Web担当者が知っておきたい著作権+αの基礎知識

2024年06月18日

2024年07月10日

こんにちは!ASUE株式会社広報のN村です。

誰でも一度は「著作権」という言葉を聞いたことがあると思います。どんな業務であっても関わる可能性は高く、ビジネスマンであれば基本的なことを知っておく必要がありますが、特にWeb担当者の業務では大きく関わってくるでしょう。

今回は、著作権(及びその周辺)の基礎知識と、Web担当者が関わる著作物に関しての注意点などをご紹介します!

著作権とは

著作権とは、著作物を制作した者が持つ、著作物を無断でコピーされたり使用されたりしないための権利です。

例えば、写真は撮影者に、絵は描いた人に、文章は書いた人に著作権があります。

他人の著作物を使用したい場合は、基本的に著作権を持つ人物(以下、著作権者)から許諾を得る必要があります。

著作物の使用について

上述の通り、著作物の使用には著作権者から許諾を得る必要があります。ですが、一部の条件下では、「権利の制限」があるため他人の著作物の使用が認められています。

許諾なしで著作物を使用できる場合

  • 私的利用のための複製
  • 図書館などの定められた施設での複製
  • 自分の著作物への引用
  • 学校などの教育機関での複製
  • 非営利かつ無料での上演・演奏

一般的な企業のWeb担当者が関わるのは、3つ目の「自分の著作物への引用」であり、それ以外の著作物の無断利用はNGです。

著作物の引用

著作物の引用をする場合、引用の要件を満たす必要があります。

  • 公表済みの著作物であること
  • 公正な慣行に合致すること
  • 報道、批評、研究などのための正当な範囲であること
  • 引用元が明記されていること

また、これらの引用の要件の2つ目・3つ目の判断要素として、次のような点が挙げられます。

  • 引用の必然性があること
  • 引用部分が明確に分けられていること
  • 引用部分(従)とそれ以外の部分(主)の主従関係が質・量ともに明確なこと

引用以外での著作物の使用

引用以外で著作物を利用したいケースの多くはイラストや写真の利用だと思われます。

そのような場合は、まず以下をチェックして、問題ない or 許諾を得ることができれば利用できます。

  • 社内で撮影・作成した著作物(→基本使用OK)
  • 会社が社外へ依頼をして撮影・作成した著作物(→基本使用OKだが契約は要確認)
  • 素材販売サイト等で購入した著作物(→基本使用OKだが規約は要確認)
  • 無料の素材サイト等で著作権者が無料での使用を許可して配布されている著作物(→基本使用OKだが規約は要確認、商用利用可能かどうかも確認)
  • 著作権者に連絡をとり、利用条件等合意を得られた著作物(→合意条件を守れば使用OK)
  • 著作権者が死亡しており、著作権の保護期間が終了している著作物(→基本使用OK)

素材サイト等から入手した著作物や、社外のカメラマン等に依頼して撮影した写真を使用する場合は、契約内容や規約等を確認して使用できない場面などを理解して使用するようにしましょう。

職務著作について

従業員が職務上制作した著作物については、職務著作として所属企業に著作権が帰属する場合があります。

職務著作の条件

  • 企業が制作させた著作物であること
    • 企業側がイニシアチブをとって従業員が制作したもの
    • ここでの企業は役員等の上層部だけでなく、直属の上司でもOK
  • 制作者が企業の従業員であること
    • 正社員やアルバイト等企業に直接雇用された者
    • 企業側に指揮監督権が発生している場合
      • 派遣社員  など
      • 監督関係が発生しないような委託契約の場合は当てはまらない
  • 職務上制作されたものであること
  • 企業の名義で公表されるものであること
  • 就業規則やその他契約で取り決められていないこと

この条件に当てはまる場合は、制作した従業員本人ではなく企業に著作権が帰属します。

著作権以外にも気をつけたい肖像権と商標権と著作者人格権

また、著作物等の利用には、著作権と関連して以下の3つの権利も留意する必要があります。

肖像権とは

他人から無断で写真等を撮られたり、自身が写った写真等を世間へ公表・利用されないための権利です。

実は、肖像権は明確に法律などで定義されているものではないのですが、人格権や財産権の一部としての側面があり、顔写真も個人情報の一部であるため、個人情報保護法で保護されるべき個人情報であり、損害賠償請求などをされる場合があります。

