こんにちは!ASUE株式会社広報のN村です。
さて、今年6月、アフィリエイト広告の規制強化に向けた検討会が消費者庁内でスタートしたことはご存知でしょうか。アフィリエイト広告では、アフィリエイターが紹介した商品を買ってもらえれば成果報酬が受け取れるという性質上、虚偽や誇張された表現などになりやすく、また実際に商品を扱う広告主が表示物(アフィリエイターが商品を紹介するブログ記事など)などの管理が行き届かないという点が問題視されていました。
また、今年8月からは改正薬機法の施行により、医薬品や医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品に関連する広告で虚偽・誇大広告に違反した場合,事業者に課徴金が課されることになっています。
ということで、倫理的な問題はもちろんですが、そもそも法律上、Web広告を扱う運用者さんや社内のWeb担当者さんは広告やそのほかWeb上の表現が問題ないか、自社の売上をあげるために不当に誇張された表現や(そのつもりはなくても)虚偽や問題のある表現などになっていないか……ということをしっかりとチェックしておく必要があるかと思います。
ということで、本記事ではWeb担当者さんが最低限知っておくといいんじゃないかな〜というWebや広告、ビジネス周りの法律についてご紹介していきたいと思います!
まっ、要するに法律ちゃんと守っていこうぜ!という話です。
法治国家で生きる上での基本だ……。
目次
不当な表示はNG!景品表示法
景品表示法の概要
- 不当表示の禁止
- 優良誤認表示の禁止
- 有利誤認表示の禁止
- その他、誤認される恐れがある表示の禁止
- 景品類の制限及び禁止
景品表示法とは、簡単にいうと商品が実際よりもよく見えるような表示や過剰な景品付きの販売などで消費者を不当に釣ってはいけません!という法律です。もっと簡単にいうと、不当な顧客誘引は禁止!ということです。
消費者の心理として、「よりよさそうに見える商品」や「豪華なおまけがついてる商品」はつい買ってしまいがちです。ですが、実際よりもよく見えるような表示がされていたり、豪華なおまけにつられてしまうと実際には商品やサービスの質が良くないものを購入してしまい、不利益を被る可能性があります。
そのため、商品やサービスの品質や内容、価格を偽って表示することを規制し、過剰な景品の提供を防ぐために景品の額の上限を設けて、消費者がより良い商品・サービスを選べるようにするために景品表示法が定められています。
不当な表示とは?優良誤認表示と有利誤認表示(とそれ以外)
景品表示法の中でも、不当表示は大きく広告やWebサイトなどとも関わってくる部分です。不当表示には大きく3つの種類があります。一つ目は、商品やサービスの内容について誤解を招いたり虚偽を含む表記(=優良誤認表示)、二つ目は価格などの取引条件について誤解を招いたり虚偽を含む表記(=有利誤認表示)、そしてそれ以外の誤認させる恐れのある表示です。
優良誤認表示とは
- 商品やサービスの内容について誤解を招くまたは虚偽にあたる表記のこと
- 例
- 化粧品で「1週間でシミが消える」など、虚偽の効果効能を謳う表記
- サプリメントで「一晩で身長が10cm伸びる!!!」のような虚偽の表記
- 医療保険で「入院一日目から給付」という表記をしながら、実際には給付がされない
- 自社に有利なランキング・クチコミの捏造
- 根拠が明示されていないのに「満足度98%」
- 100%果汁じゃないのに「100%果汁ジュース」 など
虚偽や誇張した効果効能やサービスを謳って商品をよりよく見せようとすることを優良誤認表示といいます。例えば、化粧品やサプリメントなどで「シミが消える」「食べながら痩せる」「身長が伸びる」過剰や虚偽、根拠のない効果効能を謳うような内容の表示や実際には受けられないサービス(医療保険で入院一日目から給付…と表記しながら給付されないなど)の表記、ノーブランド品をブランド品と偽るなどが優良誤認表示にあたります。
口コミなどの使用ユーザーの感想として「1週間で5kg痩せました!(※個人の感想です)」のような注釈をつけているものもよく見かけると思います。「個人の感想です」や「効果には個人差があります」のような表記は「打ち消し表示」呼ばれており、よく使われていますが、ユーザーが気づかないような表記の仕方(効果効能を謳う表記から遠く離れている、表記が小さすぎて気付きにくい)や、商品の効果効能がきちんと性能試験で実証されていない場合などでは、打ち消し表示をしていても優良誤認とされてしまう場合があるので要注意です。
U○er Eatsで3ヶ月で5kg太りました、は書いてもいいですか?
