
SalesforceのAccount Engagementで「現在のメール環境」から「新しいメール環境」に移行するときに苦労したこと
2025年03月25日
こんにちは、ASUE株式会社広報のN村です。ASUE株式会社では、ほぼ毎週(この表現は逃げです)火曜日にメールマガジンを送信しております。
弊社では、メールマガジンの送信にマーケティングオートメーションツールであるAccount Engagement(旧名:Pardot)を使用しています。
現在は、Account EngagementメールではなくEmail in Lightningからメールを作成しているのですが、少し前からメールの作成画面([Account Engagement] > [メールコンテンツ] > [ビルダーで編集])を開こうとするとこんな表記が……。

この下側の「Account Engagementの拡張メール環境(以下、現在のメール環境)」を2025年2月頃までは使用しておりました。ですが、こんな文章が追加。なんと、Summer '25 で廃止されてしまう予定とのこと!
Account Engagement の拡張メール環境はサポートされなくなりました。この機能は Summer '25 で廃止される予定です。
どうせ使用できなくなるのなら、後から慌てずに早めに移行して準備しておきたい……そんな気持ちで新しいメール環境へ移行を実施。ちょうどロゴも変わったからテンプレの色変えもやればちょうどいいだろう、と思ったのですが、なかなか違ってググっても情報があまり出てこず苦労した(執筆現在、進行形で苦労している)ので、他にも悩む人がいるかも……ということで、苦労ポイントやどこが違ったかをご紹介していきたいと思います。

実は現在のメール環境への移行したのが1年くらい前なので(苦労した)、この1年間で2回もメール環境の移行に苦労をさせられている。
ちなみに、わたしのAccount Engagement力は以下の通り。
- Account Engagementで以下の設定は可能
- ランディングページやフォームの作成
- リストメールの作成や送信 など
作成画面上でわかる程度のことは普通に使えるけど、Salesforceを扱うための細かい知識などは特に勉強をしていないような状態で、業務で必要になるごとに都度社内のSalesforceマスター(資格を持っている人のことを指しています)に聞いたり、Salesforceの担当者さんに聞いてもらったり、サポートを利用したり、といった状態です。
目次
苦労ポイント(1)メールテンプレートが使えない
- 現在のメール環境の仕様
- メールテンプレート([Account Engagement] > [メールテンプレート])でテンプレートを作成
- メールコンテンツで作成したテンプレートを指定する
- 新しいメール環境の仕様
- メールテンプレート機能は使用できない
- テンプレートを使いたい場合は、メールコンテンツをテンプレート用に作成→コピーして使用
まず、新しいメール環境ではこれまで使用していたメールテンプレート機能が使えませんでした。
メールコンテンツから[ビルダーで編集]をクリックした際には常に[新しいメール環境]の選択肢が出てきますが、メールコンテンツに現在のメール環境用に作成したテンプレートを指定している場合は[新しいメール環境]をクリックするとエラーがでます。

一方、メールテンプレートの画面上では、[新しいメール環境]と同様のビルダーを使用した構築ができません。
そのため、決まったメールの形式があって、テンプレートを使いたい場合は、メールコンテンツ内で[新しいメール環境]からテンプレート(のようなもの)を構築→それをコピーして使用する必要があります。


以前から「新しいメール環境」ってなんだろう、使った方がいいのかな?と思いつつエラーが出続けて使えなかったのですが(調べてもわからない)、その理由がこの辺りでした。
苦労ポイント(2)挿入できる項目が変わった / 差し込み言語が違う
- 現在のメール環境の仕様
- 差し込み言語に「Handlebars Merge Language (HML)」を使用
- 受信者、送信者、組織などの差し込み項目に出てくるもののほか、日付(Current_Yearなど)も使用可能
- 条件分岐が可能
- HMLを利用している状態で[新しいメール環境]をクリックするとエラーに(現状自動変換機能はなし)
- 新しいメール環境の仕様
- 差し込み言語に「Salesforce Merge Language(SML)」を使用
- 差し込み項目以外は現在未対応で、今日の日付等の差し込みは不可
- 条件分岐不可
現在のメール環境と新しいメール環境では、差し込み言語が違います。
現在のメール環境では差し込み言語に「Handlebars Merge Language (HML)」を使用し、新しいメール環境では差し込み言語に「Salesforce Merge Language(SML)」を使用します。


HMLを使用した現在のメール環境では差し込み可能な項目で新しいメール環境では現在未対応のものがあるようなので、要注意です。
わたしの場合は、ほぼ週刊メルマガで毎回送信する日付を入れていたのですが、その日付の自動挿入が新しいメール環境ではまだ対応していないようなので都度入力しています。
HMLの場合:ほぼ週刊ASUE通信 {{Current_Year}}/{{Current_Month}}/{{Current_Day}}号
SMLの場合:ほぼ週刊ASUE通信 YYYY/MM/DD号(※都度入力)
また、社内ではあまり活用できていませんでしたが、HMLでは条件付きの差し込み項目の利用が可能でした。「指定した項目に入力がある場合は〇〇、入力がない場合は××を出力する」という項目の入力有無のみの簡単なものでしたが、使用していた方は要注意です。
また、HMLで、新しいメール環境で未対応の項目を使用した場合はメールコンテンツで[新しいメール環境]を編集時に選択するとエラーが出るだけで、自動でSMLに変換してくれたりもしません。なので、移行時には自分で新しいメール環境に合わせたものを作成する必要があります。

