
先日、9月のWebマーケニュースツキイチまとめでもご紹介しました通り、2020年9月17日にAppleよりiOS14の正式版がリリースされました!

ねぇ、アスエくん。
今回のiOSアップデートがWeb広告に大きな影響があるって聞いたんだけど……

やっぱり広告主のみなさんや、Web担当者・インハウスマーケターの方は気になるところですよね!
調べるとiOS14関連の記事はたくさん出てきますが、今回のブログでは、広告主様向けにiOS14のアップデートの概要と広告への影響、アップデート後にも使えそうな広告トラッキングに依存しない広告ターゲティングについてご紹介しようと思います!
目次
iOS14がリリース!追加された新機能は?
今回のiOSアップデートでは、ホーム画面の大きな仕様変更や、動画を再生しながら他のアプリを操作できる「ピクチャーインピクチャー機能」の追加など、UIの改善や便利機能の追加が行われたことが話題になりましたね。
その中でも広告運用者や広告主様に関わる重大なアップデートとして注目されているのが、新しいプライバシーガイドラインの導入に関する発表です。
新しいプライバシーガイドラインの最も注目したい点は、アプリによるユーザー情報のトラッキングに制限が追加される点です。具体的には、異なるWebサイトやアプリをまたいでユーザー行動を追跡したりデバイス識別子にアクセスするためには、ユーザーに許可を求めることを義務付ける変更が行われます。
元々、この仕様変更はiOS14の正式リリース時に同時リリース予定でしたが、2021年のはじめ頃まで実施の延期が発表されました。

ホーム画面のカスタマイズはTwitterでも話題になってますよね!
いちユーザーとしては便利だったり嬉しい機能もたくさんありました!

そうですね!
一方のプライバシーガイドラインは、広告にも大きな影響がある変更です。導入が延期となり、今後まだ仕様に変更が加わる可能性や詳細が発表されていく可能性があるため、広告運用者や事業主は続報を要チェックです。
現状分かっている具体的な影響について見ていきましょう。
iOS14の詳細についてはこちら
→https://www.apple.com/jp/ios/ios-14/
プライバシー機能についての参考
→https://developer.apple.com/app-store/user-privacy-and-data-use/
新iOSのWeb広告への影響は?
現在、Yahoo!、Googleなどの多くの広告媒体が、CookieやIDFAなどオンライン識別子によるトラッキング機能を広告の配信ターゲティングに活用しています。
新しいプライバシーガイドラインでは、アプリ開発者がアプリでユーザーのIDFA(広告用のユーザー識別子)を追跡する場合にユーザーに許可を要求する必要があるとされています。
Apple製品でiOS 14を使っているユーザーに対しては、ユーザーからトラッキング を有効にする許可を得ないかぎり、デバイスの識別子の値を取得できず、トラッキングができなくなります。
つまり、IDFAを活用してターゲティングしていた広告は配信量が大幅に減少するかほぼ使えなくなってしまう可能性があり、取得できるデータ量が減ることで計測やターゲティングの精度も低下してしまうことが危惧されています。
iOS 14アップデートによる広告への影響については、アナグラムさんがより詳細に説明してくださっているため、そちらもご確認ください。

確かに、いろんなところで出てくる「データを送信しますか?」みたいなやつってよくわからないから「いいえ」を押しちゃいますし、IDFAでもユーザーの多くが許可しなさそうですね。

そうですね。
実際にどうなるかは実装後のデータを見ないことにはわかりませんが、IDFAを用いた興味関心や行動予測によるターゲティングは精度が大きく低下する可能性が高そうです……

ヒェェェェェエ……
じゃあ、今までIDFAを利用してターゲティングしていた場合はどうすればいいんでしょうか!?!?

IDFAが取得できなくなることの影響は大きいですが、Yahoo!やFacebookなど、対策や代替策を各広告媒体側でも検討している動きが出てきています。広告運用者は今後もタグの差し替えなどのアナウンスはしっかり確認していきましょう。
また、Web広告にはWebやアプリをまたぐユーザーの行動履歴にある程度依存しないターゲティング方法もあります。本日はアプリに限らず活用できそうなターゲティング方法を集めてみたので、ご紹介します!