それは自業自得……!!!
参考:「消費者庁—優良誤認とは」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/
有利誤認表示とは
- 価格などの取引条件を実際の取引や競合商品・サービスと比べて消費者に有利に思わせる表示のこと
- 例
- 外貨定期で、手数料抜きの受取利息だけを表示しており、実際の受取利息が3割程度になってしまう
- 元の金額を表示せずに「今だけ○○%OFF」を謳い、実際は値引きしたと言えないような金額で仕事を請け負う
- ずっと同じ価格なのに「期間限定特価」
- 期間限定キャンペーンを毎月同じ内容で繰り返す など
価格などの取引条件が実際の取引よりも著しく有利であると思わせたり、競合商品・サービスと比べて有利に取引ができると思わせるような表示を有利誤認表示といいます。例えば、「今なら1,000円キャッシュバック!」と表記しているのに実際は受取手数料がかかってしまい、300円程度しか受け取れない場合や、値引きの実態がないのに「10,000円値引き」と表記することなどが有利誤認表示に当たります。
まるで実際はそうでもないのに、取引条件が消費者側に有利であると宣伝したり他の商品・サービスと比較して安いと感じさせるような表記をすることは、ユーザー側の自主的・合理的な選択を阻害することにつながってしまいます。
参考:「消費者庁—有利誤認とは」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/advantageous_misidentification/
また、優良誤認と有利誤認には含まれませんが、その他の消費者に誤認されるような表記もNGです。例えば在庫がない目玉商品をあるかのように表記したり、すぐには利用できないサービス(埋まっており入居できない賃貸物件や予約いっぱいの旅行プランなど)を問合せを増やすためにおとりとして広告に利用することなどは、優良誤認・有利誤認には当てはまりませんが、消費者から誤認される恐れがあるためNGとなります。
違反するとどうなる?景品表示法違反時の措置
景品表示法違反行為時の措置
- 不当な表示や過大な景品類の提供の疑いがある場合、消費者庁は関連資料の収集や事業者への事情聴取などの調査を実施する(都道府県知事も同様の権限あり)
- 違反行為が認められた場合、当該行為を行う事業者に対して以下を実施
- 不当表示によって一般消費者に与えた誤認の排除
- 再発防止策の実施
- 今後同様の違反行為を行わないことを命じる「措置命令」
- 違反の事実が認められなかった場合も、違反のおそれのある行為があった場合は指導の措置
- 課徴金納付命令の要件を満たす場合、課徴金納付命令が出る場合も
景品表示法に違反している疑いがある場合、消費者庁は関連資料の収集や事業者への事情聴取などで調査を実施し、実際に違反行為が認められた場合は事業者に対しては「措置命令」が出され、不当表示による誤認の排除や再発防止策の実施などの対策および今後違反行為を繰り返さないことが求められます。また、違反によって稼いだお金に対しては課徴金納付を命じられる場合もあります。
措置命令などを無視し続けた場合は刑事罰を受けたり、消費者に損害を与えた場合は損害賠償につながるなどの法的なペナルティを受けてしまい、一般消費者からの信頼を失うことにもなってしまいます。
課徴金などの経済的な損失はもちろん、企業のブランドイメージも低下する可能性が高いので、気をつけましょう!
法律なので守ろうね!がもちろん当然の大前提ですが、どれも軽い気持ちでできてしまうものなので、ゆめゆめリスクを忘れることなく、倫理的にも法律的にも世間に顔向けできる表記を心がけていきましょう!
