【でらマーケ勉強会 Vol.35】間違いだらけの営業・マーケティング|あなたの会社は本当に大丈夫?|参加レポート

2026年08月19日

こんにちは!ASUE株式会社・広報のN村です。

ASUE株式会社では、名古屋の若手マーケター界を盛り上げていこう!という想いのもと、「マーケ×キャリア×ローカル」をテーマにした「でらマーケ勉強会」を運営しています。

今回は2026年7月24日に開催された第35回の参加レポートをお届けします!

間違いだらけの営業・マーケティング——でらマーケ勉強会 Vol.35

今回のテーマは、「間違いだらけの営業・マーケティング|あなたの会社は本当に大丈夫?」。

ゲストには、ウェルディレクション合同会社 代表社員の向井俊介さん𝕏)と、インサイドセールス支援を手がけるSALES ROBOTICS株式会社 取締役CMOの冨田貴徳さん𝕏)にお越しいただきました!

向井さんは、約20年のIT業界でのB2B営業経験をもとに営業改善アドバイザーとして「自走型営業組織」の構築を支援するかたわら、大学院で営業の理論を形式知化・体系化されてきました。冨田さんは、BtoBマーケティング/SaaS領域で約15年のキャリアを持ち、Salesforceユーザーグループ「インサイドセールス分科会」会長(2023年度)なども務めながら、「マーケと営業の境界」を設計し続けています。

開演前には、以前ご登壇いただいた茂野さんからのスペシャルメッセージも……!

そんなこんなで始まった今回は、お二人の掛け合いで進む対談形式。マーケターにも営業にも耳の痛い話が次々飛び出す、濃い回になりました。

AIで増える「人を見ない」コミュニケーション

冒頭の問題意識は、AIの普及で、受け手を無視した一方的なメールやアプローチが「毎日届くレベル」で増えている、というお話でした。

効率化ばかりが追求されて、「誰に何を伝えたいのか」「受け取った人がどう感じるか」がすっぽり抜け落ちている。テクノロジーやスコアリング自体は悪くなくて、ツールは正しく計測している。ミスをするのは使う人間の側で、AIでも同じ構図が起きている——。この視点が、今回の対談全体の土台になっていました。

自分ではろくに読まないくせに、メルマガは送っている……なんてことはよくありますよね。(たまに営業メンバーから「お客さまからメルマガ読んでます!って言われたよ」とお知らせされると嬉しい。)

「マーケティング」と「営業」、定義から混乱している

本来、マーケティングは商売全体の設計、セールスは対人コミュニケーションによる直接の行為で、セールスはマーケティングの一部(下位概念)。ところが日本では「営業=販売(売ってくる行為)」と混同されていて、売ること自体が目的化してしまっている、とのこと。

さらに、マーケと営業の組織が分断されていると、マーケはCV数・名刺の枚数・CPAで最適化される一方で、受注につながらなかったときの「名刺1件あたりの単価」は誰も見ない。自社の顧客のLTV(いくら投資して、どれだけ継続して、いくらの収益になるか)を把握していないマーケ担当も非常に多いそうです。

広報のN村

わたしもドキッとしてしまいました……。

リードは増えるのに受注が増えない——フォーム全廃の実体験

冨田さんからは、ご自身の会社での実体験が語られました。展示会・広告・ウェビナー・ホワイトペーパーに投資してリードは増えたのに、受注は増えなかったそうです。

資料をダウンロードした方への架電をすべて録音で聴き直してわかったのは、「自社が何の会社か・何のサービスかに、一切興味を持たれていない」という事実。その後も長期間かけて追跡調査をした結果、商談はゼロではないものの、そこから生まれた収益はほとんどありませんでした。「マーケティングという言葉をおしゃれに使いながら、人・物・金を投じてほぼ収益ゼロの施策をしていた」と振り返っていました。

そこで思い切って、お役立ち資料のダウンロードフォームを全廃。すると閲覧数は桁違いに増え、指名での問い合わせが増えて、売上に正しく連動するようになったそうです。フォームという「門番」は、閲覧者を大幅に絞り込んでいただけだった、と。

「資料DL=自社への興味」は売り手側の勘違いで、本来は「興味なし」を前提に設計すべきところを「少しは興味があるはず」から設計してしまうから、自社プロダクトの話ばかりのコンテンツになる——わたしも自社のコンテンツづくりを振り返りたくなるお話でした。