例えば、社内で撮影した写真等を、写っている社員に無断でコーポレートサイトに掲載することは個人情報保護法の観点からNGとなります。

コーポレートサイトやSNS等に掲載するために写真を撮影する場合は、写真の利用目的等を伝えた上で掲載の許可を得ておくのがベストです。退職後にすぐ削除できるとは限らないため、退職後に残ってしまうことも考慮した内容で、書面等で同意を取っておくと、基本的にはトラブルを防げると思います。

また、顔・名前と勤務先がWebサイト等で公開されると、場合によっては私生活で不利益を被る可能性もあるため、掲載された社員からそのような申し出があれば速やかに削除・差し替えをするのがよいでしょう。

肖像権上のトラブルになりうるケース

  • 社員が写った写真等を、無断で社外等に向けて広く見られるところに掲載する
    • Webサイト
    • 雑誌
    • (支店等がある場合)全社向けの広報誌  等
  • 店舗内の撮影中、お客さんが来ている中撮影し、その写真をぼかし等を入れずに無断でサイト等に載せる
  • 外で撮影し、歩行者等が写り込んだ写真等をぼかさず許可を取らずにサイト等に載せる  など

ちなみに、一般にニュース等で映り込んだ歩行者については肖像権の侵害にはあたらないということなので、映りたくない方はテレビの撮影等をしている場所は避けるのが無難です。

また、Webサイト等では個人情報取り扱いに関するポリシーも掲載しておきましょう。(Webサイトがあれば普通はどこも掲載していると思います。)

広報のN村

ちなみにわたしは観劇前に劇場前で立ってたら、その姿が全然知らない人が劇場前で撮った写真に思い切り写っているのをSNSで見つけたことがあります。ぼかせ!!!!!!

商標権とは

商標権とは、商品やサービスの名前(商標)などを独占的に使用でき、商標の模倣等を防ぐことができる権利のことです。これは自然発生する権利ではないため、商標権を得たい場合は特許庁へ出願し商標登録をする必要があります。

新しい商品やサービスを作った場合、その名前が商標権を侵害していないかなどを予め確認し、必要があれば商標登録をしておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。

著作者人格権とは

著作者人格権とは、著作物を制作した本人(または企業 / 職務著作の場合)が持つ権利であり、譲渡可能な著作権と違い、制作した本人が必ず持つ権利です。著作権が著作権者に金銭的な不利益を被らないための権利なのに対して、著作者が精神的な不利益を被らないための権利であり、主に公表権・氏名表示権・同一性保持権に分けられます。

また、この3つに抵触しない場合であっても、著作者の名誉や評判を著作物を利用して害するような行為も、著作者人格権の侵害にあたる場合があります。

公表権とは

著作者がまだ公表されていない著作物を公衆に提示する権利

氏名表示権とは

著作物を公衆に提示する際に名前(本名またはペンネーム等の著作物の発表に使用する名前)を表示させるかどうかを決める権利

同一性保持権とは

著作物の内容に、著作者の意に反する変更を加えられない権利

Webサイトの著作権

Webサイトの制作にあたっても、著作権は発生します。

  • 著作権があるもの
    • Webサイトのデザイン
    • Webサイトの文章
    • Webサイトのソースコード
    • Webサイトの画像(写真 / イラスト)
  • 著作権がないもの
    • レイアウト

Webサイトのデザインや文章、ソースコードにも著作権はあります。また、ここまでで説明してきた著作権の基本からもわかる通り、写真やイラストには当然著作権があります。

一方、Webサイトのレイアウトや色は著作物を構成したり表現するための手段であり、一般的に著作権は発生しません。なので、ターゲットや商品に合った配色を参考にしたり、レイアウトを参考することは問題ありません。

レイアウトや配色を丸っと真似ることは倫理的にいい顔をされるものではなく、バレた際に企業にとってもダメージがあるため、いろんなサイトを見ながら参考にする程度に留めましょう。

 

TIPS

上述の商標権では、「色彩のみの商標権」というものがあり、「この色をこう組み合わせたら、このブランド!」と思われるようなものが登録されている場合があります。見ただけで特定のブランドや商品を想起するような色の組み合わせや形は、商標権の侵害になる可能性があるので気をつけましょう。