ちなみに、昔はPMLっていう変数タグ(%%hogehoge%%みたいなやつ)を使用していました。差し込み項目の変遷。
これまでのものでできた差し込み機能はそのうち対応してくれるかな〜と思っています!楽しみ!
参考:「Handlebars Merge Fields in Account Engagement (Account Engagement でのハンドルバーの差し込み項目)」
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=sf.pardot_handlebars_merge_fields.htm&language=ja&type=5
参考:「HML 条件付き差し込み項目」
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=mktg.pardot_hml_conditional.htm&type=5
苦労ポイント(3)リッチテキストがない
- 現在のメール環境の仕様
- コンポーネントに「リッチテキスト」あり
- リッチテキストを使うことで、いろんなレイアウトのまとまりでコピーなどが可能だった
- 新しいメール環境の仕様
- コンポーネントに「リッチテキスト」がない(2025年3月現在)
- レイアウトによっては、まとまりごとのコピーが不可
現在のメール環境でのメール編集画面がこちら。

このように、リッチテキストをうまく使用することで、本文中の1トピックに使用する「見出し+テキスト+2カラムレイアウトの吹き出し」という組み合わせをまるっとコピーして編集が可能でした。
一方、新しいメール環境で同じレイアウトを再現したものがこちら。

リッチテキストがなく、見出し+テキストの1カラムのレイアウトと吹き出し風の2カラムのレイアウトではセクションを分ける必要があったため、「見出し+テキスト+2カラムレイアウトの吹き出し」というまとまりごとの複製ができませんでした。
HTMLのコンポーネントを使用すれば可能ではありますが、編集もHTMLソースで編集する必要があるためとりあえず使っていません。

個人的に地味に困るのがこちらの仕様である……
苦労ポイント(4)正直ちょっと重い
- ビルダー内で編集をする時、動きがもっさりしている
- パラグラフにテキスト入力 → カーソルのフォーカスを外したら消えることがある
- コピーしてきたテキストをペーストすると、重複して出力される
- 問い合わせ済み、修正予定とのこと('25年3月18日現在)
- 例:コピー文「たけやぶやけた」→ペースト文「たけやぶやけたたけやぶやけた」
わたしの環境の問題かもしれませんが、現在のメール環境(これも特別軽いわけではない)よりも動きがもっさりしている印象があります。
全体的に重いため、コンポーネント内のテキストを編集したはずなのに上手く反映されなかったり、さっきやったはずの編集がなぜか消えていたりしていることがあります。わたしの環境の問題かもしれない……。
また、サポートから修正予定と返答をいただいておりますが(※執筆した2025年3月18日現在)、コピーしてきた文章をペーストしようとすると一度に2回ペーストされる事象が発生。コピー元の書式設定のせいかも……と思ってCtrl + Shift + V(書式なしで貼り付け)も試しましたが、同じように重複して貼り付けられました。
ですが、この辺りは問い合わせ済みのコピペに関するバグのようにサポートに連絡することで解消される可能性がありそうです。

質問したらサポートがすぐ一次対応をしてくれてありがたいかぎり……!
どうする? 新しいメール環境への移行……
- いつかは移行する必要あり(だと思われる)
- '25 Summerで廃止予定のため、現在のメール環境を使用している場合は移行は必要
- ただし、新しいメール環境は現状では使いにくい点もある
- 新しいメール環境への移行の場合
- 準備は進めた方が良さそう
- 現状ではEinstein最適化などを利用する場合はこちらへの移行が必要
- Account Engagement メールも使用可能
現在のメール環境の廃止が予定されているため、現在現在のメール環境を利用している場合は別の方法へ移行する必要があります。
今後も使用可能な方法は、新しいメール環境かAccount Engagement メールの二種類があるので、どちらかへの移行を検討しましょう。
新しいメール環境への移行を考えている場合は、早めに使い方に慣れた方が良さそうなので、すぐ移行できない場合も準備を進めておくことをお勧めします。Account Engagement メールの場合は、送信時間の最適化等の機能が現状は使えなさそうなので、その機能を使いたい場合は新しいメール環境がおすすめです。
廃止間近になって焦らないように、試しに新しいメール環境を触ってみるなど移行の準備をしながら使いやすくなるのを待ちたいところですね。

早めに移行できるようにしておきたいけど、移行先で苦労もしたくない。
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この記事を書いた人

2016年入社。ASUE株式会社広報を担当。メールマガジン「ほぼ週刊ASUE通信」もお送りしています。ほぼ週刊なので週刊ではない。月初に公開するWebマーケティング情報をまとめたツキイチシリーズはちゃんと月刊です。
趣味はミュージカル観劇。おすすめ作品を知りたい方はN村のTwitterまでお問い合わせください。パーソナルカラーはイエベ春。
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