Web担当者が知っておきたい改正電気通信事業法の「外部送信規制」

2023年07月04日

2024年07月10日

こんにちは、ASUE株式会社広報のN村です!
さて、いよいよ2023年6月16日に改正電気通信事業法が施行されました。

電気通信事業ときくと、携帯電話事業者やインターネットのサービスプロバイダのようないわゆるインターネット通信の大元に関わるような業者が対象の法律だと思われるかもしれません。

が、今回の改正で盛り込まれた「外部送信規制」のように、Webサイト等で運用しているオウンドメディアのようなサービスでも対象となり、対応が必要になる可能性があります。

今回は、改正電気通信事業法施行に際してWeb担当者がやるべきことをご紹介します。

改正電気通信事業法と外部送信規律

インターネットの利用が一般に普及し始めてから、約30年。さらにスマートフォンが普及したり、SNSの浸透や配信サービスの増加、おうち時間が増えたコロナ禍など、あらゆる意味で生活から切り離せない存在にここ何年かはなってきています。

そんな急速に変化したインターネットを始めとした電気通信事業を取り巻く環境に、法律が対処できていない点が多くありました。

今回の「改正電気通信事業法」は、その変化した電気通信事業を取り巻く環境を踏まえて、サービスの円滑な提供やわたしたちユーザーの利益の保護をするために施行されます。

具体的には、以下の措置が講じられます。

  • 情報通信インフラの提供確保
  • 安心・安全で信頼できる通信サービス・ネットワークの確保
  • 電気通信市場をめぐる動向に応じた公正な競争環境の整備

参考:「総務省「電気通信事業法の一部を改正する法律(概要)」 — PDFファイル」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000820706.pdf

一般的なWebサイトを運用している担当者に関係あるのは、2つ目の「安心・安全で信頼できる通信サービス・ネットワークの確保」になります。

特に、Cookieなどのオンライントラッキングなど、インターネット通信に関わる個人情報の問題に対応するため、改正通信事業法第27条の12において「外部送信規律」というものが定められました。

参考:「改正通信事業法第27条の12 — (情報送信指令通信に係る通知等)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=359AC0000000086_20230616_504AC0000000070#Mp-At_27_12

この「外部送信規律」によって、Webサイトやアプリを利用して集客を行なっており、ユーザーの意思に反した情報送信を行なっている場合、送信先ごとにどんな目的でどんな情報を誰(企業)に対して送信し、送信先でどのような利用方法がなされているかを公表または通知しなければいけない可能性があります。

改正電気通信事業法「外部送信規律」の対象は?

外部送信規律の対象となるサービスは以下のとおりです。

対応が必要となるサービス区分

  • メッセージ媒介サービス:特定の利用者間のメッセージ交換をテキスト・音声・動画によって媒介するもの
    • メールサービス
    • ダイレクトメッセージサービス
    • Web会議システム  など
  • SNS:不特定多数の利用者間での、テキスト・音声・動画の投稿・閲覧によって発信者と閲覧者の交流の場を提供するもの
    • SNS
    • 電子掲示板
    • 動画共有サービス
    • オンラインショッピングモール
    • シェアリングサービス
    • マッチングサービス  など
  • オンライン検索サービス:広範なWebサイトのデータベースを構築し、検索語を含むWebサイトのURL等を利用者に提供するもの
    • Google, Yahoo!とうの検索エンジン  など
  • ホームページの運営[ニュースサイト、まとめサイト等各種情報のオンライン提供]:インターネット経由で天気予報やニュース、映像などの情報を利用者へ提供するもの
    • ニュースサイト
    • まとめサイト
    • オウンドメディア  (※)
    • 営利目的(広告・アフィリエイト等)の個人運営のブログ・情報提供サイト  (※)
    • Saas  (※)

これらに当てはまるような事業を行なっている場合は対応が必要となりますが、この中で特に、4つ目の「ホームページの運営」が、自社のサービス等にあてはまるかどうかが対応の必要性の分かれ目となり多くの企業で気になるポイントになるかと思います。

例えば、自社の概要や商品・サービスについて発信するような企業サイトの場合。主に企業サイトや自社商品のオンラインショッピングサイト、銀行・証券会社の提供するネットバンキングのような、インターネットを経由して顧客からの要求・注文に対応するサイトや、個人が趣味等について発信するために開設したWebサイト(サーバー代を賄うための広告掲載がある場合も含む)の場合は対象ではないとのことなので、安心していただいて大丈夫です。(ただし、ECサイトなどで商品に関する情報などをコラム等で掲載するメディア的要素があれば対象となる可能性があります。)