化粧品や医療機器を扱うビジネスなら絶対に知っておくべき薬機法
薬機法とは、正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という、日本国内での医薬品や医療機器の運用を定める法律です。
医薬品、医薬外部品、化粧品、医療機器や再生医療など、医薬品・医療機器関連の製品は、使用する消費者の健康などにも関わるため品質・有効性・安全性の確保が重要になってきます。そのため、薬機法では品質・有効性・安全性の確保のために必要な規制し、医療品や医療機器の研究開発促進のために必要な措置を講じて保健衛生の向上を図ることを目的としてさまざまな取り決めがなされており、製造・販売・流通に関する規定や表示・広告などに関する内容を定めています。
要するに、医薬品などを製造したり販売したり、広告で扱う場合には薬機法で定められたルールを遵守する必要があるよ!ということです。今回は広告に関する部分だけをご紹介します。
薬機法における広告の概要
- 広告の定義
- 顧客を誘引する意図が明確であること
- 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
- 一般人が認知できる状態であること
- 主な禁止事項
- 虚偽・誇大広告等の禁止
- 特定疾病用の医薬品の広告の制限
- 承認前の医薬品等の広告の禁止
- 他社の商品を誹謗する広告の制限
- 医療関係者等の推薦の禁止
- 効果効能について承認範囲を超える表現や事実誤認の可能性がある表現の禁止
- 安全性や効果効能を保証する表現の禁止
- 最大級の表現の禁止 など
また、薬機法の対象となる商品は以下の通り。
薬機法の主な規制対象商品
- 医薬品
- 医療表医薬品
- 市販薬 など
- 医薬部外品
- うがい薬
- 殺虫剤
- 栄養ドリンク
- 一部のスキンケア用品 など
- 化粧品
- 一般的な化粧品(メイクアップ用品)
- シャンプーなどのヘアケア用品
- スキンケア用品 など
- 医療機器
- ペースメーカー
- パルスオキシメーター
- 血圧計 など
- 再生医療等製品
- 遺伝子・細胞治療製品
最初にご紹介した景表法に加えて、この辺りの医療・美容関連の製品は薬機法も気にする必要が出てきます。
ということで、禁止事項の一部について詳しくご紹介します!
参考:「厚生労働省—医薬品等の広告規制について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
誇大広告の禁止
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
引用元:薬機法第六十六条https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
- 効果効能に関して、虚偽や誇張された表現を広告内でしてはいけない
- 製造販売企業に限らず、広告に関わる企業・人(広告代理店やライター、インフルエンサー、アフィリエイターなど)全てが対象
- 2021年8月に施工された改正薬機法で、課徴金制度が始まった
事実と違っている虚偽の内容や誇張した表現は、(景表法内にも似た内容がありますが)薬機法内でも禁止されています。
特に、2021年8月から改正薬機法が施行され、課徴金制度が施行され、虚偽・誇大広告規制に違反した場合は違反した期間内の売り上げの4.5%が徴収されるため、要注意です。(※課徴金225万円未満の場合は対象外)
広告に関わる全ての人がこれまで以上に、発信する内容をしっかり吟味して虚偽や誇張表現がないことを確認した上で責任を持って発信していく必要がありますね……!
虚偽・誇張とみなされない表現、明確な基準があるわけじゃなかったりするのでなかなか判断が難しいですが、くれぐれも該当するような言い回しになってしまわないように気をつけましょう!
特に健康食品で要注意!承認前の医薬品等の広告の禁止
- 第六十八条において、医薬品・医療機器および再生医療等製品として未承認のものの広告は禁止されている
- 要するに、薬機法の対象外にあたる製品にたいして、効果効能をしめした広告はNG
- 健康食品の場合は薬機法の対象外の製品(※一般食品と同じ扱い)となるので、効果効能をしめした広告はNG
- 特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品は要エビデンス
医薬品・医療機器・再生医療等製品などとして未承認のものに対して、効果効能をしめすような広告はNGです。例えば、健康食品の場合は薬機法の対象外の製品で一般食品と同じ扱いになるため、効果効能をしめした広告はNGとなります。例えば、「レモン一個分のビタミンCが入っています!」は成分として事実であれば表記できますが、「レモン1個分のビタミンCでシミ予防!」と書くのは効果効能をしめすことになるのでNGになります。
ただし、健康食品の中でも特定保健用食品(=トクホ)や栄養機能食品、機能性表示食品についてはエビデンスなどから定められた効果効能を謳うことが可能です。
他社の商品を誹謗する広告の制限
- 医薬品等の効果効能や安全性などについて他社の製品を誹謗する広告はNG
- NGになるパターン
- 他社の製品の品質等を実際より悪く表現する
- 事実であっても悪く見えるような表記をする
- 比較広告についても自社商品の範囲に留めるなど要注意
自社製品をよく見せるために、他社製品が悪く見えるような表記をした誹謗広告はNGです。例えば、品質などが実際よりも悪く感じられるような表現をしたり(ex.「他社製の商品には体によくない成分が入ってるよ」)、他社の製品の内容について事実を表現した場合であっても悪くみえるような表記をすること(ex.「まだ〇〇(成分名)の入った化粧水なんて使ってるの?」)はNGです。
また、よく製品同士を比較して、広告で売り出している商品をよく見せる「比較広告」のような手法にも要注意です。上述の通り、事実であっても他社の商品を悪く見せる書き方はNGなので、医薬品や化粧品などで比較広告を行う場合は特に、自社の別商品と比較する(※その場合も商品名を明記する必要あり)場合のみに限定されています。
売り出すために別のものを悪く見せない!わるくち、だめ、ぜったい!