顧客感情の無視が市場を殺す——「5分以内コール」神話

「資料DLの通知から5分以内に架電すれば電話に出てもらえる・受注率が上がる」という手法、聞いたことがある方も多いと思います。これも「完全に売り手都合」とバッサリ。「今資料を見ている=作業中」の人に電話をかけるのは論理破綻で、単なる迷惑では?というわけです。

背景には、アポ獲得を職務とする担当者の部分最適な評価設計があるのでは、というお話や、雇用形態も商慣習も意思決定も違う海外のフレームワークをそのまま日本に持ち込んで上手くいかない「直輸入」の危険性についても触れられていました。実際、大量のリードへ絨毯爆撃的に架電しても、CRMには「興味なし」のラベルと嫌な感情だけが蓄積されていくそうです。

ほかにも、飲食店でQRコード注文をした翌日にアップセルの通知が届いて、届いた瞬間にブロックした、というLINEの事例も。昨日食べたばかりで興味がないところに届く通知は、顧客感情を無視したメルマガと同じ構造だ、と。そもそも人間は合理的には判断しない生き物(合理的なら喫煙者はいないし、車はすべてエコカーになっているはず)。合理で設計されたAIをそのまま実装すると必ず負ける、という指摘もありました。

印象的だったのは「市場を殺す」という言葉。国内のエンタープライズ市場は母数が限られているので、一通のメール・一本の電話で嫌われると、本来良い取引先になれたはずの企業との関係が永久に閉ざされてしまう。マーケの成果は「得た収益」だけでなく「殺してしまった収益」でも見るべき、というお話でした。

興味のない相手に自社アピールをするのは、対個人なら誰でも「痛い」とわかるのに、御社/弊社の関係になると途端に気づかなくなる……というたとえには、耳が痛いを通り越して耳がもげるかと思いました。

顧客の言う「課題」は課題じゃない——医者の比喩

続いては「課題」という言葉について。長年、数多くの企業とのセッションで、複数の文章から「課題はどれか」を選んでもらうワークを実施してきたところ、社内で解釈が一致した会社はゼロだったそうです。それなのに、わたしたちは日常的に「課題を確認する」「課題を解決する」と言っている……。営業が上手くいかない組織は、ほぼここでつまずいているとのこと。

ここで登場したのが、腰痛の実話です。足の付け根から腰にかけて激痛が走り、ネットで調べた対処法を全部試しても治らず、病院や整体をハシゴした結果、実は原因がまったく別のところにあると指摘された、というエピソード。

構造としては、問題(自覚症状)→ 原因 → 本質的な課題、という関係になっています。医者は問診・触診・検査で原因を特定してから治療します。「売上が上がらない(問題)」に対して、いきなり「弊社のサービスで解決できます」と提案するのは、腰が痛い人にいきなり手術を勧める医者と同じ。顧客が口にする「課題」は、たいてい課題ではなく問題で、真の課題は原因のさらに奥にある、というお話でした。

真の課題が解決されないままだと、どれだけサポートを頑張っても「来期は予算が厳しくて」という理由だけで解約されてしまう。対策は、社内で「課題・問題・原因」という言葉を丁寧に定義し直すこと、とのことでした。

ヒアリングは「嫌われないコミュニケーション」から

ちなみにお二人、こんな距離感で対談が進んでいきます。仲良し。

さて、「上司に『ちゃんとヒアリングしてるのか』と言われ続ける営業はどうすればいいのか」という問いに対しては、まず前提の整理から始まりました。

  • 法人にニーズは基本的にない(すでに充足している)
  • 顧客は「今は買わない・選ばない・変化させない」という意思決定をしている
  • そもそも営業からの接触は不快

この状態でヒアリングをしても答えは出ない。だからまず「嫌われないコミュニケーション」で、「この人の質問なら答えてもいい」と思われる状態をつくることが先、というお話でした。

具体的には、自慢にならない形で知識・情報量を示すこと。「同業のこういう会社では、こういうことでお困りで……」という第三者話法を使い、「こういうところを考えていらっしゃるのではと思ったのですが、いかがでしょうか?」と投げかけて、「よく知っているな」と信頼を得る。顧客から「そちらは何かご存じないですか?」と聞かれたら勝ち。そこではじめて「その前に一つうかがってもいいですか」と質問に入る——という流れです。

