【でらマーケ勉強会 Vol.34】AI時代の支援会社はどう戦う?ツール活用でなく、「組織と成果」の考えてることぶっちゃけます!|参加レポート

2026年06月09日

こんにちは!ASUE株式会社・広報のN村です。

ASUE株式会社では、名古屋の若手マーケター界を盛り上げていこう!という想いのもと、「マーケ×キャリア×ローカル」をテーマにした「でらマーケ勉強会」を運営しています。

第0回のトライアル開催から早幾年、今回は第34回の参加レポートをお届けします!

AI時代の支援会社はどう戦う?——でらマーケ勉強会 Vol.34

第34回のテーマは、「AI時代の支援会社はどう戦う?ツール活用でなく、「組織と成果」の考えてることぶっちゃけます!」。

「AIをどう使うか」というツールの話ではなく、AIを前提に組織をどう変え、成果をどう出すか——支援会社(=わたしたちのような立場)のリアルな思考を、第一線のお二人にぶっちゃけてもらおう、という回でした。

ゲストはこちらのお二人です!

株式会社マテリアルデジタル 取締役の川端さん𝕏)と、株式会社KAAAN 執行役員CSOの寺倉さん𝕏)にお越しいただきました! 川端さん、寺倉さん共に2回目のご登壇です。

今回は支援会社として、AI時代にどう戦っていくか、AIの活用方法や組織としてどう向き合ってるかというところをお二人にお話しいただきました。

広報のN村

今回も非常に楽しい勉強会になりました!

最初はお一人15分ずつのセッション

川端さんのセッション:指名検索コンバージョンを7ヶ月で700%伸ばした話

前半は川端さんのセッションからスタート。獲得領域(アフィリエイトやリスティングなど)の中でも、7ヶ月間で指名検索コンバージョン数を700%伸ばした事例のお話です。

ポイントは「広告でCVを直接刈り取る」のではなく、事業データの中で獲得を伸ばしながら、広告全体の効果をどう底上げするかを設計したこと。

競合と比べて見えた「逆転現象」

このクライアントはCM+獲得型広告が中心。ところが規模の近い競合と比べると、指名認知率は自社が1.3倍(=知っている人はむしろ多い)なのに、指名検索数は競合が3倍以上という逆転状態だったそう。競合がどこにお金を使っていたかを調べると、SNS・動画などに中心的に投下していた、と。

川端さんいわく、学びは「CMは効果がない」という話ではなく、指名(想起)を上げるにはマス(CM)も有効だけれど、利用意向を生むデジタル上のコミュニケーション設計が極めて重要ということ。

広報のN村

マス=「知ってる」=「検索される」と考えがちですが、そうとも限らない。

パネルは「媒体」ではなく「お客様の状態」で捉える

トップ/ミドル/ボトムのパネル(コミュニケーション階層)を、多くの人は「マスはトップ」というふうにチャネル(媒体)と紐づけてしまいがち。でも川端さんの考えは、パネルは媒体ではなくお客様の状態(コミュニケーションの目的)で表すべきというもの。

  • 楽天スーパーセールのCM → 近日始まるセールの告知なので短期のセールスコミュニケーション
  • デジタルでもブランドメッセージ動画を配信するなら中期的なブランディングコミュニケーション

つまり「媒体=パネル」ではなく「目的=パネル」。目的別に正しく設計し直した、というお話でした。

AIはどこに使った?——「最終判断は人間、AIはデータベース」

気になるのが、じゃあAIはどこで使ったの?という点。川端さんの結論はシンプルで、最終的なジャッジ(どんなメッセージを作るか、どんな顧客がいるか)は人間が担当。AIは顧客ジャーニー設計/クリエイティブの分類/メディア分析/効果検証などに使うものの、あくまでデータベース・実行エンジンとしての位置づけ。

「どのチャネルで」「どの顧客状態に」「どんなメッセージを」「どれくらいの頻度・金額で投下すると」「いつ頃リターンが得られるか」——これをデイリーで管理しながら設計するのは人手では膨大。そこをAIに回させた、というわけですね。

例えば、紹介された事例で扱っている商材は大多数の人が人生で数回程度しか使わないサービスです。CMを打っても、今該当しない人には会社は知ってるけど今は必要ない状態であり、直接的に指名検索につながりません。

