正しい敬語、使えていますか? ビジネスシーンで役立つ敬語の使い方まとめ

2024年04月09日

2024年07月10日

こんにちは、ASUE株式会社広報のN村です!

さて、4月。会社の近くの桜の木が、ビル取り壊しの影響か一生に一度かもしれない咲きっぷりをみせている今日この頃 —— 新生活も始まる季節ということで、新社会人として働き始めた方もひょっっっっっっっとしたらこの記事をご覧になっていらっしゃるかもしれません。

新たに社会人として働くことになって、まず気を遣うのは「言葉遣い」ではないでしょうか。ということで、ビジネスマンとして知っておきたい敬語の正しい使い方と、ビジネスシーンでも使われがちだけど誤用されている言葉(+正しい言い換え)をご紹介します。

広報のN村

頭で概ねわかっていても咄嗟に間違えてしまうことも多いと思うので、復習にもどうぞ!

わたしも書きながら日本語を復習しています。

敬語の使い方

おそらくご存知かとは思いますが、敬語には、丁寧語・謙譲語・尊敬語の3種類があります。ものすごく基本的な(義務教育の国語で習うような)話ですが、簡単にそれぞれ説明すると以下の通りです。

丁寧語相手・内容を問わず丁寧に伝えるための言葉。語尾の「です」「ます」「ございます」や名詞の接頭辞として「御(お・ご)」をつける。(ex. お食事)
謙譲語相手に対して自分を下げてへりくだることで相手を立てて敬意を示す言葉。自分や自分の身内が行動の主体になるときに使用する。(ex. わかりました→かしこまりました、「月曜の午後にそちらへうかがいます」など)
尊敬語立場が上の相手を立てて敬う言葉。目上の相手が主語となる場合に尊敬語を使用する。(ex. 「15時に○○さんがいらっしゃいます」)

敬語一覧

ビジネスシーンでよく使う動詞の敬語一覧はこちら。

丁寧語謙譲語尊敬語
するしますいたす
いたします
させていただく(※1)
なさる
される
言う言います申す
申し上げる
仰る(おっしゃる)
言われる
行く行きます伺う(うかがう)
参る
行かれる
いらっしゃる
来る来ます参る来られる
いらっしゃる
おいでになる
お越しになる
お見えになる
知っている知っています存ずる(※2)
存じ上げる
承知しております(※3)
心得ております など
ご存知
わかる・理解するわかります承知いたします
心得ております など
おわかりになる など
いるいますおる(おります)いらっしゃる
おいでになる
見る見ます拝見するご覧になる
聞く聞きます拝聴する
うかがう
承る
お聞きになる
受け取る受け取ります賜る(たまわる)お受け取りになる
座る座ります-お掛けになる
会う会いますお目にかかるお会いになる
会われる

※1:「させていただく」は「相手の許可等を得てする」ことの謙譲語を示します。要するに厳密には「させてもらう」の謙譲語です。それ以外の場合は「いたす・いたします」を使用するのがベター。

※2:「知っている」の謙譲語は「存じる」だと思われていますが、「存じる」は「存ずる」の活用形です。

※3:「知っている」や「理解する・わかる」の謙譲語として「承知する」だと理解している人も多いですが、「承知」自体に謙譲語の意味は含まれておらず、「承知する」は「了解する」とほぼ同義です。正しく謙譲語にする場合は、「承知」+「いたす・いたします(するの謙譲語)」の形が正しいです。

よく使用されそうな動詞の敬語表現は上記の通りです。

これ!という敬語用の単語等がない言葉であれば、基本的には丁寧語は「です・ます」をつける・謙譲語は「いたします・しております」の形にする・尊敬語は「お・ご + 〜〜 + になる」「〜れる」の形にすることで敬語表現になるかと思います。(適宜動詞を活用してください。)

敬語を使う際の注意点

「〜して頂く」「〜致します」「〜下さい」は間違い? 補助動詞はひらがな表記で

まず、次の文章をご覧ください。

駐車場はございませんので、お手数ですが公共交通機関でお越し頂きますようよろしくお願い致します。

こちらは一例ですが、こんな書き方を一度は見たことがあるかと思います。一見すると特に問題のない文章のように思いますが、敬語表現として2箇所間違いがあります。(それ以外にあったらすみません……)