文脈のない質問はしない。「なぜその情報を知りたいのか」を事前に準備しておくと、質問が出しやすく、相手も答えやすくなる。土台として、顧客の業務プロセス・組織構造・役割・支えているシステムを想像できる業務知識が必要、など、実務に直結するお話が続きました。

失注のときも、「予算がない」「今じゃない」を額面どおり受け取って値引きに走るのではなく、「あのタイミングでこの領域に投資する合理的な理由を、社内で説明しづらかったのではないですか?」と聞けると、次の提案の精度が上がる。顧客は「買わない」と判断しているのではなく、判断基準がなくて選べないだけなので、原因を整理してあげると「あの人は専門知識があって助かる、相談してみよう」となる、という視点も印象的でした。

また、現場(使う人)と決裁者(買う人)では見ている仕事が違うので、それぞれに別のストーリーでアプローチしないと商売は成立しない、というお話もありました。

効率化より効果が先。マーケは商談現場へ

「効果の出ないものの効率化ほど無駄なものはない」という一言も強烈でした。効果を先に確認してから効率化すべきなのに、順序が逆になっているケースが多い。MAツールも、「この人に読んでほしい」と具体的な顔を思い浮かべて文章を作るのが大前提で、手間はかかるしとてつもなく非効率だけれど、そこを飛ばすと意味がない、と。

組織のあり方としては、マーケ担当が営業の商談現場に同席して、企画が現場で通用するかを一緒に検証し、提案も共同で作る体制を実践されているそうです。AIでコンテンツが簡単に作れる時代だからこそ、現場に行って一次情報を取ることが決定的に重要。「営業の商談状況を、マーケの人間がどれだけ語れるか・把握しているか」が今後の分かれ目になる、というお話でした。

マーケターが今すぐやるべきこと——継続顧客に「教えてください」

最後は「マーケターが今すぐやるべきこと」。事例取材というと「なぜ導入したのか」「どんな成果が出たのか」に偏りがちですが、やるべきは継続してくれている顧客への取材だそうです。

  • なぜ継続してくれているのか
  • どのような背景で継続の決裁が下りているのか
  • 稟議を受け取った承認者は、何を基準に承認しているのか

長く継続してくれている企業には、必ず他社からの提案(横やり)が何度も入っています。それをどんな基準で断ってくれているのかを、マーケターが正しく理解することが大事、とのこと。

認識のズレの実例も紹介されました。運用部門の責任者は「報告書がわかりやすいから継続してもらえている」「分析力が強み」と考えていたのに、顧客が挙げた継続理由は「困ったときに一番考えてくれる」「自社の社員ならやってられないような泥臭いことを、嫌な顔ひとつせずに実行してくれる」だった、というもの。ここを取り違えると、強化する方向を丸ごと間違えてしまう……という怖いお話でした。

問い合わせをくれた人にも「営業させてください」ではなく「教えてください」というスタンスで接触し、なぜ自社の情報を見たのか・何が役に立ったのか・目的は何かを正しく聞く。それによって、作るべきコンテンツの観点も、その後届ける情報も変わってくるそうです。

お話に出てきたアクションアイテムをまとめると、こんな感じでしょうか。

  • 1. 長く継続してくれている顧客に、継続理由・決裁プロセス・承認基準・競合提案を断った基準をヒアリングする
  • 2. マーケ担当が営業の商談現場に同席し、一次情報を取得する体制をつくる
  • 3. 社内で「課題・問題・原因」などの用語定義を統一する
  • 4. お役立ち資料・ホワイトペーパーのフォーム(個人情報のゲート)の効果を検証する
  • 5. コンテンツは「誰に向けて・どういう文脈で」を明確にしてから制作する

どれも明日から着手できる内容なので、わたしもさっそく「教えてください」の姿勢から取り入れていきたいと思います。

まとめ:でらマーケ勉強会、次回もぜひご参加ください!

第35回も、耳が痛いながらも学びしかない濃いトークをうかがうことができました!

記事内ではお話ししきれなかった具体的なエピソードや、質疑応答での生々しいお話も盛りだくさんでした(この辺は参加者さまの特権ということで!)。もっと濃いお話が聞きたい!という方は、ぜひぜひご興味のある回に遊びに来てみてください!

ちなみに今回は、コーノコーラさまのご協賛で、懇親会にクラフトコーラをご提供いただきました!ごちそうさまでした!

次回の開催情報は、でらマーケ勉強会公式X(@dmNagoya)でお知らせしていますので、ぜひフォローをお願いします!

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広報のN村

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