そのサービスを利用するきっかけとなるライフイベントが起きて、サービスの利用が決まります。では、実際のサービス利用(契約)のタイミングまでに、ライフイベントが発生したユーザーにブランドの想起を高めて選んでもらえるメッセージをどう作るか——という戦略設計を人間が行い、AIは洗い出したWHOに対してジャーニーごと・チャネルごと・クリエイティブごとに目的や役割、評価を紐づけるところで活躍したそうです。

広報のN村

結構企画のとっかかりとか、設計段階で使う人も多いと思うけど、深く考えるべき重要な部分は人がやる、というお話でした。

クリエイティブ開発にAIを活用

設計・状況・コンセプト・メッセージが固まったら、その後のクリエイティブ開発にもAIを活用します。デジタル広告のバナーコピー・描写や、リスティングのキーワード、遷移先ページのコンテンツ骨子など、人が決めた設計をベースに、AIでターゲットごとに抽出していったとのこと。

「中間コンバージョン」で“いつ指名検索が増えるか”を読む

ありがちな「どのコストがCP(単価)安かったか」という発想ではなく、川端さんが注目したのは中間コンバージョン(最終CVの手前の指標)。インタビューから、ユーザーの不安が複数絡み合っていることが判明。全部の情報を使い切らないと安心して選べないため、「トータルの接触に対するコスト」と「ちゃんと分かってくれた接触の痕跡データ」に注目したそうです。

  • 最終CVに近い中間CVほどボリュームは小さいが、ダイレクトに刈り取りすぎるのはよくない
  • 手前の中間CVほどボリュームは出るが粒度は粗い(例:「広告を見た」も中間CV、ECならカート投入など)

「どの中間CVに、どれくらい投資すると、いつ頃から指名検索が増え始めるか」——ここの分析にAIを活用。チャネルごとにも設計したとのこと。

結果と横展開

顧客・コミュニケーション・チャネルごとに目的と強化設計の基準を作ったうえでAIを回した結果、着手から4ヶ月目あたりで前年比100%増(=倍増)の推移が見えてきた、と。そこから横展開し、別予算でさらに獲得を拡大していったそうです。

広報のN村

「AIに丸投げ」ではなく、人間が設計を握ってAIを活用するのが大事なんだなぁと思いました。

寺倉さんのセッション:プロジェクトにAIを「実装」する

後半は寺倉さんのセッション。寺倉さんは前回のでらマーケ勉強会でもAIと対話してライティングを行う「カンバライティング」についてお話しいただき、早い段階から時間とお金をかけてAI活用を進めてきている方です。イベント当日は人生最高体重に到達しているタイミングだったとのことです(本人談)。

今回は受注を取るまで(提案)/キックオフでのAIの使い方と、成果事例の3段階での、AIの使い方を語ってくださいました。

受注前:仮説の精度を引き上げてヒアリングに臨む

何の会社か・どんな会社かよく分からない特殊な領域の企業へヒアリングに行くことに。しかも持ち時間30分、実質ヒアリング枠は15分。

従来なら「分からないからまず何を聞くか調べる」ところですが、でも寺倉さんは相手側の責任者と同じ目線になることを狙い、AIを徹底的に走らせて会社・業界・社会情勢を調べ尽くし、戦略・仮説、さらにランディングページまで作ってからヒアリングに臨んだそうです。結果、15分のうちヒアリングは5分だけ、残り10分はこちらから提案。責任者が「もっと話したい」と延長戦に突入し、さらに15分。

ヒアリング前の調査段階からAI活用を行っていますが、活用のポイントは、自分の仮説の精度を引き上げるためにAIを使うこと。ヒアリングが「立てた仮説の答え合わせ」だけで済んだ、というお話でした。

広報のN村

「AIを使いましょう!」で、つい今ある業務の効率化(議事録作成など)に使いがちだけど、自分の目線や仮説の精度を引き上げる使い方。

キックオフ:Webサイトで全体戦略を見せる

ヒアリングの結果、課題解決にはまずコミュニケーション設計を変える必要があったため、資料ではなく、キックオフ時点で10ページ程度のWebサイトを作成。どんな訴求をすべきか、どんなコミュニケーションが必要か、みたいなところを実際のWebサイトを元に全体戦略として提示。

同時にわかりやすい数値のダッシュボードも作っていき、「ここがこういう数字で、ここが悪いから、こういうコミュニケーションにする」と全部を数字ベースで説明

結果、すべてが想定通りではないものの、大きな問題なく「これで行きましょう」と合意がとれたそうです。

AIを活用することで、スピード感を持った提案をお客さまにできますし、さらにその場でフィードバックをもらい、翌日にはフィードバックを元にAI(寺倉さんのAI部下)が修正指示書を作成。それを元にサイト修正用にAIに渡せばほぼ完了