他社のWebサイトを制作する / してもらう場合

弊社はWeb制作も行う会社なので、他社から依頼を受けてWebサイトのデザインや構築を行う場合があります。

一方、多くの企業は自社内ではなく、制作会社等に依頼をしてWebサイトを作ってもらうことが多いかと思います。

このように、著作権が発生するようなWebサイトを依頼したりされたりする場合には、気をつけるべきことがいくつかあります。

  • 制作されたWebサイトのデザイン・コード等の著作権は、基本的に制作者側が持っている
  • 制作者側は、契約時に著作権の取り扱いについて確認しておくと良い
    • 契約書等に、”著作権は無償で譲渡する”等の不利益な文言がないか要確認
    • 基本的にそのような契約はしない方がいい
  • Webサイト上で使用する有料素材の取り扱い
    • 有料素材は、素材の作成者(撮影者やイラストを作成した人)に著作権がある
    • 有料素材のサイトの規約で、素材の購入者のみに使用権があることが多い
    • 制作者側が素材を購入し使用権を持っている場合、その写真や素材を流用して依頼者側がバナー等を制作するのはNG
    • どちらが使用権を持つかを取り決める必要あり
  • 依頼者側が自由にデザイン等を流用したい場合は、別途契約が必要な場合は多い
    • 金銭等が発生することが多い
    • 著作権は譲渡した場合でも著作人格権は譲渡されない

Webサイト制作時には、これらの点に留意した上で契約をかわすようにしましょう。

素材利用時の注意点

続いて、素材(販売されているものやフリー素材などインターネット上で手に入れる画像)の利用時の注意点をご紹介します。

  • インターネットの検索等で出てきた画像の使用はNG
    • 著作権についてでも話したように全ての画像に著作権がある
    • 許諾を得られていない画像は使用NG
    • 引用の要件を満たしていればOK(転載された画像を引用しないように注意)
  • 画像に白く透かしの文字や線が入ってい画像の使用はNG
    • 透かし入り画像は素材サイトで販売している素材画像のサンプル
  • 素材サイトの素材を利用する場合、一般に次の使用が禁止されている場合が多い
    • 公序良俗に反するものには使用不可
    • ロゴ・サービスマーク等商標権などが発生するもの
    • 出会い系サイトやアダルトコンテンツなどでの使用
    • クリエイターや被写体の著作人格権を侵害するような場面での使用は不可  など

インターネット上で検索結果等に出てくるような画像は、ここまで著作権についての説明を読めば使用できないことはわかるかと思います。

また、たまにお店などのブログでも見かけてしまうのですが、以下のような画像は有料販売している画像素材のサンプル画像であり、その素材を購入していたとしても使用NGです。購入後にダウンロードできる透かしの入っていない画像を使用しましょう。

※サンプルの代わりに素材サイトのロゴ等が入ってる場合あり
※絵はなぜかわたしが描きました、スマホで指で5分

最後に、多くの素材サイトの規約では有料で購入していたとしても使用できない場面などが規約で指定されています。購入した画像は使用権を買っているだけで著作権はないため、購入したら何に使ってもいいわけではないのです。例えば、公序良俗に反する内容やアダルトコンテンツ・出会い系サイトなどで使うことは多くの素材サイトで禁止されています。また、ロゴやサービスマークへの使用など商標権が発生するような素材の利用も制限されている場合が多いです。

また、被写体の人物やイラストが実際にその企業で働いてるように見えたり、商品やサービスを利用しているように見えたり、特定の宗教・政党・思想等と関わっているようにみえるような写真素材の利用もNGです。例えば、採用サイトの先輩社員の写真の中に素材サイトのモデルの写真をそのまま載せたり、商品やサービスの口コミを被写体の人物が書いたと錯覚するような使い方は、口コミ内容や先輩社員の意見等実際に顧客や社員から収集した内容であってもNGです。口コミや社員写真、架空のプロフィールなどと被写体の人物本人が結びつくような状態での写真掲載はやめましょう。

まとめ

Web担当者をやっていると、必ず関わってくるであろう著作権。

正しく理解して、トラブル等に繋がらないように気をつけていきましょう!

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