おねがいします!
Facebook Business iOS 14に向けたパートナーの対策をサポート
→https://www.facebook.com/business/news/preparing-our-partners-for-ios-14-launch
Webやアプリをまたぐユーザーの行動履歴に依存しないターゲティング方法は?
オンラインのユーザー行動履歴の影響が少ないターゲティング
- Facebook/Instagram広告
- デモグラフィックターゲティング
- 顧客リスト・顧客リストの類似ターゲティング
- LINE広告
- デモグラフィックターゲティング
- LINE公式アカウントの友達類似ターゲティング
- 顧客リストの類似ターゲティング
- Yahoo!広告
- プレイスメントターゲティング
- サーチターゲティング(機能拡充も検討中)
- 顧客リスト・顧客リストの類似ターゲティング(カスタムリストターゲティング)
- Google 広告
- プレースメントターゲティング
- 顧客リスト・顧客リストの類似ターゲティング
- Twitter広告
- キーワードターゲティング
- フォロワーターゲティング

今回のiOS14のアップデートでもそうですが、年々CookieやIDFAなどのユーザー情報を利用した広告配信が難しくなってきていますね。
ということで、現状でWebやアプリをまたいでのユーザー行動履歴にあまり依存せず使えそうなターゲティングについてまとめました!
広告媒体ごとに重複する内容もあるため、ターゲティングの種類ごとにご紹介していきます!
デモグラフィックターゲティング
- 使える媒体
- Facebook/Instagram広告
- LINE広告 など
- デモグラフィックターゲティングについて
- 年齢や地域、性別などのユーザー属性でターゲティングし、広告を配信できる
- LINEやFacebookの登録情報などをもとにセグメントされる
- 中でもFacebookは現状、属性によるターゲティング精度がとても高い
デモグラフィックターゲティングとは、年齢・性別・地域などのユーザー属性を絞ってターゲティングする配信方法です。
アカウント情報など、各社が保有するユーザーデータから、ターゲットユーザーへの配信が可能です。
Yahoo!、Googleなどでもデモグラフィックターゲティングは設定できますが、掲載面や掲載機会が膨大なため、活用する場合は他ターゲティングと掛け合わせることがおすすめです。

Facebookアカウントは基本的に実情報によって登録されているため、信頼性やターゲティング精度が高いのが特徴です。
Facebook/Instagram広告は現状ASUEでもデモグラフィックデータによるターゲティングをかなり活用しています。
顧客リスト・顧客リストの類似ターゲティング
- 使える媒体
- Facebook/Instagram広告
- LINE広告
- Yahoo!広告(カスタムリストターゲティング)
- Google広告(カスタマーマッチ)
- 顧客リスト・顧客リストの類似ターゲティングについて
- 実際の顧客データのリストから、共通する興味・関心などの利用者情報を使って、既存の顧客に類似した人たちをターゲティングする配信方法
顧客の電話番号やメールアドレスなどのデータリストから、各社に登録されたデータと合わせて休眠顧客や顧客と似たユーザー属性の人向けに広告を配信できる機能です。
※IDFA用いたリストは活用できません。
電話番号やメールアドレスといった個人情報を利用するため取扱には注意が必要ですが、注意事項を守って利用すれば顧客になりえそうな人に配信ができます。
Google広告では、以下のご利用条件を満たしている必要があります。
- これまでポリシーを遵守してきた実績があること
- これまでお支払いに関して問題が発生していないこと
- 90 日以上の Google 広告のご利用実績があること
- ご利用金額が全期間で 5 万米ドルを超えていること(米ドル以外の通貨でアカウントを管理している広告主様のご利用金額は、その通貨の月別平均換算率により米ドルに換算されます)

(画像が相関図みたいになってる……?)

Yahoo!は先月9月から新管理画面で直接リストを入稿できるようになったため、まだ活用してない方は使ってみたいですね!
仕様については、各媒体ごとに異なりますが、リストのアップ時にデータを暗号化しておく必要があるので、各媒体のヘルプページなどを確認しましょう。
・Google広告のカスタマーマッチ
https://support.google.com/adspolicy/answer/6299717
・Facebook広告/Instagram広告のカスタマーリスト
Facebookビジネスヘルプセンター
・Yahoo!広告ヘルプページ:データをインポートしてカスタムリストを作成する
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/display/articledetail?lan=ja&aid=69234&o=default
(Yahoo!広告)サーチターゲティング
サーチターゲティングとは
- ユーザーが過去にYahoo! JAPANで検索したキーワードをもとに、指定したキーワードで検索した人だけにディスプレイ広告を配信できる
- 検索広告と違って、画像を利用して視覚的な訴求が可能
- その他特徴
- キーワード単位での細かいターゲティング:「何回以上検索」や「過去何日以内に検索」など、指定したキーワードの検索条件まで絞った配信も可能
- キーワード提案機能:広告誘導先のURL入力でおすすめのキーワードを自動で提案
- 検索広告と組み合わせることでより集客しやすい
過去にユーザーが検索したキーワードをもとに、広告主側が指定したキーワードで検索した人にディスプレイ広告を配信するターゲティングです。
Yahoo!広告のディスプレイ広告配信面である、Yahoo!ニュースやYahoo!知恵袋など各種コンテンツページで掲載されます。