このようなサイクルを半年〜1年ほど回し続けたとのこと。

広報のN村

AIを使って、まずプロトタイプをお客さんに見せることで満足度も上がりそうだし、すごいスピード感でことが進んでいきそう。

成果事例:BtoCのCVを半年で約2倍

複数サイトを持つBtoC企業で、最もCVを取っていたサイトが直近が9,000〜10,000CV程度になっていた案件。広告は使わず、ひたすら施策(コンテンツ等)で改善した結果、半年で約19,000CVへ

20人ほどの部署から4人を選んで徹底育成。AIとマーケをいきなり教えるのは難しいので、寺倉さんがAI環境を作り、1ヶ月伴走、その後どんどん自走させ、コンテンツだけじゃなくデータ分析などまで自動化していったとのこと。

考え方が印象的で——「1記事に1日かけていたものを、AIで1日に何本も」ではなく、これまで1記事に1日かけていたところに50日分のクオリティを注ぎ込んで1日で仕上げる。つまりクオリティ(戦い方)のためにAIを使う。結果としてスピードも上がる、というお話でした。

広報のN村

「量を増やすためのAI」じゃなくて「質を上げるためのAI」ですね。

ディスカッション:組織でAIをどう使うか

ここからお二人+司会でのディスカッションへ。テーマは「組織でAIをどう使うか」。

AIは“掛け算”——だから役割を分ける

AIの活用の向き不向きがあるというお話。

川端さんは、社内で「AIを積極的に活用していこう!」という指針はあるものの、AIを使った方がいい人・使わない方がいい人がいると感じたそうで、AIの利用を全員に義務化するのではなく、まずテストを実施して社員の適性を見極めています。具体的には、「マーケティング全体のトップライン(売上)を見極められるか」「自社の利益構造まで考えられる構造化力があるか」といった視点をチェックしているそうです。

このテスト結果などをもとに、独自性のある価値を生み出し「AIを使って稼働していく(レバレッジを効かせられる)人」と、まだそれができず「それ以外の作業をサポートする役割に徹する人」に明確に分けています。

寺倉さんいわく、AIは定型業務(自動化向き)と非定型業務(属人的でゴールを追求するもの=コミュニケーション等)に分けられる。定型はガンガン自動化すればいい。問題は非定型。経験が薄い人ほど“それっぽい答え”をポンと出しがち

  • パフォーマンスが高い人がAIを使うと、掛け算で生産性が跳ね上がる
  • パフォーマンスが低い人が使うと、レビューを通らない成果物が大量生産され、プロジェクト単位ではマイナスになる

だからこそ、各部署に「AI活用=品質を担保する責任者」を立て、その下に「AIで稼働する人」「サポートする人」を置くヒエラルキーを作るのがよい、と。

川端さんも、寺倉さんの「半分の時間でやる人」と「アウトプットを倍にする人」を分けるという考え方に影響を受けたと言及。両方を同時にこなせる人は少ない、というのは納得感がありました。

広報のN村

「AIを使えば誰でも爆速」ではなく「使う人次第でプラスにもマイナスにもなる」ってことですね。

組織への浸透方法:危機感の共有とルール化

組織への浸透については、お二人で少しスタイルが違って面白かったです。

寺倉さんはAIによる危機感を「津波」にたとえて「津波が来てるのに自分のペースで逃げるやつがいるか」と、市場の変化のスピードに自分を合わせろと強く啓発。従来のエージェンシーの仕事はAIによってなくなることが分かっている現状があるのに、日々の業務が忙しいため、AIの推進がどうしても「自分のペース」になりがちだと指摘しています。そのため、細かく「これを導入しよう」と指示するのではなく徹底して啓発し、頭のいい人ほど、自分でアイデアを出して動いてもらうスタンスで「考え方についてこられない人は、辞めてもいい」くらいの覚悟で進めているそうです。

一方川端さんは「この方針に従うことが会社のルール」という規範を作り始めたそうです。これまで個人の裁量に任せて余白を持たせていた部分を、「こうやるべき」と明示。すると意外とみんな"明確にしてほしかった"という反応だったそう。

また、組織導入の入口として寺倉さんが有効だと話していたのが「部活から始める」こと。「AI推進するぞ」ではなく「AI部活」を立ち上げると、有志で遊びがてら業務外でも気兼ねなく集まれて、自然に活用が広がった、とのことです。