一方、ニュースサイト・まとめサイト・営利目的の個人運営のブログのような情報の送信を事業としているようなWebサイトは対象となるため、対応が必要です。また、オンラインでサービスを提供するようなCRM・MAツールやその他クラウドサービスなども対象です。

では、自社サービスに付随するようなオウンドメディア的なサイトはどうでしょうか。総務省からは、次のような見解が発表されています。

金融事業者の例では、運用のコツや狙い目の銘柄等を紹介するようなウェブサイトが該当すると考えられる。

引用元:「総務省公表資料 — 「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説の改正案」 に対する意見募集において提出された御意見及び考え方 P.46」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000880995.pdf

この見解によれば、業界に関する情報やノウハウなどを発信するような集客のためのオウンドメディアは対象となると考えられます。

この辺りの対応の必要性の線引きが難しく曖昧でわかりにくくなっているため、専門家の間でも意見が分かれているようですが、自社のWebサイトで対応が必要かどうか不安な場合は会社の顧問弁護士等に相談しておくとよいでしょう。

主なオンラインサービスについては、下記のURL(PDFがダウンロードされます)の総務省から発表されているガイドブックに見解等が掲載されています。

参考:「電気通信事業参入マニュアル(追補版)ガイドブック — 総務省総合通信基盤局」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000799137.pdf

外部送信規律への対応方法

大きくやるべきことは2つあります。

外部送信規律への対応でやるべきこと

  • Webサイト内で情報送信を行なっているもの(情報収集モジュール / Google Analyticsなど)を調査
  • それぞれについて、目的・送信先・送信する情報・送信先での利用方法の公表または通知

外部送信規律では、情報送信を行なっているツール等のそれぞれについて、目的や送信先などをユーザーに向けて公表または通知を行う必要があります。

そのため、まず、実際に自社のWebサイトで利用している、外部への情報送信を伴うツールの調査・確認が必要になります。

その上で、それぞれのツールについて、必要な内容の掲載してユーザーへの公表や通知を行いましょう。

対象のツール

外部送信規律の対象となる(=公表等が必要となる)ようなツールは以下のとおりです。

  • 広告媒体
    • Google 広告
    • Yahoo!広告
    • Facebook広告
    • Micsrosoft広告  他
  • 解析ツール
    • Google Analytics
    • ヒートマップツール各種  他
  • SNS
    • Facebook いいねボタン  他
  • CRMツール
    • Salesforce
    • HubSpot  他
  • MAツール
    • Account Engagement(旧Pardot)  他

今回、第三者に送信される利用者に関する情報すべてが対象になる可能性があります。そのため、Cookie情報はもちろん、アプリ向けの広告識別子や閲覧環境の情報、閲覧しているページタイトルなども対象と考えられます。

対応する際は、どのようなツールにどのような情報を送信しているか、チェックして対応をしましょう。担当者が把握していない情報の外部送信がある可能性もあるので、よくチェックする必要があります。

対応方法

対応方法としては、以下の4つの方法が示されています。

  • 公表
  • 通知
  • (オプトアウト)
  • (同意)

公表または通知(必須)

1. それぞれの外部送信を行うツール・サービスについて、以下の情報をまとめる

  • 送信される情報の内容
  • 送信先となる事業者の名称
  • 送信される情報の利用目的

2-a. 1.の情報を各ツールごとに記載したWebページへのリンクをWebサイトのページフッター等に掲載する(公表)
プライバシーポリシーに追記してもよい。

2-b. Webサイトへの訪問時などに1.が記載されたページへのリンクをポップアップで表示(通知)

オプトアウトと同意

法律上必須ではありませんが、公表または通知を行なった上で、利用者にオプトアウトの措置を講じたり、同意を得たりすることも可能です。

オプトアウト措置を講じる場合:

  • オプトアウトの方法
  • 情報の送信停止or情報の利用停止のどちらか
  • オプトアウトによるサービスの利用制限の有無と制限内容

同意を得る場合:

  • 利用者が能動的に同意できる方法にする
  • 例1 )「同意する」のチェックボックスにチェックしてもらう
  • 例2 )「同意する」と「同意しない」の2つのボタンを設置 など

それぞれ、必須の公表または通知を行った上で、対応できるとGoodです。

まとめ

6/16に施行された改正電気通信事業法について、「結局対応するべきなの!?」とお悩み中のWeb担当者の方も多いかと思います。

本記事では、その中でWeb担当者さんに特に関係する外部送信規律について対象範囲や対応方法をご紹介しました。

これまでも、インターネット上での情報の取り扱いについて規制等が進む昨今、Webマーケティングに与える影響は大きく、これが今後緩和されることはまずないでしょう。

対応は少々大変かと思いますが、法務部や顧問弁護士等に相談しながら、しっかりと早めに対応しておきたいですね!

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