのではないかと考えています。
Nmura_asueさんによる2311_劇場Cのチケット前年比較また、2022年〜2023年を同月で比較すると以上の通りとなりました。多少の上下はありますが、現状はほぼ横ばいといっても問題ないかと思います。
劇場Nのチケット価格推移
Nmura_asueさんによる2311_劇場Nのチケット価格推移続いて、座席数1300程度の中規模劇場の劇場Nでは、以上の通りの推移となりました。
本劇場では、夏などにお子さんがいる家庭向けの演目が上演されることも多く、特に今回の調査機関では2022年12月(定期的に上演されるクリスマスに関する公演)、2023年6-7月(小学校向けの招待公演のため0円)、2023年8月(子供が大人の半額に設定されている公演)など、ファミリー層や子供をターゲットにした演目が多く、平均的には前回調査分と比べると値下がり傾向になっていると考えられます。
ですが、注目したいのは2023年9月以降。9月以降、ミュージカル主催としては最大手の1つであるT社主催の劇場Nにおける公演ではダイナミックプライシングが導入されました。これによって、土日・初日・千秋楽の価格が平日と比較して500円〜1000円程度アップし(※グラフ内では高い価格を採用)、S席の価格が2023年9月に調査期間内で初の15500円となりました。
T社主催の劇場Nでの公演は2023年12月、2024年1月と続きますが、2023年12月は17000円、2024年1月は15500円と高額になっています。これらの作品の共通点は、ブロードウェイで注目されたり、国内で人気作品のクリエイターが作ったりという海外からの新作輸入演目であり、国内キャストが豪華であること。
これは全体に言えることですが、体感としてはコロナ禍以降チケットの値上がりもあってか、演目ごとのチケットの売れ行きに差が出やすくなった印象があります。そのため、大きめの劇場では演目・キャストをチケットがより売れそうな組み合わせにした上でチケット代を上げている印象です。
ファミリー層向けの公演等があるため全体としての傾向がわかりにくいですが、一般向けの興行作品では値上がり傾向があると考えられます。
Nmura_asueさんによる2311_劇場Nのチケット前年比較劇場Cと同様に、劇場Nでもチケット代の前半比較を行いました。上半期は前年とほぼかわらない状態ですが、招待公演を除くと下半期は値上がり傾向にあることがわかると思います。
劇場Iのチケット価格推移
Nmura_asueさんによる2311_劇場Iのチケット価格推移最後に座席数が1900程度ある大規模な劇場である劇場Iのチケット価格の推移が以上の通りです。
こちらは体感としてじわじわ上がっている感覚があったのですが、グラフを見ても少しずつ値上がりしているのがわかると思います。
注目したいのは2023年6月〜8月の公演で、ここの期間はA席・B席の価格も大きく上がっています。この3ヶ月は同じ演目のロングランですが、劇場Nの項でもご紹介したT社では、この2023年6-8月公演から劇場Iでのダイナミックプライシングを採用しています。土日・初日・千秋楽の高い価格をグラフ内では採用しています。この公演は海外での人気演目の日本初上演で、劇場Iに大規模なセットや装飾などが施されました。また、海外公演でのチケット代も比較的高めだったようで合わせた形だったと考えられます。
また、いくつか価格が下がっている箇所もありますが、これは毎年ある事務所との提携した演目をやっている期間であり(2022年12月、2023年1月、2023年4-5月、2023年9月、2023年12月)、この期間は他の一般演目よりも価格が低い傾向にあるため全体的な傾向とは別の数値となります。
Nmura_asueさんによる2311_劇場Iのチケット前年比較劇場Iの2022年と2023年でのチケット代比較が以上の通りとなります。ある事務所との提携演目は毎年同じ演目や似た出演者や内容の演目が実施されることが多くなっているため、オレンジの点線で示してあります。他の一般演目よりは価格が低い傾向ではありますが、前年と比較するとチケット代金が微増しているのがわかり、こちらも値上げ傾向にあることがわかりました。
また、全体を見ても2022年まではS席が15000円がチケット代が高い演目だったところから、1年で17000円程度まで値上がりしています。
所感とまとめ
全体的な値上がりは避けられないものの、演目やキャスティングなどによって値上げの幅には大きく差が出ていきそうです。今後もチャレンジングな作品やキャストの場合はできるだけ価格を抑えながら、演目やキャストが安牌と考えられるような作品では大きく値上げをしていきそうな気がしています。
物価高や円安のことを考慮すると、値上げの流れは仕方がないと思います。ですが、いちミュージカルファンとしては3段階だけではない細かい席種分けをしたり、ファンを育てる意味でも若い子が自分で観に行ける金額の安い席種やチケット(現行のB席や、演目によっては発売される○歳以下限定チケットなど)はここから値上げせずに販売を続けてもらえると嬉しいですね。劇場Iでの演目でB席が10000円だったのが、ファンの間でもかなりの衝撃だった印象なので、なんとかならないかな……と感じています。
周りを見ていても、これまでとりあえず観ていた演目に行かなくなり、とりあえず2回観ていた演目が1回になり、とりあえずS席で観ていた演目でA/B席をとり……という傾向を感じています。
リピーター頼りでチケット代が高くて新規ファンが増えにくい業界(だと思っている)は今後なかなか大変だな〜という気が済ますね。世知辛い。
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この記事を書いた人
2016年入社。ASUE株式会社広報を担当。メールマガジン「ほぼ週刊ASUE通信」もお送りしています。ほぼ週刊なので週刊ではない。月初に公開するWebマーケティング情報をまとめたツキイチシリーズはちゃんと月刊です。
趣味はミュージカル観劇。おすすめ作品を知りたい方はN村のTwitterまでお問い合わせください。
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