比較して良さを示したいなら自社の従来品でしっかり商品名や説明などをするようにしようね!ということですね。
医療関係者等の推薦!を広告に表記するのはNG
- 商品の信憑性をアピールするために医療関係者等の推薦コメントを掲載するのはNG
- (推薦していることや推薦内容が)事実の場合でも、ユーザーの認識に大きな影響を与えてしまうため禁止されている
- 公衆衛生の維持増進のために公務所などが指定している事実を広告する場合はOK
医療関係者等が商品の推薦コメントを掲載するのは、実際に推薦していたり内容が正しかった場合であってもユーザーの判断や認識に大きな影響を与えてしまうのでNGとなっています。
ただ、例えば昨今新型コロナウイルス感染症のワクチンに関する広告やはしかが流行した際には定期接種で打っていない人や定期接種の制度の関係で打っていない人に向けて予防接種を呼びかける広告など、公衆衛生に関わるものに関して必要と指定された事実を政府や自治体等が広告することは特例として認められています。
これを読みながら、たまにインターネットで見る怪しい医者が怪しい商品(高い)をおすすめしているのを思い出して、宇宙猫顔をしてしまった。
商品の区分によって謳える効果効能は異なる……美容化粧品の場合
- 「化粧品」に対して認められた表記・表現を守る必要あり
- 化粧品に認められた効果効能は
- 56項目の範囲内の効能効果(参考(PDFファイル):https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf)
- 頭皮、毛髪を清浄にする
- 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
- 頭皮、毛髪をすこやかに保つ
- 毛髪にはり、こしを与える
- 頭皮、毛髪のうるおいを保つ
- 毛髪をしなやかにする
- クシどおりをよくする
- 毛髪のつやを保つ
- 毛髪につやを与える
- フケ、カユミがとれる
- フケ、カユミを抑える
- 毛髪の水分、油分を補い保つ
- 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
- 髪型を整え、保持する
- 毛髪の帯電を防止する
- (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする
- (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
- 肌を整える
- 肌のキメを整える
- 皮膚をすこやかに保つ
- 肌荒れを防ぐ
- 肌をひきしめる
- 皮膚にうるおいを与える
- 皮膚の水分、油分を補い保つ
- 皮膚の柔軟性を保つ
- 皮膚を保護する
- 皮膚の乾燥を防ぐ
- 肌を柔らげる
- 肌にはりを与える
- 肌にツヤを与える
- 肌を滑らかにする
- ひげを剃りやすくする
- ひげそり後の肌を整える
- あせもを防ぐ(打粉)
- 日やけを防ぐ
- 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ
- 芳香を与える
- 爪を保護する
- 爪をすこやかに保つ
- 爪にうるおいを与える
- 口唇の荒れを防ぐ
- 口唇のキメを整える
- 口唇にうるおいを与える
- 口唇をすこやかにする
- 口唇を保護する、口唇の乾燥を防ぐ
- 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ
- 口唇を滑らかにする
- ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 口中を浄化する(歯みがき類)
- 口臭を防ぐ(歯みがき類)
- 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 乾燥による小ジワを目立たなくする
- メイクアップ効果
- 使用感