駐車場はございませんので、お手数ですが公共交通機関でお越し頂きますようよろしくお願い致します

「〜していただく」や「〜いたします」は敬語の表現としてよくある表現です。が、この場合の「いただく」「いたします」は文法上動詞ではなく補助動詞の扱いとなります。同様に、「〜してください」の「ください」も補助動詞にあたります。そして、補助動詞は漢字ではなくひらがなでの表記が正しいです。

「頂く」は「もらう」や「食べる」の謙譲語にあたるため、「お食事を頂く」や「お土産を頂く」など「頂く」そのものが動詞として扱われる場合は漢字での表記、「お越しいただく」や「ご理解いただき〜」のような補助動詞として扱われる場合はひらがなでの表記となります。「いたします」や「ください」も同様です。

ちなみに、漢字/ひらがなの表記を誤ると文の意味自体が変わってしまう場合があります。例えば次の文章。

※検査の際は、上半身は下着類まで脱いで下さい。

「下さい」は「下さる」という動詞の命令形にあたります。要するに、「くれ(ちょうだい!の意味)」の尊敬語です。補助動詞としての「ください」を漢字にしてしまうとあら不思議、「脱いで下さい」は「脱いだものをこっちに渡せ!」という意味になってしまいます。

丁寧にかしこまって書こうとしたり文字数を調整しようとして、ついつい補助動詞にあたる部分を漢字表記してしまう方も多いですが(そして基本的に間違っていても相手に意味は通りますが)、ひらがなにしておくのが正しいです。

「ご利用になられる」「うかがわせていただきます」は間違い? 二重敬語はNG

尊敬語にしたい場合は、「お・ご + 〜〜 + になる」または「〜〜れる」の形にすると良い、というのは[敬語一覧]のところでお話しました。これが混ざってしまったり、丁寧に言わなければ……と思ってしまうとやってしまいがちなのが次のような文章。

ご利用になられたお客様は、返却カウンターまでお戻しください。

「ご利用になられた」は「ご利用になる」+「〜れる」の形です。つまり、「ご利用になる」という尊敬語にさらに「〜れる」という尊敬語の表現を組み合わせていることになります。

このような表現は「二重敬語」と呼ばれ、過剰な敬語表現であり、間違っているとされています。同じように、「ご覧になられました」「おっしゃられる」なども、同様に二重敬語となります。

正しくはこう。

ご利用になったお客様は、返却カウンターまでお戻しください。

利用されたお客様は、返却カウンターまでお戻しください。

また、謙譲語でも同じです。

それでは、○月○日の15時にうかがわせていただきます

こちらは、「行く」の謙譲語「伺う」と、「〜する(させてもらう)」の謙譲語である「〜させていただく」を重ねていることになります。そのため、二重敬語となります。

正しくはこう。

それでは、○月○日の15時にうかがいます。

それでは、○月○日の15時に参ります

その他にも、「○○社長様」など役職名に対して「様」をつけるのも二重敬語になってしまうので、気をつけましょう!

ちなみに、「拝見いたします」など一部の誤用は長く使われて浸透した結果「問題ない」扱いを受けているそうです。

  • 「お・ご + 〜〜 + になられる」は尊敬語 + 尊敬語の二重敬語で間違い(ex. ご利用になられる)
  • 「謙譲語 + していただく」は謙譲語 + 謙譲語の二重敬語で間違い(ex. うかがわせていただく)
  • 苗字 + 役職名 + 様は二重敬語で間違い(ex. 安江社長様)
  • 「拝見いたします」のように使われすぎてぬるっとOKになっているものもある

広報のN村

二重敬語をやった流れで「なんかうやむやにOKになってます」と言われると気持ち悪くなってくるのでわたしは使うのをやめたい(天邪鬼)

ビジネスシーンでの敬語の使い方

敬語表現そのものを覚えたとしても、適切に使えないと意味がありません。

大まかに、ビジネスシーンで想定される状況で使用する敬語を分類しました。話している(電話・メール・会話など)相手と、話している文章の主語によって、使用する敬語が変わります。