広報のN村

「仕事だと怒られるけど部活ならいい」、人間心理の使い方がうますぎる。

セキュリティは整えつつ、「AIはダメ」で止まらない

ツール・セキュリティの話も。寺倉さんは知識の蓄積とセキュリティのためにツールを統一(バラバラに使うと守る対象が無限に増えるため)しているとのこと。そしてAIはいろいろなセキュリティを突破してくるため、完璧を目指すと時間がかかりすぎる。結局やられるのは人間の操作が原因なことが多いので、そこもAIにチェックさせる——という、なんともAI時代らしい結論でした。

セキュリティが厳しくてAIが使えない、という組織については、寺倉さんは「会社を守るためのセキュリティは大事だけれど、「AIはダメだ」と否定から入るのはダサい。自分たちは別の環境で生産性を極限まで上げ、クライアントがレビューできる状態を作ってカバーすればいい。」とのことでした。川端さんも、「明確な戦略的意図があって使わせないなら良いが、意図もなく『ダメだから進まない』だけなら考えもの。」と同調されていました。

広報のN村

セキュリティは重要ですが、今の時代に「AIは絶対ダメ!」という状況だと、ビジネス的には取り残される可能性があるので、各ビジネスの状況や内容によってどうするかを考えるべきですね。

若手はAIに頼らせすぎない

川端さんからは、若手育成についてのお話も。

マーケティングの基礎知識や、「ビジネスはこういう風に動いているんだ」という体感(暗黙知)は、本来自分自身で苦労して形成しなければなりません。しかし、若手が最初からAIを使ってしまうと、AIがもっともらしく出力する表層的な情報(形式知)だけを浴びて、「これでいいんだ」と勘違いして満足してしまう危険性があります。川端さんはこれを「将来性が非常に危うい」と指摘しています。

このような表面的な理解を防ぐために、若手に対してはあえてAIを使わせず、「自分で考えて、もうなんならノートを書いて見せてくれ」とアナログな方法で指導した方が良いとのことでした。

「本当に良いアウトプット(戦略や制作物)」が何であるかの基準がない人がAIを使っても、正解が分からないままAIの出力結果の中で彷徨い続けるだけになってしまいます。「ちょっと違うな」と思った時にどこまでこだわれるか、その基準や感覚を自分の中に作ることが先決ですね。

また、寺倉さんはAI活用が未熟なメンバーについてはクライアントワークではなく自社プロジェクトなどにアサインすることで実践を通じたチャレンジ・トレーニングを積ませる育成ルートのお話もありました。

広報のN村

AIのアウトプットをよくわかんないけどそのまま気軽に人前に出す、みたいなことをするうちはAIを使わない方がいい。

部下AI「SEN」のデモ:朝起きたら仕事が半分終わっている

ディスカッションの合間に、寺倉さんが「僕を助けてくれる部下AI」=「SEN」を実演してくださいました。寺倉さんの仕事は、プロジェクト15件くらいを並行しており、毎日ミーティング漬け。その前さばきをAIに任せているそうです。

部下AIの役割は——

  • 毎朝、自律実行でミーティングをプロジェクトごとに仕分け
  • タスクの振り分け、プロジェクト単位の状況整理、スケジュール管理
  • 溜まったミーティング内容に認識のズレがないか確認し、「こう進めてください」と提案
  • 雑務管理、資料作成、フィードバック資料の作成まで

プロジェクトごとにフォルダがあり、タスク・修正指示・進捗が整理。そのため、新しい人がプロジェクトに入っても、翌日から状況を完全に把握できるようになっているそうです。

広報のN村

ここまで自動化させられたら、めっっっっっっっっちゃいいな〜と思った。

まとめ:でらマーケ勉強会、次回もぜひご参加ください!

第34回も、とっても濃いトークをうかがうことができました!

記事内ではお話ししきれなかった細かい事例や、生々しい採用・組織論なども盛りだくさんでした(この辺は参加者さまの特権ということで!)。もっと濃いお話が聞きたい!という方は、ぜひぜひご興味のある回に遊びに来てみてください!

そして次回は、通常の勉強会とはちょっと趣向の違う「でらマーケ交流会」!
交流をメインにした回です。2026年6月19日(金)19:00〜、名古屋市内で開催。ご興味のある方はぜひお申し込みください!

広報のN村

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