- 56項目の範囲内の効能効果(参考(PDFファイル):https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf)
いわゆるコスメは、薬機法上の「化粧品」にあたるため、薬品作用の効果効能を謳うことはできません。化粧品として認められる効果効能は56項目の効果効能・メイクアップ効果・使用感のみで、これらの範囲内で広告などで表記を行う必要があります。
これ以上の薬品作用としての効果効能を広告する場合は、医薬部外品の扱いとなる薬用化粧品の申請を行う必要があります。
さっぱりとした使用感です!やしっとりとした洗い上がりです!などの使用感や、ツヤ肌にみせることができます!やシェーディングとして使えば小顔に見えます!のようなメイクアップ効果は問題なく訴求できますが、それ以外の効果効能については定められた範囲内の表現になるように気をつけましょう。
例として、カネボウ化粧品の敏感肌向けスキンケアブランドfreeplusの商品の2商品(通常の化粧品モイストラインと薬用化粧品のエイジングケアライン)がどのような表記になっているか比べてみました。
参照元:「freeplus—ウォータリークリーム」
https://www.kanebo-cosmetics.jp/freeplus/products/skincare23/
参照元:「freeplus—モイストリペアクリーム(医薬部外品)」
https://www.kanebo-cosmetics.jp/freeplus/products/skincare13/
※実際のサイト上の表記がわかりやすいように、スクリーンショットを使用しています。
医薬部外品ではない前者のクリームは、「摩擦レス」「みずみずしい感触」「ベタつかない」等の使用感に関する表記を中心に「うるおう」という効果効能をふわっと書いているのに対して、医薬部外品の後者のクリームは「ハリを与え」「弾むようなハリ肌へ導き」という効果効能をもう少し具体的に書いている印象です。この商品に限らず、いろいろな化粧品の表記や説明を読んでみると、一般化粧品は直球の効果効能を書くのではなく使用感中心の表記やメイクアップ効果による○○効果等の表記だったり、ふわっとした抽象的な表記になっていることがわかると思います。
医薬部外品である薬用化粧品か普通の化粧品かで、表記を見比べてみるとなるほど……!となるので面白いです。
効能効果・安全性の保証の禁止
- 完治します・副作用はありません等の具体的な効果効能や安全性を確実であるかのように表記することはNG
- 体験談や症例(使用前後の比較)、臨床データ・実験例などの使用も、事実の場合であっても一般向け広告の場合誤解を与える恐れがあるのでNG
医薬品や医薬部外品、化粧品に「絶対に治る」「絶対に効果が出る」「絶対に安全」ということはありません。そのため、効果効能や安全性を保証するような表記は禁止されています。それに付随して、体験談や実際の症例(使用前後の比較)や臨床データ・実験例なども、事実であったとしてもユーザーへ誤解を与える場合があるため使用できません。
ユーザーとしても、そういうことをしている商品は不誠実だな……って思うようにしたい。うまい話には裏がある……。
この表現は大丈夫?心配なときは……
内容としてはわかったけど、細かい表現が問題あるかどうかの判断をつけるのが難しい……!という場合は、社内の法務部や顧問の弁護士などに相談してみましょう!
今回、ちょっと状況は違いますがブログを書くにあたっても法律関係の内容説明に問題がないか、弊社の顧問弁護士である北川先生に確認をしていただきました!
場合によってはブランドイメージを傷つける……なんてことにもなりかねないので、確認をお願いできそうなところ(法務担当や顧問弁護士がいなくても経営陣とお付き合いのある弁護士さん等)があるかはあらかじめ確認しておけるといいかもしれませんね。
間違ったこと書いてたらどうしよう〜〜〜と思って社内に相談したら、「北川先生にお願いしてみたら?」と言われて確かに!!!となりました。
広告媒体側はどんな対応をしている?