会話・メールの相手その文章の主語使用する敬語
同僚・近しい先輩など自分・相手丁寧語
同僚・近しい先輩など上司や社内の目上の人、取引先尊敬語
上司や社内の目上の人自分謙譲語
上司や社内の目上の人同左尊敬語
上司や社内の目上の人第三者の目上の人、取引先尊敬語
取引先自分謙譲語
取引先上司や社内の目上の人謙譲語
取引先同左尊敬語

例えば、社内の人から「今日安江社長はいるか?」と問われた場合は「いらっしゃっています/いらっしゃいません」などの尊敬語を使うのが正しいですが、社外の人から同様の質問を受けた場合は、社内の人間は(自分から見たら目上の人であっても)身内とみなして「おります/おりません」と謙譲語で返すのが正しくなります。

社内であれば、社風等によってもっとくだけた言葉を使っている場合もあるかと思いますが、社外の方とのメールやチャット、会話などは特に注意しましょう!

誤用されているかも!?な言葉 — 役不足と煮詰まる

敬語とは違いますが、わたし的ビジネスシーンでもよく使われているけど誤用で実は意味が全く違う(なんなら逆)になっている二大巨頭を紹介します!

役不足と力不足

何かの役職や仕事を任された際の挨拶で、謙遜して次のようなことを言っている方がいるかもしれません。

私では役不足な点もあるかと思いますが……

実は、この役不足とは「自分の実力に対して役が不足している」という意味になります。そう、とても高慢に見られる発言です。

自分の能力が足りていない、という意味のことを言いたい場合は「力不足」を使うのが正しいです。他にも、「身に余る」や「重責・大役」などの言葉を使えば似たようなニュアンスで伝えられると思います。

煮詰まると行き詰まる

良いアイデアが思いつかない、思うように物事が進んでいない……という場合につい言ってしまうのがこちら。

少々煮詰まっており、進捗が〜〜〜

煮詰まるの本来の意味は「十分な議論をして、結論に到達すること」です。最近「行き詰まる」と混同され、誤用が続いた果てに、一部の辞書では「行き詰まる」とほぼ同義の意味も「煮詰まる」の欄に追加されているそうです。

一部の辞書に追加されたとは言え、人によって解釈が異なる言葉なので、使用には注意した方がいいかもしれません。

参考:「NHK放送文化研究所 — 一人で家にいても煮詰まるから出かけよう」というのは、正しい表現でしょうか。」
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20220201_9.html

広報のN村

これを知って以来aikoの三国駅をまっすぐ聴けない。

余談ですが、「琴線に触れる」を「逆鱗に触れる」の意味だと思って使用している人が多いと少し前SNSで話題になっていました。言葉はある程度流動的なもので、転じた使い方から新しい意味が生まれてくることがあるとはいえ、このような明らかな誤用は恥をかいたり相手を怒らせてしまう場合もあるので、「この言葉の意味、あってるかな?」と思った時はそのままにせず一度辞書で調べてみるのが良いかと思います。

広報のN村

感動したときに龍の顎の下を触ることができる者だけが、「逆鱗に触れる」と「琴線に触れる」の意味を取り違えても良いです(?)

ビジネスでよく使われている実は間違った敬語・日本語

間違った表現正しい表現解説
こちらの商品でよろしかったでしょうかこちらの商品でよろしいでしょうか過去の話ではないときに使うのはNG
過去の話の場合はOK
こちらの資料になりますこちらの資料でございます「なります」は「なる(成る)」の丁寧語であり、状態の変化等を表す動詞
です・ございます等をつけるのが正しい
お休みをいただいております休み(休暇)を取っております/休んでおります対社外の場合、自社の社員の行動に「お・ご」をつけるのは基本的には間違い
また、休みは会社が与えるものなので「取っている」を謙譲語表現にするのがベスト
なるほどですねなるほど、仰る通りですね など
※場面によって異なる
「なるほど」は副詞・感嘆詞のため「ですね」をつけるのは文法上おかしい