検索しながら迷ってる・検討している層に配信できるので、見込み確度の高そうなユーザーに広告を配信できそうですよね!
現在、機能拡充も検討されているとのことなので、今後のアップデートも楽しみです!
(Google 広告・Yahoo!広告)プレースメントターゲティング
プレースメントターゲティング概要
- Google/Yahoo! ディスプレイネットワーク内の特定のウェブページ・動画・アプリを指定する広告掲載方法
- ウェブページ:URL単位
- アプリ:アプリ単位
- YouTube:動画、チャンネル単位(Googleのみ)
- 配信先の選び方
- 過去の配信実績で成果がよかった配信先
- ターゲット層がよく見ているメディア
- 商材に関するキーワードから、プレースメントの編集画面で検索
プレースメントターゲティングはGoogle/Yahoo! ディスプレイネットワーク内のサイト(食べログや教えてgooなどの提携サイトから、アドセンス枠を利用している個人運用のサイトまで)や、アプリなどを指定して広告を配信できる方法です。

例えばターゲットが美容に興味が高い女性であれば、よく閲覧している美容関連のメディアなどに掲載する……のように、サイトの顧客層に合わせてターゲティングすることが可能です。
Yahoo!プレイスメントターゲティングの設定
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/ydn/articledetail?lan=ja&aid=10941
Googleプレースメント ターゲティングの概要
https://support.google.com/google-ads/answer/2470108?hl=ja
(LINE広告)LINE公式アカウントの友達類似ターゲティング
- LINE広告とLINEの公式アカウントを利用している場合、公式アカウントの友達になっているユーザーに対して広告配信が可能
- 友達になっているユーザーの傾向などから、友達になっているユーザー層に似たユーザー層へ広告配信が可能
顧客リスト・顧客リストの類似ターゲティングと少し似ていますが、こちらはLINEの公式アカウントと友達になっているユーザーと、友達に類似しているユーザーに広告が配信できるターゲティングです。
顧客リストの類似や友達類似ターゲティングは、類似するユーザーの抽出にIDFAの興味関心データが活用されている可能性もあり、ターゲティング精度に全く影響がないわけではないため注意は必要です。
(Twitter広告)キーワードターゲティングとフォロワーターゲティング
- キーワードターゲティング
- Twitter内で検索したキーワードとツイートしたキーワードの内容でターゲティングできる
- フォロワーターゲティング
- 選択したアカウントのフォロワーやフォロワーに似たアカウントへ広告を配信

Twitterは、自分の趣味嗜好でツイートしたり、アカウントをフォローしている人が多いため、ユーザーの興味関心に沿ってターゲティングしやすい広告媒体です。

気になるアイテムはTwitterなどのSNSで口コミを調べて買う人も多いし、ターゲティングに使える情報量が多そうですね!
Twitter上でのキーワードターゲティング
https://business.twitter.com/ja/targeting/keywords.html
Twitter上でのフォロワーターゲティング
https://business.twitter.com/ja/targeting/follower.html
まとめ

今回ご紹介したターゲティングはどれも自社でどれだけ顧客のことを深く理解しているかが軸になっています。顧客情報の整備やユーザー理解は広告に関わらず自社の財産にもなるので、活用も含めて分析、管理していけるといいですね。
また、iOS14によるアプリのトラッキング制限については、来年まで実装が持ち越されたこともあり、内容が追加、変更になる可能性や不明点も多いのが現状です。
本ブログもあくまで現時点での見解とはなりますため、広告運用者や広告主の皆さんは、今後の動向含めて、チェックや対応を怠らないようにしましょう!

そうですね……!しっかりと情報をキャッチアップしていく必要がありそうです!

IDFAやCookieなど、オンライン上での個人情報の取り扱いは今後ますます変化し、広告配信への影響もあると思いますが、その中で出来ることにしっかり取り組んでいきたいですね。
ASUEでは今回のようなWebマーケティング界隈のニュースや広告などのアップデート情報をご紹介するメールマガジンを配信しているので、もしよければこちらもご覧くださいませ!
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この記事を書いた人

ミヤタアヤノ
2015年秋入社、2020年秋退社した元ASUE社員。好きなものは芋栗カボチャと映画と米津玄師。出社最終日は遅刻した。
今後のミヤタさんのご健闘をASUE一同お祈りしています。