広告に関わる法律について、うっかりでもわざとでもやってしまいそうな部分を中心に簡単にご紹介してきました。
Web広告の場合、実際には広告媒体側では出稿する際に広告の内容やランディングページを審査しているため、基本的には問題のある広告は不承認になっています。ですが、Web広告での問題がある表現がその辺に転がっていることもしばしば……。
そのため、媒体側でも重大な違反に対してはより厳しい対処を行うようになってきています。
Google 広告では、2021年9月よりポリシー違反を繰り返すアカウントに違反警告システムをスタート
違反警告システムの概要
- 2021年9月より、各ポリシーへの違反に対して事前警告・違反警告が発行されて3回目の違反警告で厳しい罰則が科されるシステムが試験運用される
- 対象のポリシー
- 不正行為を助長する商品やサービス(https://support.google.com/adspolicy/answer/6016086)
- ヘルスケア、医薬品(https://support.google.com/adspolicy/answer/176031)
- 危険な商品やサービス(https://support.google.com/adspolicy/answer/6014299)
ヘルスケア・医薬品など重大な違反が認められた場合は基本的には該当広告を停止する処置がとられていましたが、2021年9月より違反を繰り返す広告主・代理店などに厳しいペナルティを課すようになりました。違反を繰り返すアカウントに対して「違反警告」が出され、段階的に停止措置がなされます。
具体的には、1回目(最初に違反して広告を削除され、事前警告を受けてから90日以内に同じ違反を繰り返す)の違反警告で3日間のアカウント停止、2回目で7日間、3回目で強制停止となります。
参考:「Google 広告ヘルプ—度重なる広告ポリシー違反に対応する新しい「違反警告」システムの試験運用」
https://support.google.com/google-ads/answer/10957124
Yahoo!広告では、違反実績を踏まえた広告審査を実施
違反実績を踏まえた広告審査の概要
- 概要
- 広告審査で重大な違反表現があった場合、該当広告内の商材(以下対象商品)の広告掲載が不可になる
- 違反箇所を訂正した場合でも広告掲載のリスクが高いと判断されるため、対象商品の広告は出稿不可に
- 対象商品に関する既存の広告も停止される可能性あり
- 重大な違反表現
- 明らかな虚偽、誇大広告
- 重大な健康被害の恐れのあるもの
- その他「Yahoo! JAPAN 広告掲載基準」への重大な違反と当社が判断する表現
Yahoo!広告では、広告審査で虚偽や誇大広告・重大な健康被害の恐れがあるもの・その他「Yahoo! JAPAN 広告掲載基準」への重大な違反と判断されるような重大な違反表現が認められた場合、違反箇所を訂正した場合であっても広告掲載のリスクが高いと判断され、該当広告内の商材の広告が掲載不可になります。また、その際同じ商品に関する既存の広告も停止される可能性もあります。
例えば、化粧水Aの広告で虚偽・誇大広告などが見つかった場合、化粧水Bの広告は違反表現がなければ出稿可能ですが化粧水Aについては出向できません。
参考:「Yahoo!広告ヘルプ—違反実績をふまえた広告審査開始のお知らせ(2021/2/8適用開始)」
https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/announce/872532.html
法律遵守する必要があるのはもちろん、広告アカウントが停止になったり該当商品の広告が出稿できなくなった場合もビジネスにも大きな影響が出るものと思われます!
どんなルールがあるのかしっかり理解して運用したいですね!
まとめ
Web広告をとりまく問題は近年様々な話題に上がっています。
企業が法律を遵守することはもちろん、少しでも広告に関わる可能性のある人ひとりひとりがきちんと最新の情報を収集して、意識してルールを守るように努めていきたいですね。
ASUE株式会社では、Webマーケティングや広告に関する最新情報などをほぼ週刊のメールマガジンでゆる〜くおとどけしています!
自分でしっかり情報収集する時間がないよ!という企業のWeb担当者さんはぜひ、ご購読くださいませ♡
売り上げを増やすためのWeb広告成功事例集
- CVは付くものの成約に繋がらない
- 今の代理店に不満がある
- 専任担当者がおらず知見・時間が無い
- そもそも広告で成果が出ない
上記のようなお悩みを持った方へ
すぐに役立つASUEの広告改善事例を紹介します!
この記事を書いた人
2016年入社。ASUE株式会社広報を担当。メールマガジン「ほぼ週刊ASUE通信」もお送りしています。ほぼ週刊なので週刊ではない。月初に公開するWebマーケティング情報をまとめたツキイチシリーズはちゃんと月刊です。
趣味はミュージカル観劇。おすすめ作品を知りたい方はN村のTwitterまでお問い合わせください。
得意なこと
文章を書きます。
ひとこと
メルマガにご登録いただけると泣いて喜ぶかもしれません。