この辺りの言い回しはよくやっちゃいがちだと思うんですが(わたしも言っちゃう……)、実は文法上は正しくありません。

ちなみに、本来「なるほど」に失礼な意味はありません。ですが、なぜか失礼扱いされた結果そう取られないために「なるほどですね」という言い方が広まったと言われているようです。

この単語は謙譲語?謙譲語じゃない? 「了解」への風評被害を考える

敬語一覧のところで、「承知する」を謙譲語だと思っている方も多いですが、「承知」自体に謙譲の意味は含まれず、謙譲語にするには「承知いたします」のような形にする必要があると紹介しました。

同じように、敬語について調べていると、熟語そのものに謙譲語の意味が含まれているような説明がなされる単語がいくつかありましたが、間違いだと思ったので紹介いたします。

単語謙譲語か否か
承知謙譲語ではない
謙譲語にしたい場合は「承知いたしました」
了解謙譲語ではない
承知しました = 了解しました
謙譲語にしたい場合は「了解いたしました」
了承謙譲語ではない
持参謙譲語ではない
「ご持参ください」は尊敬語として使用可能
拝見謙譲語
拝聴謙譲語
拝読謙譲語
申し出謙譲語ではない
「お申し出ください」は尊敬語として使用可能

「承知」「持参」「申し出」のように、「承る」「参る」「申す」のような謙譲語の動詞に使われている漢字が入った言葉がいろいろな場面で「謙譲語の意味を持つ」と誤解されているようでした。

「承知」「持参」「申し出」 —— これらの単語そのものには、謙譲語の意味は含まれておりません。そのため、「お・ご」等をつけて「ご持参ください」や「ご承知おきください」「ご了承ください」のように尊敬語として使用することもできますし、逆に「承知しました」だけでは本来はただの丁寧語表現でしかありません。

特に、「承知」と「了解」がよく勘違いされているようです。ですがこれらの言葉には微妙なニュアンスの違いはありますがほぼ同義で使われ、どちらがよりかしこまっている・丁寧という差もないため、同じように使用可能な言葉です。「承知しました」「了解しました」であれば丁寧語、「承知いたしました」「了解いたしました」であれば謙譲語という理解が正しくなります。

広報のN村

この記事を書くにあたっていろいろ調べている間に「了解いたしました」を丁寧語としている記事を見つけてしまい、インターネット何も信じられないじゃん……となりました。

逆に、「拝見」「拝聴」「拝読」といった「拝〜(行動を示すような漢字)」という熟語には、熟語そのものに謙譲語の意味が含まれています。そのため、「〜いたします」のような使い方では二重敬語で誤用になるので「〜します」の形でそのまま謙譲語として使用するのが正しいです。

参考:「文化庁 — 第六話「間違いやすい敬語(3)~謙譲語I VS 謙譲語II」理解度チェックの解答 【2】」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/chapter6/detail.html

参考:「goo辞書 — 承知(しょうち) とは? 意味・読み方・使い方(出典:デジタル大辞泉(小学館))」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%89%BF%E7%9F%A5/

参考:「goo辞書 — 了解(りょうかい) とは? 意味・読み方・使い方(出典:デジタル大辞泉(小学館))」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E4%BA%86%E8%A7%A3/

まとめ

知らずに間違って使っていた言葉や言葉遣い、誰でも一つはあったのではないでしょうか?

なんとなくの理解やあやふやだった点がクリアになったので、わたしもことビジネスにおいては、なるべく正しく美しい日本語を使っていきたい……と改めて感じています。

ぜひ、正しい敬語がわからなくなった!と思ったらこの記事をご覧くださいね!

広報のN村

日本語って難しい。

わたしのこういう文章は大体勢いで書いているので、きちんと添削すると間違った敬語が絶対に出てきますことをここにお詫び申し上げ奉り候。

今回はWebマーケティングに関係なく、幅広く日常からビジネスまで知っておくと恥をかかない日本語の話をしましたが、普段はWeb広告やSNSなどWebマーケティングに関する情報をブログ・メルマガにて発信しています!気になる方はぜひメルマガにご登録いただけますと幸いです。

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